19: 60年ぶりの再会
転校生・アンナ・アインベルクが承勲の隣の席に座り、静かに謎を解き始める。「幼い頃に書いた話の中に1960年代の話がありましたか?」——その一言が承勲の心を揺さぶる。カフェで差し出された一枚の古い写真。裏面に書かれた名前、1961. 趙東赫 — 韓鍾洙。「あなたが準備できているか確認しに来ました」——アンナの言葉が静かに、しかし確かに承勲の中で何かを動かし始めた。
第19話
60年ぶりの再会
アンナ・アインベルク。
その名前が黒板に書かれた瞬間、教室が静まった。
銀色に近い明るい髪。静かな眼差し。どこかこの学校の空気と合わない雰囲気だった。生徒たちがひそひそ話し始めた。「あの髪、本物?」「外国人?」「お姫様じゃない?」
クラスで目立つ方だった采恩も彼女を静かに眺めた。
アンナはその視線を気にしなかった。教室を一度見渡してから担任が案内した席へと歩いてきた。承勲の隣の席だった。
座りながら彼女は承勲の方を見なかった。ただ前を見た。何事もないかのように。
休み時間、誰かが恐る恐る聞いた。
「アンナ、SNSはやってますか?」
「ありません。」
「これから作る予定は?」
「ありません。」
短く断固としていた。それ以上話しかける隙がなかった。
授業が終わった後、担任が彼女を呼んだ。
「アンナさん、生徒会に興味はありますか?李賛赫会長が今年活動を強化する予定なんですが、アンナさんのような模範的な生徒がいると助かると思って。」
アンナは片方の眉を少し上げてから下ろした。
「申し訳ありませんが、難しいと思います。」
「理由を聞いてもいいですか?」
「交換留学生として韓国に来ました。2年間の滞在予定で、その後は帰国しないといけないんです。責任を取れない立場は最初から引き受けない方がいいと思っています。」
担任はしばらく言葉に詰まってから頷いた。
「あなたの方が責任感があるわね。」
数日後、賛赫が直接やってきたが結果は同じだった。アンナは本を広げたまま顔も上げずに言った。
「興味ありません。」
賛赫はそれ以上言葉を続けられなかった。
その週の金曜日、下校後に世英がアンナと承勲を粉食店へ連れていった。
「私たち三人、同じクラスなのにまだご飯も一度も食べてないじゃない。」
小さなテーブル、トッポキの香り。世英はメニューを眺めながら楽しそうに話し出した。
「私、今回近くの食堂のおばさん七人に全員お母さんって呼んだの。みんな本当に喜んでくれてたよ。」
自信満々な顔で餃子を手に取った。
承勲がスープを飲みながら静かに言った。
「あの人たち、あなたがたくさんお金を使うからそう接してくれてるんだよ。」
世英の手が止まった。
「え?」
「その呼び方をしなかったら反応も違ってたと思う。まるっきり間違いじゃないけど……それが本当の情かどうかはわからない。」
世英はしばらく顔をしかめた。
「そういう風に考えたら、世の中に本気の人なんていなくなるじゃない。」
「ただ確認したいだけでしょ。悪いことじゃないよ。」
世英は何か言いかけてそのままトッポキを食べた。完全に納得したわけでも、反論する言葉もないという表情だった。
アンナはその会話を静かに聞いてから言った。
「私も最初はその『情』という概念がよく理解できなかったんです。無礼と親切が同時に感じられて。」
承勲は短く頷いた。
世英は箸を置きながら小さくつぶやいた。
「ただ好きだからそうしてるんだと思ってたのに……」
その声が思ったより和らいでいた。傷ついたのではなく、何かを初めて考えてみている人の声だった。
アンナは世英を見てから静かに言った。
「好きだからそうしてる可能性もありますよ。二つのことが同時に本当であることもあるので。」
世英はその言葉にしばらく止まってから、ふっと笑った。
その日以降、世英は食堂のおばさんたちをお母さんと呼ばなくなった。しかしまだその店には行き続けた。それがむしろより自然なことだった。
粉食店を出てから三人は同じ方向へ歩いた。
路地の端で世英がコンビニの方へ外れた。
「私ちょっと寄ってくるね。先に行って。」
二人だけになった。
アンナがゆっくりと歩きながら言った。
「承勲、幼い頃に何かを書いたことがありますか?」
承勲は歩みを保ちながら答えた。
「なぜですか。」
「小説や物語みたいなもの。」
承勲はしばらく黙った。
「書いたものはありました。なぜですか。」
アンナは答える代わりに静かに聞いた。
「その話の中に1960年代の話がありましたか?」
承勲の歩みが半拍遅れた。
「……どうして知ってるんですか。」
アンナはその問いにすぐ答えなかった。路地の端で足を止めながら言った。
「明日、時間ありますか?」
「なぜですか。」
「話したいことがあって。今日じゃなくて。」
それだけだった。アンナはそれ以上言わずに背を向けて歩いていった。
承勲はその後ろ姿を見つめた。
