歴史
そのモンスターはキングと名乗り、一つの種族を消し去った。世界中はパニックへと陥った。世界の危機を感じた各国の代表はまとまり、終戦する。そして、世界はキング討伐連盟を組んだ。しかし想像していた以上にキングは強く、世界は滅びかけた。そこで魔法の始祖マザー・マークが戦場へと降り立った。他とは比べられないほど圧倒的な火力でキングを圧倒するも、あと一歩というところで逃げられてしまった。それからというものキングは、失った力を回復するとともに、各地に巣を作りどんどん繁殖していったんだ。モンスターというのは成長も早く、一度に増える数も多かったため、種を増やしあっという間に世界中に広まった。それが今では各地にダンジョンと呼ばれる棲み処として残っている。今でも世界はキングと戦っている。ダンジョン各地を攻略し、キング復活に備え日々努力している、、、
「以上だ」
パチパチパチと拍手した。
「いやいやどうも。」
おじさんは調子に乗って誰もいないのに四方八方に礼をしている。
それより気になることが多すぎる。この話は説明不足が過ぎるぞ。
「おっさん、気になることが10個あるが聞いてもいいか?」
「めんどいから嫌。せめて3つに絞れ。」
まあ仕方ないか、なら何を聞くか、、、しばらく考え込んで、
「じゃあ1つ目はモンスターとはなんだ?」
おじさんはこっちを見つめてきて、きょとんとした顔からだんだん頬を膨らませ、ついには笑い出した。
「そうだよな、すまねえモンスターの意味が分からんのにモンスターの話しちゃダメだったよな。」
このおじさんやっぱすげーむかつく。
「あれだ、モンスターってのは人間では無い存在のことだよ。」
「ん?じゃあ動物ってことか?」
「ーん、そういう捉え方もできるが、そんな簡単じゃなくてな、世界では人間に背く生物と定義されている。それと動物はモンスターと敵対する。そのためこの世には動物なんてもの街以外には存在すらしないとされている。」
そうか動物はほとんどモンスターたちに滅ぼされたのか、、、
「質問2つ目だ、最初のほうに4分の3の企業が滅びたと言ったな。そしたら企業はまだ残っているはずだ。それでも道具がない理由、魔法が必要な理由はなんだ?」
「おいおい、お前さん世の中には物を作る会社ばっかあるとでも思ってんのか?」
「・・・まさか、」
「そうだ残ったのは物を作る以外の企業、しいては公共企業だけだ。民間の会社なんてもうどこにも残っちゃいない。だからこの世に道具は残っていない。理解したか?」
「・・・ああ。」
理解した。記憶の改ざんはこれが狙いだ。魔法のことを俺たちから切り離すことで、監獄から出た後、俺たちは魔法を知らないうえ、誰からも相手されないため、死ぬんだ。耐えられず自殺するんじゃなくて、生きていけずに死ぬしかないんだ。考えれば考えるだけ怒りが溜まる。
しかし怒る暇などない。考えなければ、俺はまだ考えることを諦めたくない。
「最後の質問だ。お前は誰だ。」
おじさんの目の色が変わる。何とも真剣な目で少し考えているように見えた。
「なぜそれを聞く。お前さんはそれを知ってどうなる。」
「聞きたいから聞くんだ。」
「はっ、なんだそれは、そんなことでは教えらんないな。代わりにお前さんの記憶について教えてやろう。」
「いやそんなのは要らない。おっさんのことを教えろ。」
自分の記憶についてはある程度めどが立っている。今はおじさんを知りたい。俺の欲が叫んでいる。今知らないと俺はきっと後悔する。
「頼む。どうしても知りたいんだ。」
「ならぬ。」
おじさんの口調が変わる。
「それだけは教えられん。そういう契約だ。だが1つ約束はしよう。お前さんがSECONDにたどり着くとき教えてやろう。必ず。」
そう言ったおじさんの声は迫力があった。何より透き通って見えた。ガラスのような言葉に少し見入ってしまった。
「分かりました、その言葉を信じます。」
俺は敬語で答えていた。この人には敬意をもって接すべき、体がそう反応した。ていうかSECONDってなんだ?
「では代わりにそのSECONDが何であり、いつなのか教えていただけますか?」
「無論、それも無理じゃ。諦めて他のことを聞けい。」
俺はこれ以上追求することはやめ、他の事を聞くことにした。
「じゃあ、歴史の話に戻りますが、あなた1つだけ噓をついていましたよね。」
!!
「よく分かったな。びっくりだ。」
もとのおじさんの口調に戻る。なんかやりづれぇ、
「なにが嘘だと感じたんだ?」
「キングは力を失ってはいない。そうだろ。」
「ああ、その通りだ。やつは、マザーと互角に戦い、追い詰めるどころか、マザーが重傷を負っちまった。だがやつはとどめをささず、なぜか力をため始めたんだ。これが真実だ。」
「おっさん、今の話にも嘘加えたな、なぜか、わかってんだろ。」
!!!
「本当にお前さんには驚かされるよ。そうだなぁ、分かってたとしても言えねえなあ。」
「そうか、それでもいい。」
「それよりお前さんどうして嘘が分かるのかな?」
「悪いな、それはこっちも企業秘密だ。」
「それは私の言葉が見えているからかな?」
おじさんはにんまりとほほ笑んだ。




