105話「側面攻撃」
ナリタテンマ率いる大部隊による正面の攻撃が行われたと報告が上がり私たちはすぐに五大隊を率てエリアD2からエリアD3へと攻撃を進軍を仕掛けた。ナリタテンマが万を優に超える魔暴を正面から叩き伏せながら戦っているのが遠目で見えた時、同時に私たちも交戦に打って出る。
「ワルツ副隊長が出るぞ…っ!!!」
その人声が後ろから聞こえた時、真っ白な服を纏った人影がすぐ真上を跳躍し、向こう側に単身突入していった。すぐに乱戦に発展すると読みはできていたがまさかここまでワルツ先輩が大胆だとは誰も思いつかない。
「フォース先輩のところ!私たちは援護に回ります、ついてきてください!!」
ワルツ先輩がその分前線で引きつけてくれることを祈りつつ万が一のこともあり私たちの部隊はフォース先輩率いる第三大隊の援護に舵を切る。
間も無くして戦闘は開始された。最前線を第一、第二、第四大隊が担当すると同時に私はそれを援護する立ち位置だった。戦闘が開始されると間も無くして大きな攻撃が目前の魔暴達を吹き飛ばしていった。誰の攻撃かはそれとなく見当がつくものの、そんな余裕はなかった。援護する形といっても本格的な援護はその背後にいる後方支援部隊の仕事だ、私たちはあくまでもしものことがあった時の対応をするにとどまる。なにしろ
「っ!!」
悪雲がうち外れたかと思ったら、そこから赤熱球が大地へと落とされる。大規模な魔術行使で炎といえば一人しか思い当たる人物はいない。
「クリス、本気!」
完全本気ではないにしろかなりの強気な魔術、消費もかなり多いであろうがその様子からナリタテンマがこの戦場を電撃戦で終わらせようとしていることが窺える。この場で戦っている全員それがわかっているのか、魔暴を倒すスピードもかなり早い、同時に兵士たちがピンチに陥る事態も多かった。
「早くいけ!」
「ぅ、あ!あしがぁ!!!」
「やらせるか。お前らみたいなやつにぃ!」
「やめろ、やめろぉぉ!!」
救えた人、救えなかった人が目の前で死んでいく。ただ私もこの戦いでは無傷ではいられなかった。魔人族が指揮ではなく本格的な戦闘形態で向かってくるのだからそれをちくいち対応していかないといけない。
「殺れ!殺れ!人間は、殺れ!」
「黙りなさい!」
人をまるで道具のように持ち潰している魔人族を一体一体潰していくごとに、嫌気がさしていた。相手はこちらより上の戦力を保有していて、数も上である。魔人族それぞれには特殊な能力があって、長期戦になればなるほど不利になる展開は数知れなかった。そんな盲目的な戦いの中で私は武器を奮ってただただ目の前の敵を倒しているだけだった。それがいつ始まったのか、それがいつ終わるのか、わからなくなるまで。
「キリサメ!!」
「………か、」
「次、次!!」
魔人族を一人倒したところで安心なんてできなかった。だって私の目の前には常にアイツがいるんだから。
「っ、はははは?あ!!─────にぃ!!」
少年の魔人族、その爪先が私の喉を切り裂こうと向けられるも、すぐに刀で切り払い怒りと鋭さが混じった力強い一撃がその爪を切断する。
「またあったね!!」
「────貴方は、ころす!」
口が裂けるような笑顔を見せる少年に対して、私は怒りが優った。疲労と過去の経験からこの魔族を生かしては置けないとつくづく感じ、刀を振い続けるのだ。