幼い頃に書いた話。1960年代。
祖父だけが知りえることが込められていたあの話。五歳のときに書いたもの。誰も教えてくれたわけではないもの。
あの人がなぜ知っているんだ。
その疑問が消えなかった。
翌日の午後。
アンナが言った場所は学校の近くの静かなカフェだった。人が少ない隅の席。
承勲が先に来ていた。アンナが入ってきて向かいに座った。
しばらく沈黙が流れた。
アンナが先に口を開いた。
「幼い頃に書いた話、覚えていますか?」
「覚えています。」
「その中で裏切り、嫉妬、取り返しのつかない選択を書いたことも?」
承勲は答えなかった。それが答えだった。
アンナはカバンから古い写真を一枚取り出してテーブルの上に置いた。モノクロ写真だった。色あせていて、角が擦り切れていた。若い二人の男が並んで立っていた。
承勲は写真を見下ろした。
裏返した。かすかな文字。
1961. 趙東赫 — 韓鍾洙。
承勲は何も言わなかった。写真から目を上げてアンナを見た。
「これは何ですか。」
「あなたが幼い頃に書いた話の中の人物たちです。」
「説明してください。」
アンナはしばらく承勲を見てから言った。
「全部は話せません。まだ。」
承勲の眼差しが細くなった。
「なぜですか。」
「一度に全部知ると受け入れにくいかもしれないから。そしてこれは……直接訪ねていかないといけないことがあります。」
承勲は写真を再び見下ろした。韓鍾洙。その名前がこの写真の中にあった。
祖父の若い頃の写真は見たことがあった。しかしこの写真は違った。表情が違った。
「趙東赫は誰ですか。」
アンナはしばらく言葉を選んでから答えた。
「あなたが知らなければならない人です。」
それだけだった。
承勲は写真をアンナに返した。アンナは受け取ってカバンに入れた。
二人はしばらく黙っていた。
承勲が先に口を開いた。
「あなたはこれをどうやって知っているんですか。」
アンナは窓の外をちらっと見てから言った。
「長い話です。」
「どれくらいですか。」
「あなたが思っているよりずっと。」
承勲はその答えを噛みしめた。転校初日に「お久しぶりです」と言った言葉。そして今この言葉。
長い。
「あなたがここへ来た理由は何ですか。」
アンナは承勲を見ながら言った。
「確認しに来ました。」
「何を。」
「あなたが準備できているかを。」
その言葉がカフェの中で静かに漂った。
承勲はもっと聞こうとしてから止まった。今この人からこれ以上引き出せるものはないと感じた。アンナは話す準備ができているものだけを話す人だった。
彼は席を立った。
「また今度話しましょう。」
アンナは頷いた。
承勲はカフェを出た。
家へ帰る道。
承勲は一人で歩きながら考えた。
趙東赫。韓鍾洙。1961年。
幼い頃に書いた話。誰も教えてくれなかったことが込められていた。祖父がそれを読んで何も言えなかったあの表情。
手を広げて手のひらを見つめた。
韓国に初めて到着した日、この手のひらの中で古い痛みが漂っていた。
それとこの写真が繋がっているのか。
まだわからなかった。しかし何かが少しずつ形を持ち始めていた。まだ名前をつけられない、しかし確かに存在する何かが。
趙東赫。
その名前を口の中で静かに転がしてみた。
なぜ見知らぬ感じがしないんだ。
承勲は歩みを止めなかった。ただその名前をまだ口に出さないことにした。準備ができるまでは。
その夜、世英が部屋のドアをノックした。
「承勲、寝てる?」
「いや。」
世英が入ってきてベッドの隣に座った。しばらく黙ってから聞いた。
「アンナ、ちょっとおかしくない?」
「おかしいって何が。」
「お前にだけ話しかけてる気がして。今日カフェでも二人で何話してたの?」
承勲は天井を見ながら言った。
「ただ昔話。」
「昔話?」
「うん。」
世英は何かもっと聞こうとしてからそのまま立ち上がった。
「何なのかわからないけど……変な感じがするなら私に言って。わかった?」
承勲は短く頷いた。
世英が出ていって扉が閉まった。
承勲は再び天井を見つめた。
準備できているか確認しに来たと言った。
準備。何のための準備なのかはわからなかった。しかしアンナがその言葉を口にしたことには理由があるはずだった。
彼は目を閉じた。
手のひらの内側のどこかで古い残像がかすかに漂っていた。消えないもの。幼い頃からあったもの。
まだ名前をつけないことにした。
しかし目を背けないことにもした。
第19話を読んでくださり、ありがとうございます。アンナと承勲が初めて二人で向き合う場面を書きました。「趙東赫」という名前が写真の裏に現れた瞬間——この物語のすべての糸がここで一つに繋がり始めます。「なぜ見知らぬ感じがしないんだ」という承勲の問いに、答えはまだ遠い。しかし外面しないと決めた承勲の選択が、次話からの展開を大きく動かします。次話もよろしくお願いします。




