18: 取引
在俊がついに直接接触を要求してきた。承勲は自ら出向き、初めて二人が向き合う。「ハチマンの家」——その名前の重みを知りながら、承勲は条件を受け取り「3日ください」と答える。ロースクールのために動いていた在俊の言葉は脅しではなく、ただの事実だった。そして物語の最後、転校生・アンナ・アインベルクが現れ、承勲の隣に座るや「お久しぶりです」とつぶやく。因縁は、思っていたよりずっと深いところから来ていた。
# 第18話
**取引**
**2016年12月**
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賛赫が生徒会室の扉を閉めながら言った。
「禹在俊が動き始めた。」
承勲は書類から目を上げなかった。
「どうやって。」
「直接の接触を要求してきてる。もうジェウォンを通じたやり方はだめだって。俺たちのうちの一人が出ていかないといけない。」
承勲はペンを置いた。
17話でジェウォンを通じて受け取った文書。そしてその最後の行に書かれていた三文字。
*ハチマンの家。*
その名前が出た瞬間から承勲はわかっていた。これは単純な脅しではないということを。
「俺が出ます。」
賛赫がしばらく止まった。
「大丈夫か?」
「在俊が何を望んでいるか直接確認しないといけない。文書だけではわからないことがある。」
賛赫はしばらく承勲を見てから頷いた。
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待ち合わせの場所は水原市内の小さなカフェだった。
禹在俊はすでに来ていた。窓際の席。飲み物は頼んでいなかった。承勲が入ってくると彼は顔を上げた。
「やっと直接来たか。」
承勲は向かいに座った。
二人はしばらく無言で互いを見つめた。ポーカーの場で対決したあの日以来、二度目の対面だった。
在俊が先に口を開いた。
「ハチマンの家。どこで聞いたか知ってる?」
承勲は答えなかった。
「お前の祖父が一生隠してきた場所だよ。1962年、あの夜以降から。」
承勲の眼差しが静かに変わった。表面上は何も変わらなかった。しかし在俊はその微かな変化を見逃さなかった。
「反応したな。」
「続けてください。」
在俊はしばらく承勲を見てから話を続けた。
「俺はその場所の存在を知っている。そこに何があるかも。そしてそれが世に出たら道峰財団がどうなるかも。」
「望んでいるのは何ですか。」
在俊はテーブルの上に封筒を一つ置いた。
「この中に条件がある。金じゃない。」
承勲は封筒を手に取らなかった。
「今開けていいよ。」
承勲はしばらく封筒を見てからゆっくりと開けた。
条件は二つだった。一つは道峰財団の特定の事業への情報アクセス権。もう一つは、承勲本人が直接署名した確認書。
「なぜこれが必要なんですか。」
「俺はこの場を終わらせたい。お前の祖父が隠しているものが世に出るのが目的じゃない。ただ自分が欲しいものを得るために、このカードが必要だっただけだ。」
在俊は窓の外をちらっと見てから再び承勲に目を向けた。
「俺はロースクールに行かないといけない。お母さんが食堂の仕事で手が荒れるほど働いて稼いだお金じゃ到底無理だ。だからこの場を開いたんだ。」
その言葉は脅しではなかった。ただの事実だった。そしてだからこそより重かった。
承勲は封筒を再び折りたたんだ。
「3日ください。」
「5日やる。」
二人は同時に席を立った。握手はなかった。
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カフェを出た承勲は一人で歩いた。
*ハチマンの家。*
その名前が頭の中で巡った。幼い頃からたまに感じていたもの。指先の痛み。誰かへ向かって伸ばした腕。そして韓国に初めて到着した日、部屋の中で静かに浮かんできた名前。
*趙東赫。*
承勲は歩みを止めた。
祖父が何かを隠しているということはわかっていた。幼い頃から感じていた。自分を見るあの眼差し。喜びと恐れが同時に宿った。孫を抱きながらもどこか逃げ出したそうだった。
*それがこれと繋がっているのか。*
まだわからなかった。ただ一つだけははっきりしていた。ハチマンの家が何なのか知らなければならないということ。そしてそれを在俊より先に把握しなければならないということ。
彼は再び歩き出した。
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生徒会室に戻った承勲は賛赫に簡潔に伝えた。
「条件が二つです。金じゃない。情報アクセス権と署名。」
賛赫は無言で聞いてから聞いた。
「ハチマンの家が何なのかわかるか?」
「まだわかりません。でも突き止めます。」
賛赫はしばらく承勲を見た。その眼差しに複雑なものがあった。言いかけて堪えているようだった。
「承勲。」
「はい。」
