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「ああ、無理だったか。やはり蛇の主神の神子の力はすごいな。」
驚き詩を止めた天音に近づきばらばらになって床に落ちた腕輪を紫暈が拾い確認しながら呟いている。
「これはかなり強い物を注文しないと危ないね。
天音君も力をここで使うのは腕輪ができるまでできるだけ控えてほしい。
いまほとんど力を込めていない状態だったであろう?
それでこの状態まで砕けてしまうとなると大きい力を籠めるとこの場、結界の中の空間自体が危ない可能性もある。
少し準備に時間がかかるので…紅闇殿どうする?
翔太君は来てもらわねば困るが、天音君はもしかしたら今は狐の屋敷に居てもらった方が良いかもしれんが…」
「一度持ち帰っていいかな?これから確認を取るでしょう?
その返答が分かったら連絡が欲しい。
その上で決めたいかな」
そう返す紅闇に紫暈が頷き、氷河が「いや今この場でまず連絡をしよう」と複数の式を取り出し何やら動かすと促された紫暈が式に手を翳し、色が変わった式たちに不思議な鳥の主神が門を出した時のような文様を掛けていく。
そして、文様が消えたかと思えば様々な方向に式が飛び出していった。
「じゃあ、返事を待つ間に茶にしよう。氷河は本当に食べないの?」
そう軽く聞く紅闇に氷河は「一度備えを確認してくる。其方らはここで茶を飲んでいてくれ」といい部屋から出ていく。
「相変わらず真面目だね。氷河殿は」
「そうだね」と紅闇は軽く頷き、テーブル寄ってくる紫暈と天音を手招きし2人の分の茶菓子と茶を出していた。
「ああ、ありがとう」と言い、紅闇の隣に座り、天音は翔太の隣に腰掛ける。
茶菓子を嬉しそうに食べながら紫暈は今後の話をしていく。
「まず、天音君の腕輪次第だな。ああ、そうか。天音君は腕輪が来るまでいざという時に翔太君が使えるように詩を道具に詰めて貰えばよいのか。
それなら環境を限定すれば、そのまま力を吸って貰えるから危険はないか。」
「ああ、確かに。それなら安全に準備が進められるな。
私が天音に教えながら、千歳も一緒にいざという時の為に物語を綴っておけば後の補足と強化以外にも何かあった時に役立つだろう。」
2人がどんどん話を進めていくのを聞きながら、いろいろ終わって気が抜けたのか小腹が減って菓子に口を付ける。
天音も同じなのか菓子に目を光らせながら口にしている。
千歳とは言えば、しっぽを揺らしながら紅闇たちの会話に聞き入っている。
「妾にもできることがあるかえ…?」
そう小さく紅闇たちに聞く千歳に2人が大きく頷く。
「ああ、して欲しいことは沢山ある。
いま無理なのは翔太が使う道具に使用するものを千歳の綴りだけにできないということだ。」
「ええ。そうですよ。
翔太君は今日初めて力に触れたのでしょう。
いくら前回蛇の主神の力に触れていたとはいえ、自分で使うのとはまた違うものです。
いきなり千歳殿の力に触れれば、先ほどの比ではないほど身体に負担を掛けるでしょう。
無理をさせれば、我らと異なり人はすぐに死んでしまいます。無理は禁物なんです。」
そうそうと紅闇も紫暈の言葉に頷いている。
簡単に死ぬと言われ口にしていた菓子を吹き出しそうになり、慌てて茶に口を付ける。
天音が焦ってハンカチを出してくれるが、大丈夫と手で示す。
なんだろう。やはり神と人の感覚は違うというか本人の前で当たり前のように生死についていきなり発言するのは辞めて欲しい。
せめて前置きが欲しいが、多分そこは望んでも無理なのだろう。
「翔太君、大丈夫ですよ。できるだけ死なないように計画を立てているので安心して頑張ってください」
とてつもなくいい笑顔でそう言う紫暈にとんでもなく不安が込み上げてくる。
そんな思いが翔太の顔に思い切り出ていたのか紅闇が翔太の顔を見て笑いだして、千歳まで翔太の顔を面白そうに確認している。
「楽しそうなところ悪いが紅闇に紫暈、少しいいか?」
いつの間にか戻って来ていた氷河にそう声を掛けられ、2人が「君たちはゆっくりしていて」と言い席を立っていく。
「翔太さんは今日なんだか踏んだり蹴ったりですね」
そう天音まで言い出し、息を着こうと飲んだ茶を吹き出しそうになり、それを見た千歳が楽しそうに笑っている。
昼の後、元気がなかったのが嘘のように元気な表情になっていて、天音が「千歳ちゃんよかったですね」と声を掛けると嬉しそうに頷いている。
これはさっきの首を横に振っていた話のやつか。
その話はあとで聞こうと改めて茶に口を付ける。やっと落ち着いて息ができた気がすると思ったところでふと先ほどの光景が頭に浮かぶ。
「詩を詠うと文字が浮かんでいたけど、あれも能力の一種なの?」
そう言えば天音も千歳が同時に頷く。
「翔太さんは知らなかったんでしたっけ?びっくりしますよね。
詠うと文字が浮かぶから他の人から見えないようにできるまで子どもの頃は本当に大変だったんですよ」
「見えないように詠えるのかえ?」
そう言って千歳が目を大きく開けて驚いて天音を見上げている




