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「それは問題になりそうだね。できるだけ荒立てたくないからどうしようかな…。」



そう言って紅闇はまた中庭に視線を移す。

翔太もコーヒーに口を付け、どうするのが穏便に進む方法なのだろうと考えを巡らす。



「そうだな。今の時点でいい案が浮かばないから少し保留にしようか。天音は今日から私たちと一緒に行動をするから、千歳が紫暈に簡単な言の葉の綴り方を習っている間に様子を見てみるよ


それで明日の朝話そうか。」



紅闇の提案に翔太は頷く。

自分以外の、紅闇の視点が入ることに安堵する。



「あとは気になることはあるかい?」


「そうですね。天音ちゃんは今日全く寝ていないのでどこかで一度休ませた方がいいかもしれないです。」


「寝ていない?」


「ええ、昨日聞いた内容をメモで渡した後に神子君が混乱して別れて、その後2人で話して落ち着いたらその他の事が気になったみたいで僕が起きて行くまで部屋の外でお茶していたみたいなんですね。


その後、一緒に中庭に行って今に至るので、どこかで休ませた方がいいんじゃないかと」



紅闇がため息をつく。



「その通りだね。どうしようかな。

連れて行って休ませるか、ここに置いて行って休ませるか…


氷河に確認するからちょっと待ってね」



話しながら耳の飾りに手を当て、何やら呟くと先ほどの狐火が現れる。そして現れたと思ったら消え、目を疑う。



「ああ、驚いた?私の式は氷河の式とは異なって消えたりするんだ


彼はこの時間は全体の確認をしているからすぐに返事をくれるだろう。返事が来るまで少しのんびりしようか」



もう一杯入れようかなと紅闇が珈琲豆を選んでいると、あっという間に昨日氷河が送っていた式が現れた。

紅闇が「相変わらず仕事が早すぎるな」とため息をついて式に触れる。



「紅闇。


紫暈にはこちらから連絡を入れるので今日は無しにしよう。無理をさせて倒れられるのが一番困る。


後ほどうちの者に翔太の調整用の道具を持たせるので力を通す練習だけやっていて欲しい。


あと、蛇の一族から連絡があった。

明日の午後一番の時間に腕輪を持って行くと言っていたのでそのつもりで来て欲しい。」



狼の形をしていた式は伝言を伝えたかと思うとくるっと周り空気に溶けた。



「蛇の一族も仕事が早いね。

そうか、じゃあ明日の天音の衣装についてちょっと調整しないとな


翔太、そんな感じだから道具が届いたらやり方を教えるから、今日は一日道具に力を通す練習をしてもらうよ」



軽くそう言う珈琲豆にまた視線を戻して、とこれにしようとミルにかけている。

豆が挽き終わるのを待ち、紅闇がドリップする為に湯を注いでいる姿を見ながら翔太は問う。



「力を通すとはどういうことをするんですか?」



不思議そうに翔太を見つめて、ああと思いが至らなかったように声を出し、紅闇が説明をしてくれる。



「そうか。それも昨日話せなかったね。昨日道具に触れて、相性や適性を見たでしょ?


それで、昨日氷河と紫暈と見立てて良さそうなものがあったから、多分それが使えるように補助器を使って道具に力を通していくんだけど…


基本触れていると力が通って行くから、今日はそこまでかな。

半日も触れていれば力が外に流れているのに慣れるから明日の作業が楽になるからね」



珈琲がドリップされる様を見ながら他にも何か考えているのか、口に指を当てている。


柔らかい雰囲気のある紅闇は威圧感はないが、この考えている空気はそれなりに圧迫感があるな…


翔太は少し気分を変えようと中庭に視線を動かす。

苔と枯山水に日の光と影が織りなす風景を植木が風に吹かれ揺れてより風情がある景色を織りなしている。



「翔太は食べ物より景色や植物の方が好きそうだね」


「そうですね。食はそこまでこだわりがなかったので。それにここまで見事な庭園なかなか見れないので、つい魅入ってしまいますね。」


「それはうちの形師が喜びそうだ」



いつの間にか考え事を終えていた紅闇の言葉にそう返し、ふと思い出したことを問う。



「そういえば、紅闇さんは天音ちゃんの誕生日っていつ聞いたんですか?」


「ん?聞いてないよ。ああ、それはね、前回の件に関わった人に関しては一覧があるんだ。


それに彼女の情報もあったから。」


「じゃあ、僕の情報も?」


「うん。あったね。その辺の輪廻に関しては蛇の主神が担当したんだけど、翔太も多分一番千歳と相性がいい日を選んでると思うよ。


…力に少しでも押し負けないように蛇の主神からの餞別かな…」



その言葉に驚きを隠せないでいると紅闇が続ける。



「言ったでしょ?彼は主神たちの中で一番人に対して寛大だって。


だから、少しでも贄にした人々や巻き込まれた者がまた贄になる道を行かないよう。今世では心改め暮らすのであれば幸せに暮らせるように心を配ったんだと思うよ。



…まあ、天音に対しては格別の計らいだったけど、あの程度なら誰も咎めないというか、母上が担当していたらもっと露骨なことになっただろうしね」


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