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鳥の主神の話に翔太は聞いてはならないような言葉があまりに出てきて一つ一つ確認したい気持ちと何も聞かなかったことにしたい気持ちが鬩ぎ合う中、とりあえず理解を諦め頭を整理していく。


そんな翔太の気持ちなど知らずに千歳が口を開く。



「母上様は猿なんかの国にいるのかえ?」



そんな千歳を胡乱げに見てため息をつく鳥の主神の常盤。

狼の主神の白根が千歳に話し出す。



「猿なんかではないだろう。雅に対して失礼が過ぎるぞ。前回の事で色々思うこともあるだろうが、他国の者や上位者をそのように扱えばいろんな問題を起こす。

 

そなたはその者に憑いて行ったことで教育が著しく遅れているようにしか見えぬ。狐の国ではそなたの見目や丹霞の寵愛でそれで済むかも知れぬが他の国の者には通用しない。

 

前回と同じようにその者を犠牲にしたくなければ今からでも改めよ」



白根の言葉に言い返そうとしても言葉が続かず、そのまま唇を噛み締めて俯く千歳。


鳥の主神の常盤と異なり、かなり穏やかな空気を醸し出す白根からの厳しい言葉と雰囲気に空気が今までと異なってしまう。


そして、その者とは自分の事だと思うが今それを問うべきなのか?



次の質問をするにもどうするか翔太は考えあぐねていると隣にいた天音激似の少女が口を開く。



「不躾に申し訳ありません。

なぜ中津国、その祭事が行われる人の国ではなく空津国に結界が張られたのでしょうか?」



ああ、と翔太もそういえばそうだと思う。


それに対して常盤が答える。



「人の界、中津国に空間を歪め同じ程度の結界を張ろうとすると前回とは比べ物にならない被害になる。


せっかく前回の祭りの後、各国の者を抑えて次の祭を中止し、修復しやすいように中津国が整うのを待ったのにあちらに結界を張れば、それらのすべてが無駄になる。


その上、下手をすれば中津国の半分程度の国が消え去る可能性もあったのでな。

あの規模の結界が張れるのは空津国だけしかなく、空津国の幽津国との境に大きい戦があった時の為に残されていた土地に一気に結界を張り、異空間とした。


ただ、場所が場所だっただけに空津国や幽津国の者も取り込まれておる。



あとは取り込んだ際に祭に参加するために中津国に降りていた者も取り込まれているので、大きな戦が起きぬように決まりを定め、各国より力ある者が自国の者が決まりを破らぬように派遣されておる


その他に伝えるとすれば…」



常盤は千歳に目を一度やってから翔太と天音に視線を戻し続けた。



「雅、空津国の主神だけだと手を抜く可能性も否めないので天界から狐の主神と根津国の主神も一緒に結界を張っている。


3人とも前回の咎による戒めが解けていないので、中津国をこれ以上荒らすのも国の者が問題を起こすのも防ぐのにちょうど良いのでな。



我ら2人は元々の管轄からこの問題の対処に勤め、祭に力を入れる3国が中心になって場を維持しておる。


ああ、ちなみに祭事は現在中津国ではなく結界の中に移動して行われている。」



そのまま常盤が続けた。



「その上で、そなたらの前回の償いを言って遣わす。


2030年まで生き延びることが贄にされた人に遣わされた生存の条件だが、そなたらの場合は罪を償わねば生き延びることが叶わぬ。



そこで我らが手を出しにくい取り込まれた人を元在った場所に戻すことをそなたらの償いと定めた。


これを受け、迅速にあちらへ向かい早急に人を中津国に戻すように」



償い、罪

朝からで何度目だろうと翔太は思う。


どんな罪を持っているといきなり幼女の神が現れて、とんでもなく偉い神々と対峙してあの昨日の不思議現象について話され、それすら神とかいろんなものが関わってる不可思議な人知を超える現象でそれを解決しに行けという指示が下るのか…。



そしてそれが生命に関わると…。何をするとそんな話が降ってくるのか…。



思わず神に祈りたくなったが、この無情な話をしているのが神であり祈ったところで何も変わらないであろう現実に乾いた笑いが出そうになる。

が、それで不興を買うことはしたくないと必死に自分を取り繕っていく。



まず、何から問えばその役目を終わらせることができるのかと考えていれば、注意を受け不貞腐れて翔太の分の菓子を食べて大人しくしていたはずの千歳が不満そうに口を開く。



「根津国とはどこの国の話かえ?それに蛇はどこに行ったのじゃ?蛇こそ元凶であろう?

 

なぜ母上様が猿の国なんかに行って手伝ってやっているのに、蛇が仕事をしていないのじゃ?」



この子は先ほど注意されたことを聞いていなかったのかと呆れる間もなく、白根を遮って常盤が答える。



「この知れ者が。何度も注意されてもわからぬ、そなたの頭は飾りか?

 

玲瓏は蛇の長。主神でありそなたが蛇などと呼んでいい存在ではない。

前回の事はそなたに取って恨みが強いだろうが、いま白根に注意されただけでなく、雅にも前回諭されたのを忘れたのか。

 

そのような頭でよくその"人"の傍にまた行けたものだな。そなたはまたその者を犠牲にするつもりなのか?

先ほど言われたばかりですら、すぐに忘れるぐらい大事でないのなら、その者があまりに哀れだ。

 

そこまで大事にできぬのであれば我がお前らの縁を切って、その者を開放してやろうか?」



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