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いくつかの道具を作業台に下ろし、それに対して紫暈と紅闇が何やら動かしている。
氷河はそれを眺めながら、紫暈が反応に対して新たに他の道具を指定するのでそれを棚や壁から外し作業台にまた置いている。
何度かその作業を繰り返していると紅闇が翔太を呼んだ。
「翔太、こちらに来てくれるかい?どれに適応があるか確認したい」
その言葉に頷き、翔太は紅闇たちが居る作業台に向かう。
「まず道具が暴発しないように調整する装飾品を選ぶ。
多分この腕輪がいいと思うから利き手、道具を持って使う方ではない腕に付けて」
その言葉に従い、作業台の上にある白銀と黒と赤と瑠璃のような宝石が文様で埋め込まれている腕輪を左手に付ける。
付けたら何か変わるのかと思ったが体感的には何も変わらない。
拍子抜けしていると紫暈と紅闇が少し面白いものを見たような顔をしていて、氷河がそんな二人を少し呆れた顔で眺め、翔太に向き直り口を開く。
「それは力を過剰に使ったときに反応する。
其方は鳥と狼の主神から頂いている守護や髪紐があるのでかなり大きい力でも衝突せずに対応でき、其方の力と反発しないぐらいで選ばれているので、付けても何も変わらないだろう。
2人とももう少し真面目にやれ。」
「いや、ごめんごめん。
天界の者も必ず幼い時に付けるんだが人はどのように反応するのか気になって。
あんまりにも同じ反応をするから面白くてね」
そう説明する紫暈に紅闇も頷く。
「皆、緊張して腕輪を付けるんだが何も起こらず訝しげな顔をするんだが、同じような顔をしていたからね。
力に免疫がなくても同じなことが面白かったんだ」
そんな言葉に翔太はどんな顔をしていたのかと恥ずかしくなったが、氷河が「気にしなくていい。この2人はいつもこうだ」と呆れを含ませ話し、2人に先を促す。
「ああ、そうそう。気にしなくていい。
では、道具との相性を見るから言われた順に手を置いて行って
いいと言うまで手を離さないで欲しいが、不快感や痛みに危険な気がしたらすぐに手を放して。
それは相性が悪く下手すると喰おうとしてくるからね」
そう言い横に順に並べられた道具の前に先導される。
最後の不穏な言葉は聞かなかったことにして気持ちを引き締め、まず一番左に置かれた本に手を当てる。
「ふむ。次」
その声に合わせて手を次の扇に乗せる。
次、次と順調に進んでいたが途中静電気に触れたようになったものや、手を置こうとすると唸り始め触れられないものに驚いたが、そのままチェックが進み最後の本まで確認が終わった。
「なるほどな。この反応であればある程度大きい力でも制御できそうだ。
最初から千歳殿などの綴りでは難しいだろうが、まずはもっと力の弱い者の綴りや詩を使って具現化する練習から始めるのがよかろう。
紅闇殿、どうする?
綴りや詩はいくつかこちらで予備があるが狐で合うものを探すかい?」
「いや、いまから探していると間に合わないだろう。
帰還に必要なものと身を守れるものなどで予備があればそちらを使いたい。
あと、状況に応じて私と千歳の詩と綴りで補強や強化も入れて万全な状態に仕立てられると一番いいのだが…」
そう話す紅闇に紫暈が少し考え、氷河に顔を向ける。
「今の反応だと、この辺から始めるのがいいだろう。
それであれば、こちらの駐屯場にかなり予備があるので明日から練習を始めて貰って問題ない。
その練習状態を見て群政府と育羽府から必要なものを取り寄せ、その後紅闇や月の位の姫に合うものを綴るか詠って貰うのがいいのではないか?」
氷河の答えに紅闇が頷き、千歳がこちらをじっと見ていた。
「そうだね。そんな感じで進めようか。
今日は力の温存で回復薬を飲んで早めに休んで貰おう。
2人も明日の昼前から始めるでいいかな?
もし彼の体調が急変するようなら式を飛ばすよ」
天界の3人の間で話が決まったようだ。
「あと天音君。君も帰る前に腕輪を確認してほしい。
既に扇を持っていると聞いているのでそれと合うか確認したい。
合わないようであれば、注文をした方が君の場合はいいだろう」
紫暈のそんな言葉に紅闇が天音の傍に寄り、千歳を受け取っている。
そして天音に作業台の方に行くように促し、自分は千歳を抱いたまま椅子に腰かけ重箱から茶と茶菓子を出し、翔太のことを手招きしている。
「この菓子にはこっちの茶のが合うんだ。飲んでみて」
茶と茶菓子を翔太にも勧め、千歳にも菓子と茶を与え頭を撫でながら自分も食べている。
「天音が問題なかったら二人も茶にしないかい?もちろん天音もだよ」
そんな紅闇の言葉に紫暈は笑い頷き、氷河は自分はいいと答えている。
先ほどから感じているが3人は気安い関係らしい。
「茶の前に腕輪の動作を確認したいから扇を出して少し歌ってみてもらっていいかい?」
そう言われた天音が頷き、詩を歌いだす。
声に合わせて言の葉、文字が舞い踊り不思議な光景を作っていく。
そしてほんの少し詠っただけで甲高い共鳴音が鳴ったと思ったら腕に強い光が走り腕輪が砕け散って行った…。




