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紅闇は笑いながら言うが、興奮して火が出ると言うのはどういうことなんだ?と疑問を口に出す前に
「ああ、狐の者の多くは火が属性なんだ。
だから、興奮しすぎると身体から炎を出してね。」
ちらっと千歳に目をやり
「主神たちと会った時に見ているだろうけど、ああいう風に火を身体から出してしまうんだ。
ある程度年齢が行くとそこまで興奮することもないから出ることも滅多にないんだけれど、よほど興奮したんだろうね」
様子を思い出したのか、くっくっくと口に拳を当て笑いを堪えながら
「天音から聞いた内容にどうやったらよりすごいものができるかやキャラ弁だっけ?あれを人の母親は毎日作る人もいると聞いて対抗意識も燃やしたみたいでね。
彼等の熱が冷めるまでは当分こういった凝った料理になると思うよ」
味は何の不満もなく美味いの一言で済むので自分的に問題はないが
「これは狐の一族や天界では普通なんですか?」
「いや、普通ではないかな?
私のところの者は独創性が強い者が多くてね。
こういうことが好きな者が多いというのはある。
母上のところは上品に纏まったものを好むから君たちの国の懐石や手毬寿司のようなものが多いかな。」
懐石に手毬寿司と言われ、京風の料理を思い浮かべてしまう。
京都とか狐関連の伝説ってなにがあったか…
「他の国の料理はそこまで食したことがないが、猿のところが一番食道楽的な傾向が強くて、狼のところは量がすごいかな。
鳥と蛇はうちと似たような感じだけれど、鳥は中津国の東南アジア系の料理や、蛇はヨーロッパ系の料理も多いと聞くね
祭事で中津国に行った際にどの国も気に入りそうな物を仕入れて来て国々でより自分たちに合うように調整するのがここ1000年くらいは流行っているんじゃないかな…?」
祭事以外に食文化も影響を受けているのかと思っていれば、まさかの逆輸入だった。
だから、厨房が天音の話でどんどん日本にもないようなSNS映えがすごいものができているのかと少し遠い目になりそうになった。
「同じ地の球の者だからね。種族は異なっても好むものが重なることもある。
私も今回いろんなところに行けたので、たくさん茶を仕入れられて嬉しかったよ
前回は担当がアメリカ大陸だったからあまりいい茶があの頃はなくてね…」
そう前回の祭事の話をされる。
紅闇にとってはもしかしたら祭事とは茶を仕入れるイベントなのかもしれない。と芸事に力を入れている者といない者や立場で祭事も全然異なる催しなのかもしれない。
「さて、翔太。ちゃんと食べておくれ。今日はあまり時間がないからね
天音と千歳は食後の茶はなにがいい?」
そう言われて、天音や千歳が食事が終わっていることに気づく。
あんなに盛り上がっていたのに食べたのか。と驚きも隠せなかったが紅闇の話に気を取られて箸が止まっていたので手を動かす。
2人は紅闇と共に茶箪笥へ進み、紅闇は振り返って「いつものでいい?」と聞いてくれるので頷いておく。
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「さて、準備はいいかな?」
食後の茶を貰い、一度部屋に戻り身なりを確認し玄関へ向かう。
今日はブーツではなく、下駄が用意されていた。
「履き慣れないだろうからゆっくり行くよ。歩く速度が速かったら言って欲しい。
ああ、あと、翔太。鳥の主神から貰ったその子に名前を付けてしまいなさい」
玄関の前に椅子があり、そこに鳥の主神から頂いた梟が止まっている。
下駄を履き、少し緊張しながら傍に行き、少し腰を下ろし鳥の真正面に立ち梟に声を掛ける。
「遅くなってごめん。僕の名前は坂井翔太です。
君の名前は薄明というのはどうだろう?
君の羽の色と神様から頂いた鳥だから光を示す名前がいいかと思って。夜明け前や日没後の淡い光を指す言葉なんだ」
名前の由来に気に入ったのか薄明は飛び翔太の肩に止まる。
「よし。では行こうか。
よろしく薄明。翔太を守っておくれね」
紅闇の言葉に一鳴きすると紅闇も満足そうに頷く。千歳も興味深げに見ているが、紅闇に促され外に向かっていく。
「なんか翔太さんかっこいいですね。
梟が肩に止まってるってラノベみたい」
天音のセリフに翔太は吹き出してしまう。
「ラノベは勘弁だな。もっと若い人を選んでくれよって最初呼ばれた時は思ったし」
「あ、翔太さんも思ったんですね。私も最初そう思ったら、彼に違うってそんな生易しい事じゃないと思うって説明されてめちゃくちゃ緊張して行ったんですよね。」
「本当に生易しくなさ過ぎて引きました」という天音の言葉に驚く。
「すごい余裕そうに見えてたよ。」
「それは彼に表情に出すな。とりあえず落ち着いて聞けってずっと言われ続けてて、本当はもう無理って思って彼と入れ替わろうと思ったらあの空間変われなくって…本当に無理ゲーでした。」
そういう天音に思わず笑ってしまう。
天音との感性は異なっても紅闇もそうだが、似た部分はやはりある訳で思いつめずに軽く考えようと、こういう話を聞くと天音との差を軽く考えられる気がした。




