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「蛇の主神が日出づる国に移動して、目的にちょうどいいと翔太朗を呑み込んで千歳の綴り帳を使い、新たな火種を作っていざ報復をという頃には、天音も天音の為に神子を狩った者も既に亡くなっていてね…
蛇の主神は振り上げた拳を下す場所が無くなり、そのまますべてを放置されてね…
唯一中津国に居て蛇の主神を止められた猿の主神も…色々めんどくさがって放置したから、人が尽きぬ勢いで穢れを作り続け、自分たちで自分たちの首をどんどん絞めて行った。
他の主神たちが気づいた時にはもうどうすることもできない状態になっていて、翔太が言ったようにそのまま大きな事柄に発展してその後の複数の諍いも起きることになった…。
本来そこまで地の球に損傷させたりしない為に穢れを晴らすのが祭事なんだけどね…」
ため息をつき、疲れたように続ける。
「人は天界や空津国、根津国に幽津国の者に比べると圧倒的に穢れに弱い。
穢れに当たり続けると幽津国の者も驚くような化け物が人のまま産まれてくる。
そういった人が産まれてしまうと地の球がより穢れ痛むので一定期間ごとに穢れを払うための祭事を行っているんだが…
前回は本当に間が悪くてね…
人の君にとっては間が悪いという言葉で済まされるのは嫌だろうが、間が悪いとしか言いようが私にはないんだ。」
時折口に指を当て考え言葉を選ぶように話す紅闇の様子にこちらを気遣っていてくれるのを感じる。
ただ、感じはするが内容が内容なだけに、思わず目を瞑ってしまう。
「やりきれないようで申し訳ないね。
祭事で犠牲になる者は贄と言って、本来は人の国では裁かれない穢れを作った罪人などの咎人なんだ。
前回に関してはそうだと言っても蛇の一族が行う規模が大きかったことであまりに軽度の人も贄に選定されてしまってね。
そして不満が溜まっていた人たちがそういった人たちが贄として使われることに…いやあれは処刑が娯楽になっていたんだろうね。
人は不平不満が溜まると他者の不幸を喜ぶ者が出る。
…そして今度はその人たちが穢れを放ち、次の贄の候補となる。」
紅闇は重箱から茶を取り出し、口に付ける。そして息を吐き続けた。
「その贄の候補たちはどんどんと穢れを吐き出し周りの人も贄の候補に…そう、穢れを放つ者に変えていく。
そして穢れがどこまでも溜まれば狂気となり、その狂気の中で人の形をした化け物が産まれる。
…その化け物たちは見た目から化け物の者も、行動ですぐに化け物だとわかる者も…
その者が死しても化け物だと周りの人が気づかない者も存在する。
ただ、化け物として産まれた人たちはより中津国に穢れを増やす為に混沌を好み、人々を穢れを放つ者に変えていく…
判りやすい化け物として生まれてきた人は人の世で捕まり裁かれることもあるが、ほとんどの場合は人の世では裁かれず、根津国で次の浄化の為の贄として水晶の中に魂が保管されている。
今回は前回の祭事から後、中津国にそういう化け物として産まれた人たちを使い中津国の全体的の浄化をするのが大きな目的でね。
祭事の期間は短いし、一族の者が行う祭事は規模が小さいが主神たちが最後に行う神事はとても手が込んだ物になる予定で…。」
そう話しながら視線を翔太に戻し、真剣な表情で紅闇は続ける。
「それが前回の贄の誘拐事件で浄化を行うための神事の準備も中断されている。
今回ちゃんと穢れを払わないと、より凶悪な化け物が産まれる可能性も高い。
…人の君からすれば、問題の原因は蛇の主神のように感じるかもしれないが、蛇の主神は全主神の中でかなり人に対して優しい方だ。
…うちの母上なんて比べ物にならないくらいにね。
そんな蛇の主神をそこまで動かしたのは天音の親族であり、またいくら穢れを使って祭事を行ったとしても惑わされない人もいる。
そして、自ら穢れを好んで振り撒いたのも穢れを好んだのも人であり、蛇の主神ではないとだけは覚えておいて欲しい。」
そう言い終えた紅闇は疲れたように部屋の天井を見上げた。
翔太も思わず天井を見上げてしまう。
確かに、原因は人にあり、しかし力の差で蛇の主神の方が悪者に見えるのも事実だろう。
だがその穢れに取りつかれた人…穢れを好んだ人…?
「紅闇さん、穢れを好んだ人とは人の不幸を望んだ人以外にどんな人なんですか?」
「ああ、そうだな。簡単に言うなら己の事しか考えず他者や世界に悪影響を及ぼす行動をしている人に多い。
自分の利益の為や愉悦の為に人を不快にしたり、不安を煽ったりする者や簡単に言うなら自分の影響力で他者が嫌だと思う感情や被害を与える者や犠牲者を産むことに躊躇いがない者とかだな。
穢れを産むのは人から見て悪い事には感じないこともあったりするが、遠く離れてみると大惨事の入口を作っているように見える場合もある。」
そう話しながら、天井から視線を一度翔太に戻し続ける。
「後から気づき、その穢れを払うように尽力する人もいるが大概生きている間に払いきれず、その穢れの撒き散らした大きさによって贄になるかが決まるが…
今回は贄に余りが出るのではというくらい、穢れだらけの人が沢山いるらしく、まだ現在生者な人は次回に回す話になっているくらいで、前回から中津国は穢れだらけになっているんだ」




