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「本当にすごかったですね」
ジオラマにしか見えない昼食を取り、そのままテーブルで茶を飲みながら眠そうに天音が話している。
千歳はまだ興奮しているのか、膳の凄さを紅闇に語っている。
「天音ちゃん。軽く仮眠して来たら?」
「そうですね…。でもいま寝ると夜寝れなくなって昼夜逆転するかもしれないから、このまま夜まで起きていようか悩みますね」
確かに、それは否めない。
「無理はしないようにね」
「はい。家で大人しくしてるだけですし、無理なら部屋で寝てきます。」
紅闇に何やら言われ絵を書き出した千歳を横目に確認し、紅闇は先ほど持ってきた箱をこちらのテーブルに持ってきた。
そしてテーブルの上に昨日作業台に置いてあった道具とはまた異なる腕に装着するような装飾品と水晶が真ん中に置かれた金属と半貴石で飾られた盆とも器とも言えるような置物を置いた。
「翔太。こちらへ。装着してしまおう。腕輪を付けた腕とは異なる方の腕の袖を捲くってくれるかい?」
声を掛けられ袖を捲くりながら紅闇の元へ向かう。
眠そうにしていた天音も身を起こして何が起こるのかと興味深そうに眺めている。
「腕輪と同じで付けても何も起こらないから安心して」
その言葉に昨日のことを思い出して、少し笑い出しそうになっている紅闇をジト目で見ておく。
そんな翔太に気づいて小さく身体を震わせて「ごめんごめん」と笑いながら翔太の腕に装飾具を付けていく。
「よかった。ちょうどよかったね。じゃあ、この水晶に手を置いてみて」
言われた通りに先ほどテーブルに置いた盆のような置物の中心にある水晶に手を置く。
手が触れると何かが身体から引っ張られる感じがする。
そして水晶は軽く光を放つとそのまますぐに光が散り散りになって元に戻り、身体から引き出されていた何かも気づけば止まっている。
「翔太、手を放して。気分や体調は悪くない?」
特に変化がないので頷けば「じゃあ、もう一度手を水晶に乗せて」
手を乗せれば先ほどと同じように身体から何かが引き出される。
水晶が光、すぐにまた光が散り散りになっていく。
身体から引き出されている何かは、水晶が光るまで引き出されているようで光るとそこで止まり、盆の水晶もすぐに光が止まっているようだった。
「身体や気分は変わりない?」
頷く翔太に紅闇は続ける。
「よかった。では続けよう。
これはね。最初に力を認識して使いこなす為に道具に力を通す練習をするものなんだ。
水晶に手を乗せると身体の中から何か引き出されている感じがすると思う。それが力と言われるものだ。
君たちの世界の考え方だとゲームとかに出てくる魔力とかと一緒だと思えばいい。」
あの引っ張られる感じがそうかと道具から紅闇に視線を上げれば、彼は頷き、盆の横にあるつまみのようなものを操作し、今度は自分が水晶の上に手を置く。
そうすると翔太が手を置いた時とは異なり、長く水晶は光り金属でできたレースのような装飾に半貴石が埋め込まれた盆自体も輝き始め、最後には半貴石も輝き出した。
「この水晶がある道具は手を乗せるだけでまず身体からその力を引っ張り認識をさせてくれる。
引っ張られているものが力だと認識ができたら、その力を少し多く出せるように水晶の設定を変える。
そうするとこんな風に盆全体が輝くように力を引っ張っていく。
何度か行っているうちに力を通す感覚がついて来て、その腕の装飾品を付けなくても自分で力の出力のコントロールができるようになって来る
最初から付けないでやると、力を流し過ぎて倒れてしまったり、力が強過ぎるものだと盆を壊してしまったりするからその装飾具を付けるんだ」
改めて装飾具を見て、盆を見る。
まだ僅かに輝きが残っている盆に「ちょっと力を入れすぎちゃったね」と彼は何やら丸いビー玉のようなものを盆も横にある窪みに嵌めるとあっという間に盆から輝きが消え、今度は窪みに嵌めたビー玉が光を帯びている。
「こんな感じで力を通し過ぎたら、こういう力の吸収ができる媒体に力を移して使うようになっている。
いま、見本で見せたけど翔太は…。ああ、天音もやってみたいのかい?
やってもいいけど、君たちは必ず装飾品を付けてやること。
これは、かなり大きい力でも溜め込めるようにできているけれど、その分自分の限界値が分からないうちにどこまでも力を通せば倒れる可能性がある。
設定をしてあるから、まず慣れるまではその装飾品で限度が決まっている状態で練習するように。」
説明に目を輝かせた天音や楽しくなって来ていたのが顔に出ていた翔太にも気づいたのか紅闇は釘を刺しながら、盆の設定を変えていく。
「翔太、先ほどより長く力を引き出される。気分が悪いと思ったらすぐに手を放すように」




