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思わず乾いた笑いが漏れる。
余りが出るくらいとはどの程度酷い穢れにいま中津国はなっているのか…?
年々酷くなる世の中はそういった者から出た穢れで酷くなっているのかと思うと頭が痛くなる。
「ちなみに僕は穢れって溜まっているのでしょうか?」
つい気になって聞いてしまった。
「翔太は穢れが溜まっている訳じゃないよ。
人だから少しは当たり前にあるけれど、他者にまき散らすようなことになっていない。
ああ、そうだ。幽津国の者と接するときは気を付けるように。
彼らに悪気はないのだが、妖の血が強い者は全体的に穢れを纏っている。
人はあまり幽津国の者の傍にいると、人で居られる時間は短くなる。
翔太には鳥の主神が、天音は蛇の主神が払いを掛けているから大丈夫だと思うが、他の人の場合だと妖の血が強い者の傍にいた人は見た目が人でも中身は変わっていることがあるから、人としておかしいと感じるときは距離を取り、そのまま帰還させずに報告してほしい」
「妖の血が強いというのは何かわかりやすい見極める方法がありますか?」
「そうだな…。ああ、昨日甘味処で会った男性の店員はかなり妖の血が入った蛇の一族の者だな。
肌に鱗が出ていたが、蘇芳色に黒が混じった髪と黒い瞳と色合い的に蛇の一族の特徴を持っていなかった。
あそこまではっきり蛇の一族の色がないとあの国では生きづらかっただろう。」
「色ですか?」
「ああ、一覧を纏めておこう。
瞳の色は天界と根津国に空津国は法則が一定で力が強ければ金。
後は種族の髪の色と同じ法則で瞳の色が出る。
だが稀に赤目で生まれてくる者もいるが、狐以外では災い扱いで忌子とされ、枷などを付けられたり閉じ込められたりすることもある。
それらは大体家長の意向によるが主神の意向によっては主神に引き取られ、そのことに恩義を感じ主神への忠誠が半端なく強くなることも多いんだ。」
そして自分の髪に手を当て続きを話し出す。
「例えば狐の一族の場合は髪が白、赤、橙、黄の濃淡や合間の色になることはあるが単色で白が一番尊ばれる。そして黄が一番多い。
私の瞳のように赤と橙の合間で赤茶、紅茶の色のように見える者もいるかな。
…あの甘味処の男性は髪が蘇芳色だったから狐が入っていてもおかしくないが、目の色とあそこまではっきりと蛇の特徴である鱗が出ていると蛇と妖の混ざり者だろうね。」
そう言われ思わず紅闇の瞳を凝視してしまう。
「千歳があのようにまだまだでも次期と言われているのは色味だ。
昨日の彼も千歳を見てすぐに”狐のおひいさん”と言っただろう?
千歳の色味は狐の国では最高位に位置する色味なんだ。
母上よりも貴重であそこまで綺麗な色で出たのは何時ぶりだったかな
だから一族の者も千歳を崇めている者が多く、甘やかすからああなんだけどね」
すこし厭きれを含ませた彼の言葉に今まで千歳に呆れても出ることのなかった嫌悪感が滲んでいる
驚いていると紅闇は笑って「千歳に対してではないよ」と言い、翔太に「口にできるのであれば少しでも食べなさい」と声をかけてくる。
その言葉に話が変わっていたからか、薬湯を飲んだおかげか胃酸の逆流が治まっていることに気づくと一気に腹が空く。
止まっていた箸を動かし食事を再開すると、紅闇は少し苦い顔をして続ける。
「先ほど宿で話したが、母上や上の姉上と千歳を崇める一派が居てね。
駐屯場や宿には来ないと思うけれど、遭遇したら千歳を褒め称え甘やかそうとして邪魔をすることがあるから、千歳には言い含めてはいるけれど、もしそうなった場合は天音と2人で行動してかまわない。
彼らは意固地だからね。自分たちの主張で物事を考えるから余計な負担が増えるのであまり相手にしなくてよい。何か言われたら私に”他の神々に失礼が無いよう距離を置くように言われた”と話しなさい。
さすれば勝手に自分たちに良いように思って納得するだろう」
「なんだか問題だらけですね」
その言葉に紅闇は笑いだす。
「そうだね。だが翔太も天音も会話ができる人で本当によかったよ
千歳が気に入ったと言っている人だから正直不安だったんだ」
思わず出た紅闇のどう考えても本音だと思われる一言に翔太は飲んでいた汁物を吹き出しそうになる。
その姿を見て、また笑いながら「ごめんごめん」と軽く謝っている。
「ああ、随分ゆっくりしてしまったね。
急かして悪いが少し急ごうか。
そろそろ狼の一族の者が鳥の一族の者を連れてこちらに来るだろう。」
そう言い優雅な動きなのにすごいスピードで食事を口に入れていく。
翔太も食べられるだけ食べておこうと箸を動かすスピードを上げる。
「あ、あと彼らが来る前に話しておきたいことで少しの間、千歳の教育に夜は時間を使いたいと思う。
申し訳ないが夜は天音と2人で食事をして貰って、今日のように朝餉の後にお互いの認識をすり合わせて、蛇の主神のことがあるからその話をしている間は何かしらお題をつけて千歳は天音と行動して貰おうと思うがいいかな?
夜、天音と情報と認識を合わせてもらえると私としてはありがたい」
翔太は頷き「わかりました」と返事をする。
視線を紅闇の重箱に向けるとほぼすべてなくなっている。
「ちょっと千歳たちを見に行ってくる。あと20分くらいは猶予があると思う。
ああ、食後身支度をしたければそこの扉から入った所に洗面台や厠などはあるから使ってくれ。
狼の者たちが来たら呼びに来るから、あまり時間がないけどゆっくり食べておくれ」




