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天音がメモを読んでいる間、翔太は庭に目をやり、今日行うことの整理を頭の中で行う。



まず紅闇との会話で重要なのは何だろう。

今の時点だと正直ない気がするが、天音と蛇の主神の子の話をしておいた方がいいのかも知れない。


彼の自分たちへの認識と自分が思っている認識が合っている方が今後スムーズだろう。


あとは、千歳に関しては気にはなるが自分にできることは本当に子どものお守り程度で天音や紅闇が紫暈を先生と認識するように促しているときに少し一緒に褒めるとか程度だろう。


子どもとそんなに接したことのない自分にできることはその程度だからできることに気を向けようと、改めて考えていれば読み終わったのか天音が声を掛けてくる。



「翔太さん。これってとんでもなくヤバくないですか?

え?中津国崩壊寸前って感じじゃないですか。」



あまりに率直な物言いにまた笑いたくなるが「そうだね」としか言えないので、そうだねと答えておく。



「わー。こういう人って結構居ますよね。これ…贄にされるって知ったら大騒ぎになりそう。


でも…そっか。仕方ないですよね。こういう人のせいで問題って大きくなったりしてるし。増やさないために犠牲が必要で世界を安定させるためなら自業自得って言うか。


たまにこういう人ってお仕事で会うことがあるんですけど、好きじゃないからいいやって思わず思っちゃいました」



そう軽く言い笑う天音に確かに天音が居る業界には多いだろうなと、最近の炎上騒動などを見ても思う。



「それよりも気になったのが、紅闇さんが人で無くなったものは処分て言ってた時に贄の結晶に戻るよりはいいって言ってたじゃないですか?


そっちの方が怖いなって…」



「ああ…神が処分の方がマシっていう贄の結晶って何なんだろうな…


紅闇さんに確認しておいた方がいいのかな?

それって人に対して帰る様に説得する材料にいいかも知れないが、知った後に人で無くなった者が暴発するのに繋がる可能性もあるから交渉には使えないよな」


「確かに…自暴自棄になったら怖いしめんどくさいですね。」



さっきの話でも思ったが天音は人よりも神の感覚の方が近しい部分があるのかもしれない。


好きじゃないから自分と同じ業界で会ったことがある人物でも、穢れを放つような人間で多くに害があるなら、贄になって当然という感覚値もだが、さらっと自暴自棄になる可能性のある人では無くなった人を既に処分するものとして受け入れているのを見ると自分より神々に適応するのが早いのか…



「外で朝日を浴びながら食べるお菓子ってすごくおいしいです。」



菓子を食べ、菓子を入れていた風呂敷を何やら折り紙のように折りながら至福そうな表情をしているのを見て思った。

彼女にとって処分される人だったものより、菓子をじっくり味わえる方が大事だという気持ちが駄々洩れているのがありありと出ている。


まあ、これからのことを考えれば、そこを割り切れないと精神が病む未来しか見えないからある意味良かったのかもしれないが…



天音と話した内容から紅闇に確認したいことをまとめて書いていた手を止め東屋から外を見れば、日の光で池の水面がきらきらと輝き、少し離れた場所には水中花が咲き誇るような美しく幻想的な景色が広がっている。


こんな幻想的な空間にいると、時の流れも人としての感情や感覚も微睡み溶かして行ってしまうのかも知れない。


翔太がそんなことを考えていると、遠くで千歳の呼び声が聞こえる。



「翔太ー!天音ー!朝餉じゃー!はよ起きてくるのじゃー!」



天音が離れの方角を見やり「え、もうそんな時間ですか?早いなー」と驚いている。


だが、中庭に来たのがもう5時を過ぎた頃だっただろうから、話していた時間も考えるともう7時に近い時間になっているだろう。



「じゃあ戻りますか。多分千歳さんと天音ちゃんは一緒に朝餉の後別行動だろうから、また夜に。って夜まで体力持つ?」


「多分大丈夫だと思います。仕事で徹夜とかもあるから多分…」


「あんまり無理しないようにね。」



そういえば笑って「はい」と言いながら、最後の菓子を口に入れていた。

皿の上の菓子を全部食べたことに気づいて笑いそうになったが、天音の表情が目に入り、気を引き締めた。今笑ったらまずい。


気持ちを切り替えて茶わんを風呂敷で包もうとすると、さっと風が吹いたと思うと茶わんも皿も水筒もすべて消えていた。


驚いて見ている翔太に天音が「厨房の方が引き取ってくれたんですかね?」といい、いろんな方向を見てからテーブルに視線を戻し礼を言っているので、自分も礼を言う。



そんなことをしていれば、また千歳の呼び声が聞こえる。


待たせていると呼び声が叫び声になりそうだと、急ごうかと声を掛けようと振り返れば、天音が扇を出している。


そして先ほど折っていた風呂敷に向かって、ワンフレーズ詠う。



風呂敷に文字が降りて行き、不思議な光景に目を奪われていると風呂敷は浮かび上がり、そのまま離れの方に飛んでいく。



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