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何とも言えない表情を浮かべ、コーヒーをカップに注ぎ、翔太にもお変わりが居るか聞いてくるが断り、話の続きを促す。
「まあ、母上のことはいいや。
蛇の主神はね。少しでも神子の有利になる様にできる範囲で彼らが産まれてくる場所を選んだんだろうね。
天音との関係も正直こうなるとは思っていなかっただろうし、予定外だろうけど彼ら二人の関係は神子にとっていい方に進んでいるから、腕輪などの援助も惜しまないで神子が今度こそ上がれるようにと思ってるんだと思うよ。」
「私も責任重大だ」と半笑いで言いながらコーヒーに口を付けている。
軽く言っているがよく考えれば、天音を預かっている紅闇の責任はとてつもなく重いと今更思い至った。
確かにものすごく責任重大だろう…思わず紅闇の顔色を窺うように見てしまえば笑いながら「大丈夫だよ」と
「一応これでも、千歳が産まれてくる前までは狐の時期次代として圧迫されて育ったからね?
蛇の主神はご自分の一族に天音を今の状態で置くのは良くないと考えているんだと思う。
そして翔太と一緒にしておくのが一番安全だとも思ったから狐で一緒に見ることになって、それなりに見返りがあるから悪い面ばかりではないんだよ」
翔太を安心させようと話す紅闇の言葉だが、それ以上に気になったのが紅闇が時期次代だったということで…
次代、紅闇の方がいいのではと思わず顔に出てしまったのかもしれない。翔太を見ながらまた紅闇が笑いだした。
「次代の事なら、千歳が産まれて来てくれてよかったと思ってるよ。
色でね。髪はいいのだけれど瞳の色がもう少し赤が濃いか、橙ではなく金に近いかであればよかったんだけれど私の目は赤茶に見えやすいのでね。
うちは色による縦割り社会だから私の色だと面倒が多くて。」
思い出したのか息を吐き出し、軽く笑って
「その点、千歳の色は一番煩い者たちも黙るし、そうではない者たちでもあの色に従おうという者は多いから、ちゃんと教育をしてしまって母上が退かれた後が楽ができるようにしたいと思っているよ」
思うよりも重い話だろうが軽く話してくれているので、突っ込んで聞いていいのかわからないが、紅闇自体はあまり今の体制をよく思ってないのだろう。
…なんだろう。自分の将来を考えた時に消滅…うまくいけば縁の繋ぎ直しと言っていたが、現実それを行えば鳥の一族と狐の一族の関係悪化だけではなく、千歳が闇落ちをするのであれば他の神々も巻き込んで戦争が起きると聞いた上で…
幼児を恋愛対象などとは思えないが、下手するとすべての神々を敵に回した状態で来世へと行くのが幸せかと考えれば…それは…ちょっと恐怖しかないというか…。
そう考えると消滅したいくらい紅闇たちが嫌にならない限り、千歳の番として将来絡め取られるのであれば、少しでもいい環境の構築に協力してしまいたいと思う自分は悪くないと思う。
いや、この状態でそう思わないでいられる人が居るのだろうか?
「できることは少ないと思いますが、ここに居る間で出来ることがあれば声を掛けてください。
将来を考えての打算なのと、できないことはできないになってしまいますが…」
そう声を掛けた翔太に目を丸くして紅闇はまた笑いだす。
「ああ、翔太が協力してくれたらとても楽かもしれない。
ありがとう。そう言って貰えただけで少し気が楽になったよ」
しっぽも耳もあまり動かない紅闇が珍しく尻尾を機嫌よさそうにふわふわと揺らしている。
「いいものだね。協力者が増えるのは。千歳もこのまま落ち着いて成長してくれればいいのだけどね」
少し明るい未来が見えたのか嬉しそうに笑い、耳の飾りにまた触れながら式を呼び出し、何やらどこかに連絡を取っている。
「いま、千歳たちに予定変更を連絡したから彼女たちが厨房で話し終えて戻ってきたら天音には休んでもらおう。
翔太はどうする?道具が来るまで部屋で休んでいてもいいけど…」
「可能であればですが…
状況や情報把握をもっとちゃんとできるようにしたいので、なにかこちらの情報が読める本や記録媒体などはないですか?
できれば、力に関してや祭事・芸事のことや、全体像がもう少し欲しいのとあとは幽津国に関してや暮らす種族のことも知りたいです。
なにが地雷かわからずに進むのはやはり不安が大きいので」
「そうだね」と頷き、紅闇は席を立つ。
「資料でいいものがないか見てくるから自由にしていて。
見つかったら式を飛ばすよ
ああ、カップはそのままでいい。片づけてくれるから。
じゃあ、あとでね」
翔太に説明するとそのまま紅闇は階段の方へ向かっていく。
厨房に話し終えてということは天音たちは当分帰ってこないだろう。
せっかくだからと少し頭の休憩もかねて、朝できなかった中庭の散策をしようと縁側に歩いて行く。
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中庭に降りると朝焼けの時間と違い気温が上がってきているのが分かる。
あまり暑さに強くない翔太は暑くなる前に戻ろうと決め、先ほど行った東屋とは異なる方向に進んでいく。
そういえば鳥の主神に貰った梟の名を考えなくてはいけないんだったと、薄い青紫に黒に近い紫の目をした小さな梟を思い出す。
呼びやすく、色にあった風情のある名前がいいと頭を捻る。
「…よし。神様から貰った梟なんだから光に由来する名前を付けてもいいよな。薄明にしよう。」
夜明けや日没後の淡い光の色に羽根の色などが似ているのでいいんじゃないかと一人満足げに独り言ちる。
気に入ってくれるといいなと、思いながら散策していれば藤棚があり、横に休憩スペースのようにここにも東屋がある。
何か所東屋があるのだろうと、もしかしたら景色がいい場所すべてに東屋が設置されているのかと気になりながらも道なりに進むと、先に五重の塔によく似た建物が見える。
「日本の建築物の影響って中国じゃなくって狐の国由来だったりとかするのかな…?」
そう色々似ているものを見るたびに音楽や物語だけではなく、すべてに影響が出ているのではないかととても気になる。
いま、そういう話をしていいかわからないが機会が合ったら、狐の国以外の建築物や庭園の話も聞いてみたいと思う。