「お前の祖父に関わることだ。お前が抱えきれることなのかと聞いてるんだ。」
承勲は答えなかった。代わりに窓の外を見た。
冬の午後の光が傾いていた。生徒たちが一人また一人と下校していく様子が見えた。
「抱えきれるかどうかに関わらず、知らないといけない。」
賛赫はそれ以上言わなかった。
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その日の遅い午後。
采恩からメッセージが来た。
*ジェウォン、今日もご飯またほとんど食べなかった。顔もちょっとおかしい。*
承勲はメッセージを見てしばらくスマートフォンを見下ろした。
ジェウォンをこの場に引き込んだのは自分だった。禹在俊との接触、封筒の受け渡し。その過程でジェウォンは何かを見て、何かを感じたはずだった。
そしてユンハ。
17話で采恩が心配していたこと。ジェウォンが少しずつ変わっているということ。
承勲はスマートフォンを置いて教室の方へ歩いた。
ジェウォンは廊下の端の窓際に一人で立っていた。窓の外を見ているようだったが、実際には何も見ていない眼差しだった。
「ジェウォン。」
ジェウォンが顔を向けた。
「最近どう。」
「……大丈夫です。」
その言葉が大丈夫じゃない人の言い方だということを、承勲はわかった。
「ユンハ。」
ジェウォンの肩が微かに固まった。
「つらかったら言っていい。」
ジェウォンはしばらく何も言わなかった。窓の外に視線を向けてからまた床を見た。
「大丈夫です、本当に。」
承勲はそれ以上押し込まなかった。ただしばらく隣に立っていた。
*俺があの子をこの場に引き込んだ。*
その重みが再び静かに降り積もった。
「ご飯は食べろよ。」
それだけだった。承勲は背を向けた。
ジェウォンはその後ろ姿をしばらく見つめた。
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その夜。
承勲は机の前に座って在俊が渡した封筒を再び広げた。
*ハチマンの家。*
彼はゆっくりと考えを整理した。祖父が隠しているもの。1962年。アンナが言っていたこと。自分が幼い頃から感じてきた違和感。
まだパズルのピースが足りなかった。しかし方向は見えた。
封筒を再びしまいながら承勲はつぶやいた。
「ハチマンの家が何なのか……祖父に直接聞かないといけない。」
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翌朝。
水原外高の廊下に見知らぬ顔があった。
承勲は教室へ向かいながら足を止めた。
転校生だった。職員室の前で担任と話をしていた。銀色に近い明るい髪。静かな眼差し。この学校のどの生徒とも違う雰囲気だった。
彼女がふと顔を向けた。承勲と目が合った。
一瞬だった。しかし承勲はその短い瞬間に不思議なものを感じた。初めて見る顔なのに、どこか見知らぬ感じがしない。いや、見知らぬ感じがしないというより——この人が自分を知っているという感じだった。
彼女はすぐに視線を外して担任との会話を続けた。
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**担任**
さあ、それじゃあ今日から1年7組だよ。よろしくね。
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彼女は頷いた。
承勲はその様子をしばらく見てから教室へ歩いた。
*あの人は……何だ。*
その疑問が短くよぎってから消えた。
しかし消えたのではなかった。心の片隅に静かに残った。
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教室の扉が開いた。
彼女が入ってきた。
担任が黒板に名前を書いた。
**アンナ・アインベルク。**
承勲はその名前を見つめた。初めて見る名前だった。しかしなぜか、初めて見る名前ではないような感じが過った。
アンナは教室を静かに見渡した。そして空席を確認してゆっくりと歩いてきた。承勲の隣の席だった。
席に着いた彼女は前を向いた。承勲の方は見なかった。
しかしごく低く、聞こえるか聞こえないかの声で言った。
「お久しぶりです。」
承勲は顔を向けた。
アンナはまだ正面を見ていた。何事もなかったかのように。
承勲はしばらく彼女を見てから再び前を向いた。
*久しぶり、か。*
その二文字が教室の騒音の中で静かに漂った。
まだわからなかった。しかしこの場が思ったよりずっと古いものと繋がっているということだけは、承勲は感じていた。
第18話を読んでくださり、ありがとうございます。承勲と在俊の初めての直接対話、そしてアンナの登場——この二つが重なるこの話は、物語の大きな転換点です。「お久しぶりです」というたった一言に、すべての過去と未来を込めました。次話もどうぞよろしくお願いします。




