149話「平和な世界」
魔人王が討伐され、私は反動によってクリスの方を借りながら仲間達の元へと戻った。この混沌としていた世界には今や魔暴の姿はどこにもない、きっとどこかえ消えてしまったのだろうと思う。当然のことながらもう私たちの世界を侵略するものはどこにもいない、この戦いは私たちの勝利で終わった。
元の世界に戻った私たちは大勢の賞賛を浴びながら療養する日々が続いた。私の体は五体満足ではあるものの父の神性を使ったこともあって肉体がかなり磨耗してしまい完全回復には時間がかかるようだった。数ヶ月しばらくは刀を握れないとまで診断されてしまった。
クリスの方はなんでも魔人王の一撃がかなり強力だったため全身火傷に加えて、魔術神経にもダメージが入ったらしく私の倍は回復に時間がかかると言われてしまっていた。
父は神性が肉体からごっそり抜けた反動のせいでしばらくはリハビリ生活だそうで母がつきっきりになっている。困る父の顔に反して母の顔はどこか嬉しそうに見えていた。
先輩たちは戦い疲れていただけのようで基本的になんともなかったらしい。逆に私の心配ばかりさせてしまって申し訳なさの方が勝つ。
今回の戦争によって勝利を収めることができたが事後処理というのがかなり大変らしく、莫大な出費や各報道関連機関への説明、国家間での契約に基づく処理や、死者に対しての配慮、貴族たちに魔術秘宝がバレたらしくそれの説明など、聞いているだけで慌ただしい。そんなナリタテンマは、女王カテナと共に忙しない日々を送っているそうだ。
クリス曰く、前より関係は良くなったそうだが私は、よくわからない。
「すみませんねラナさん。」
「いいよ、それよりクリスは具合は大丈夫?リハビリはしっかりやっている。それはもちろん、こんな状態から一刻も早く抜け出してラナさんと、デートに行きたいですから!」
「……大丈夫そうだね。」
クリスが座っている車椅子を押しながら大きなベランダへと赴く。そこからは晴れ晴れとした太陽の日差しと空と、そして城下町から向こう側に広がる草原までがよく見えていた。
「ん、やっぱり眩しいですわね。」
「ずっと悪い天気の中いたからね。私はいい加減陽に慣れてきたけど。」
「お散歩の時間が限られていなければ私ももっとなれるはずなんですけどね。もうリハビリ生活は長いですから。」
「脚は動くんだっけ?」
「えぇ、ただ火傷によって爛れて、血管までカチカチになってしまっていますから、しばらくは痛みを伴いますがね。」
「うん。」
「ラナさん、気負わないでくださいね。私は自分の人生をいくらでも好き勝手にできるんですから、貴方のためではなくこれからのために、私はこの身を焼いたのですから。」
「……クリス、ありがとう。」
「はい!そのお礼は次のデートにお願いします。」
「うん。」




