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翔太のあまりに不躾な視線に驚き、はっとして少し厳しい声を出し狼の主神は千歳へ問う
「まだ話してないのか?話しても居ないのにここまで連れて来たということはまさか誘拐でもしてきたのか?」
「攫ってなどないのじゃ!鳥の主神から来た記憶玉ですぐに来るように言われたから着替えるように言って急いできたのに失礼なのじゃ!!」
ふくれっ面のまま千歳が噛みつくように答える。
横で厭きれ流れを見ていた鳥の主神はそのまま千歳に近づくと後ろ襟をつかみ翔太の元へ彼女を運び
「話が進まぬのでそこに座り、これを膝に乗せ抱いているように。
さすれば小娘は大人しくしていよう」
その言葉に噛みつこうとした千歳を受け取り、頭をさっと下げ目の前の席に腰をかけ、千歳を膝に乗せ軽く口を塞ぐ。
足をバタつかせ動かす千歳にもうどうにでもなれと、片手で頭を撫でると気持ちがいいのか大人しくなっていく。
思わず安堵のため息を出すと「そなたも大変だな」と狼の主神が何やら千歳と2人分の茶と菓子を出してくれた。
「ありがとうございます。」
と言えば、よいよいと狼の主神には手を振られ、千歳は袖を引き菓子をよこせと催促してくる。
呆れながらも、とにかく情報をと思う翔太は千歳の口から手を放し、菓子を前においてやると嬉しそうに一人嬉々として菓子を食べだした。
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「さて、邪魔が入らぬうちに話を進めよう」
鳥の主神が嬉しそうに菓子を頬張る千歳に視線を向けた後、翔太と隣に座った少女に話し始めた。
「小娘が何も話していないことは分かったので軽く全体の話から始めようと思う。
まず、我はこの地の球の3つある天界の内の1つである鳥の国の主神の常盤で、そっちは同じく天界の内の1つである狼の国の主神の白根だ。
ちなみにその小娘は残りの天界の1つ、狐の国の先は分からぬが一応筆頭次代候補だ。」
その言葉に思わず幼女に視線を向けてしまうとふふん。と言いたげな顔で翔太を見ている。
その話題に触れると長くなりそうなので思わず頭を撫でておいた。
厭きれ顔のまま鳥の主神が続ける。
「そなたらが居る界を中津国といい、他に空津国、根津国、幽津国というように界を分けて存在している国がある。
中津国の…そなたらが居た国の時刻で夜四ツくらいか?
その時刻あたりに幽津国の者によると思われる大規模な中津国の住人の人攫いが起きた件は把握しておるか?
この映像で流れているものだが。」
そう言い鳥の主神はテーブルの上にあった水晶のようなものになにやらまた先ほどのビー玉のようなものを触れさせると、目の前に昨日のスクランブル交差点や様々な国の映像が広がって行った。
「事前にすべてを防ぐことは定めにより我らにはできず、我らが見ている前で起きた人さらいを起こす状況を逆手に取って、攫われた人の消費をできるだけ抑えられるように現在は空津国に、空津国と根津国の主神と狐の主神が作った結界内にすべてを閉じ込めてある。
ここまでで質問はあるか?」
質問というか言っていることは言葉としてはわかるが何の話をしているのか理解できているかは別の話で、昨日の現象以前にそう、その前に聞きたいことがある。と恐る恐る挙手する。
「よい。そのまま話せ」
「ありがとうございます。先にご挨拶が遅れて申し訳ありません。名を坂井 翔太と申します。
そもそもが理解できておらず申し訳ありませんが、私たちが存在している場所以外にいくつもの世界があり、そこを支配されている方々という認識でよろしいでしょうか?
また、お二人は神様ということで認識は合っていますか…?」
そう口にしながらつい千歳に目をやってしまう。
狐の次代候補ということはこの幼女も神様ってことなのか…?
神…神って…と思考が在らぬ方に行きそうになるのを察したのか狼の主神が苦笑いをしながら答えた。
「ああ、まずそこからか。そうだな。そなたらの国の概念でいうと神という存在に近いだろう。だが、中津国の他の国では同じように神のように考える国もあれば精霊や妖精という概念に近い国もある。
とりあえず簡単にそなたら人とは異なる者だと理解しておいてくれたらいい」
簡単に考えられる話ではないが今そこで止まるわけにもいかないので質問をと次に気になることを聞いていく
「ありがとうございます。
異なる世界が複数あること、また自分たちとは違う私たちの概念で神や精霊などに近い存在が人以外の国を治めていることは分かりました。が、全体像がわかりません。
なぜ、その…幽津国でしたか?
その国の者は人を狙って攫おうとしたのでしょうか?」
狼の主神とのやり取りを観察するように見ていた鳥の主神が満足げに頷く。
「小娘に気に入られた人の割りに理解が早くてよいな。
幽津国はそなたらの概念でいうと物の怪、妖怪や幽鬼といった者の国でな。稀に我らの国よりも移り住む者をいるが、ほとんどが幽津国に元から居た者だ。
いまより45年前より新たな祭事の時期になっていてな。
3つの天界、空津国、根津国の者が中津国に降り立ち始め、今年から5年間の間行われる前祭、本祭、後祭に向けて準備が行われていたのだが、今年の前祭で各国がお互いの様子見をしながら来年からの本祭に向けて最後の調整が行われていれば、何やらおかしな気の流れがあり調べれば、前回の祭事で贄に使われた者が数人ではなく、かなりの数が行方知れずになっているのが分かった。
そして今回、中津国のあらゆる場所に気の流れがあまりに大きく歪んでいる場所が複数あり、主神の会合と重なったので皆で見ていればこのような事態になった。
そのまま人を取り込もうとしている者たちに取り込ませる訳にもいかず、我と狐と根津国の主神が中津国に降り、空津国の主神が空津国に場を繋ぎ、その場にいた者すべてを空津国の場に送り、今は狐と根津国と空津国の主神がその場に結界を張り安定させるように動いているところだ」




