出会い
牢を抜け出ししばらくして異変に気がついた
先程まで騒がしかった獄卒たちの声が何もきこえない
「静かすぎる」
いつもは耳を塞いでも聞こえてくる
精神が死んでいない者たちの悲鳴、怨嗟が
亡者たちの共食いのもの音が
獄卒たちが拷問する時に聞こえる耳をつんざくような不愉快な笑い声が
骨を砕く音が
肉をすり潰す形容しがたい音が
なにも聞こえない
気味が悪いほどの静寂
しばらく歩きその答えの1つを見つけた
「なんだこりゃ・・・」
亡者がいないのだ、扉が開き逃げていたと言う意味ではない
この場合はいたというのが正しいのだろう
牢の中が朱一色で染められていたのだ
壁にはここの住人であったであろう亡者の肉片が貼り付き
床には朱い水溜まりのなかに臓物がまるで食い散らかされたように散乱している
天井に人が押し潰されたかのような染みがつき血液が滴になって張り付いている
「これゃひでぇ、まるで獣に食い荒らされたようだな」
と言ってみたがこんな殺され方は見たことがない
旅をしてきて不思議なことに巻き込まれたことは何度もある
人の死をみたこともそれでもこんな殺され方は今まで旅をして見てきたもの、経験のどこにも該当しない不可解なものだった
しばらく何か手がかりがないか使えるものがないか恐る恐る物色していたが流石に長居しすぎたようで死臭にやられ気分が悪くなってきた
「ここには使えるものはなにもないか手がかりもないし、そういえば獄卒たちが広場に集まれとか言っていたな、それもあんなに慌ててこうなれば行くしかないのかなぁ、いやだなぁ」
獄卒が言っていたことを思いだし嫌々であるが広場に向かうと決めた
広場に向かうためにみた他の牢も全て
無惨な姿になった亡者たちがいただけで他にはなにもなかった
「本当に俺が死んでいる間に何があったんだ、亡者どころか獄卒や獄兵すらいないとは」
広場の近くの廊下を歩いていると不意に声をかけられた。
「そ、そこの人まだ精神が死んでいないとお見受けします。どうか、どうか私を助けていただけませんか」
今にも消え入りそうなか細い声
普段では絶対に聞き逃してしまうほど弱々しく小さい声だった
目をやるとそこには、鎖で磔にされた金髪の少女がいた
身体には生傷がこれでもかとついている
鞭で打たれたかのような傷
刃物でつけられたような傷
殴られアザになっている場所
欠損している場所
ここにいる不死者で拷問されるものは何かしら罪を犯したものだけだと決まっている
それなのにこの少女はこれだけの傷を負っているということはこの少女も何かしらの罪を犯したのだろう
「お前はなんだ」
流石に自分も鬼ではない
そんな少女であるが話だけは聞いてやろうと思い質問に納得することができたら出してやろうと思った
「え、あぁ、その」
じれったい
「話せないのなら俺はもう行く」
こんなことをしている間に獄卒が戻ってくるかもしれない、だからなるべく早くしてほしいのだが
「わ、私はシャーロ、シャーロ・アリンナです!」
行くと聞き焦ったのか絞り出すような声で名前を言った
「ならシャーロ今から少し質問をする、その答えを聞いて俺が納得できたらそこから出してやる」
「ほ、ほんとうでしゅか」
慌てて喋ったためか噛んでしまったようだ恥ずかしそうにしている
「まず一つめ、なぜ閉じ込められている」
「はい、私は不死で旅をしているときに不死狩りにあいここに入れられました」
なるほど、経緯は俺と同じか
「次に、いつ頃からだ」
「はい、たしか一年暗い前でした」
あまり長くはないがその間にこんな姿になるまで拷問を受けたということは何かありそうだ
「なら最後に、なぜ拷問された」
「・・・・・・・」
この質問の意味が分かったのか急に下を向き何も言わなくなっ
「答えるつもりがないなら俺はもういく」
「待ってください!」
歩き出そうとしたらそう言われた
「質問に答えないものを助けるきにはならん」
「い、いいます、なぜ拷問されたのかを言いますだから、だから待ってください!!」
よほど今まで辛いことがありそれを思い出したのかそれとも助けてもらえる希望が遠ざかろうとしていて怖くなったのか少女は涙をためてそう叫んだ
「私は、アトの信者です」
それを聞きこの少女が拷問された理由もなぜここまで酷い扱いなのかも一瞬で理解した
今だに不安そうな顔をした少女を横目にしばらく考えこう言った
「なるほど、わかった深い理由は追々の聞くとする」
そういって
少女の牢と鎖を切り裂いた




