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軽い肩掛けを掛けた天音が既に待っていて、翔太に気づき「お茶も持って行って中庭でお茶しません?」と水筒に茶を淹れている。



「ここまで飲んだから、次はこれなのでおいしいかはわからないけど今まで飲んだお茶全部おいしかったからいけると思います!」



夜中にどれだけ飲んだのか、先ほどまでスタックされていたカップは消えていたが、昨日の夜に言っていた茶よりかなり先の茶を選んでいるような気がする。



「ありがとう。じゃあ、カップを鞄に入れるけどなんか包むものってあったっけ?」


「そこのお茶菓子が入ってる棚の上の段に入ってます。」



上の段の引き戸を上げると引き出しがあり、いくつか開けると風呂敷のような布が入っていた。


それを1枚取り出し、茶わんを包んでいく。


天音がそこへさっと茶菓子の乗った皿も出し、「これも」と言うブレない姿に笑いが込み上げてくる。


昨日怒られたばかりなのでできるだけ抑えもう1枚風呂敷を取り、茶菓子の乗った皿を包んでいると天音に「ずっと起きてたからもうおなかが空いてるんです」と言われ耐えられず、笑ってしまう。



少し怒った天音に謝りながら、さっと鞄に荷物を入れ「下に行こう」と促し中庭に向かっていく。





---





中庭は縁側から見ても京都のどこかの庭園だと言われても不思議がない位の雅さを誇っていて、枯山水から計算された様に様々な植木が植えられ奥には森のような木々に朱色に塗られた橋も見える。



縁側から外に出ようとすると、下駄のような外履きが置かれており、天音はそれに履き替えているので真似て翔太も外履きに履き替える。



そのまま道なりに歩いて行けば橋の先に池に囲まれた東屋が見える。



「少し歩きますけど、あそこの東屋で話しませんか?」



その提案に頷き、千歳と昨日あそこで茶をしていた話を聞く。



「ああ、そういえば昨日駐屯場で何があったの?


すごくぐずってたけど、あれは綴りに関しての話?」



「あ、はい。そうです。


翔太さんが倒れている間の話なんですけど、紅闇さんと3人になった時に千歳ちゃんが「自分がすごいのを綴って翔太が使って罪を償ってすぐ終わるのじゃ!」と言う話をして…


その…紅闇さんに現実を突きつけられたというか…


いまの翔太さんが千歳ちゃんが綴ったものを使えば千切れてもおかしくないし、千歳ちゃんは翔太さんを大事にする気がないのかって鳥の主神さんや狼の主神さんに指摘されたことを紅闇さんに優しくだけど結構厳しく注意されて、ちょっとへこんじゃったんですね」



鳥の鳴き声がしたかと思うと鳥の主神が遣わした小さな梟が近くの植木に止まっている。


少し意識をそちらに取られたが、天音に向き直り「ああ、千切れるのは嫌だな」と笑い半分に言えば「そうですよね」と軽く頷き歩きながら話を続ける。



「そのあと2人でごはんを食べてたんですけど、千歳ちゃん自分が役立たずだって耳もしっぽもだらんってするくらいしょんぼりしちゃって。


翔太さんが千切れないようにする方法もわからないし、知らないことばかりだから蛇の主神さまに翔太朗さんを喰われた時も守れなかったし、あのままだったら死なせてしまったと…


昔起きたことをとても後悔していて…


だから、あとから力を使えて役に立てるってわかって元気になってよかったなって思ってたんですよね」



何とも言えないというか、問題のポイントが千切れるとか喰われるとか死なせたとか本当に物騒極まりないが、紅闇が天音に千歳との会話量を増やさせたい気持ちや紫暈や氷河との関係で千歳が成長することを喜ぶ気持ちに、危険があっても甘味処の蘇芳といった混ざり者に謝るなど成長ができる機会を逃さないようにするのがよくわかる気がする。


見た目と言動で忘れそうだが、千歳って蛇の主神と力…純粋な能力値であればそんなに変わらないくらいなのではないかと…


そう思えば、千歳が暴走すれば前回の祭事など比ではない問題が起きると紅闇が考えて千歳の教育を重要視し、それを邪魔する一族の者を嫌悪するのも当然に感じる。


神の世界も大変だ。

そしてやはり紅闇が中間管理職に思えて仕方ない。



中庭を眺めて軽く雑談しながらそんなことを考えていれば、東屋に到着する。


翔太は茶わんや菓子などをテーブルに出していく。

天音はそれらの風呂敷を取り、茶の準備をしている間に翔太はメモを出してどこから話すか整理していく。



「翔太さん、お茶どうぞ」



声を掛けられ茶を受け取り、茶菓子は辞退して、お互い向かいに座り天音にどこから話すか問いかける。



「そうですね。どこからがいいんでしょう?」


「じゃあ、昨日あの後共有した以外に纏めた情報を渡すから読んで貰っていいかな?


特にこの贄に選ばれる基準やいま中津国に溜まり過ぎている穢れや穢れの発生源については知っていた方がこれから人を還そうとする時にスムーズな気がするのと…


いざという時に見切りを付けられる気がする」



その翔太の言葉に訝しげな顔をして、天音がメモを受け取る。


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