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そう話しながらあっという間に重箱を整理すると翔太にもう一つ茶を出し、そのまま部屋を出て行った。
あと少しなので全部食べ切れるだろうと、せっかくの豪華な重箱をこんな早食いで食べるのはもったいないと思いながらも、仕事の昼飯と同じスピードでどんどん平らげていく。
そして最後に茶で一気に流し込み洗面所に向かうと顔を洗い、眠っていて少し着乱れていた服を正し、身支度を整えていく。
そうこうしていればノックの音が聞こえる。
「はい」と返事をすれば紅闇に抱えられた千歳、そのすぐ横に天音。すぐ後ろから先ほどの濃い葡萄色の髪の男性と狼の一族の男性が入ってきた。
「翔太、紹介しよう。
こちらは狼の国の第四位の空の位の氷河と鳥の国の第五位の風の位の紫暈だ
氷河は天翔儀という天界の組織で群政府の規律や逸脱の制圧などを使わどる部門の長をしていて、紫暈は同じく天翔儀の育羽府という学問を司る場所の長をしている。
2人とも彼が前回巻き込まれた人の一人の翔太だ。
先ほど紹介した天音とは異なり、力の内容的に2人を頼ることも多いと思う。
あと力関連に関しては紫暈に相談してから話した方が良いかと翔太にはまだ話していない。
先ほど倒れたばかりなのもあり、今日は顔合わせと道具の選定ということにしたいがいいだろうか?」
そう紅闇に紹介され、狼と鳥の国の2人に向き直る。
翔太が自己紹介をする前に紫暈が紅闇に向き直り「綴りはどうする?」と聞いている。
それに対し「千歳が綴ると言っているが適正や威力によっては他の物を見繕いたいのでその辺の見極めも協力願いたい」と天界の者で話が進んでいく。
千歳は自分の綴り以外と言われ口をへの字に曲げたが、紅闇に言い含められているのか昨日、主神たちにしていたように自分の主張を繰り返さず我慢している。
その姿を隣で天音が小さく応援している姿を狼の氷河が横目でちらちらと確認している。
「うむ。まず翔太君と言ったか。
君は祀吏燈徒という狐・蛇・猿の一族に多い職業の者の能力を増幅する力が強い。
あとは千歳殿と長く時を供にしていたので物綴りへの適応と…」
紫暈は言葉を切り、紅闇に視線を寄せれば彼が千歳の頭を撫でながら頷く。
その一連の流れを確認し、翔太に視線を戻すと続けた。
「蛇の主神殿が君の魂の一部を飲み込んで行動していたことで、詩詠いとの適応も高く上がっている。
なので君が力を使うには、物綴りか詩詠いが力を込めた道具に力を込めて発動させるということになる。
千歳殿だと場合によっては君との相性が良くなりすぎていて、この環境では負荷が上がってしまう場合は他の者の綴ったものや一緒に行動する天音君や紅闇殿を中心に他の詩詠いの歌との適応性も確認をするが、性質としては君が使う場合は詩より綴られた言の葉を使ったもの方が今回の目的に合っていると思う。
それを踏まえて明日からどれが合うか確認していくので今日は道具との相性までを確認しよう。
それでいいか?」
最後の言葉は紅闇と氷河に向けたもののようで2人が頷いてる。
半べそになっている千歳に天音が傍に行き頭を撫でている状態なので、千歳にとって望ましくない状態なのだろう。
「では、部屋を移そう」
言葉短く氷河が言う。そして扉を開くと部屋から出て紫暈が続いて出ていく。
紅闇が千歳を持ち上げ「行くよ」と声を掛け、翔太と天音が並び彼らについていく。
天音が「身体は大丈夫ですか?」と聞くので、軽くうなずいておく。
千歳は紅闇の肩に顔を埋めているので今は触れない方が良いのだろう。
駐屯場は外から見た時も広いと思ったが中も思ったより広かったようで、通路から中庭が見え簡易的な稽古場と休憩所にもなっているようだ。
風流だった主神たちと会った合間の四阿や狐の宿屋とは異なり、実直な感じだが日本的な風情もあるのにどこか違う国のような不思議な空間を眺めながら進むと、先ほどとはまた趣が違った装飾のある扉の前についた。
「中へ。」
そう言って氷河が部屋の扉を開ける。
紫暈と紅闇が先に入り、それに続いて天音と中に入って行けば、そこは大きな棚と壁に様々な道具が飾られているように掛けられていた。
「氷河殿、私が手に取っても問題はないか?
それとも君に取り外してもらわぬと問題があるかい?」
そう問う紫暈に「私が外さぬと問題があるので、選んで教えて欲しい」と言いながら、氷河は天音と翔太に棚や道具が置かれている壁とは別の壁沿いのテーブルを指さし「あちらに座っているように」と指示を出す。
紅闇が先に動き、天音を手招きして座らせると千歳を天音に抱かせ、自分は紫暈と氷河に混ざって何やら話している。
翔太もそちらが気になるが、いまは言われた通り座っていようと天音の右隣の席に座る。
千歳は先ほど紅闇にしていたように天音にもたれ掛かる様にくっつき顔を肩に埋もれさせている。
声を掛けようとすれば、天音が無言で首を横に振る。
自分がいない間に何かあったのだろう。
天音に夜、紅闇と話した内容を共有する時に確認しようと思いながら視線を3人の方へ戻す。




