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番の話より何とも言えない返答に思わず天井を仰いでしまう。
想像を上回る危険性に自分や天音の感覚で物を考える危険性も改めて感じた。
「人の感覚だとあまりこういった世界観を考えることはないだろうから負担が大きくて申し訳ないね。
君も天音も正直巻き込まれ事故だと思っている。
多分、鳥の主神もそう思ってるんだろうね。
翔太に掛かっている守りや、一緒に連れて来た梟を見ても鳥の主神が心を砕いているのが分かる。
千歳の我儘で君は巻き込まれたようなものだから、本来狐の一族がしなくてはいけないことなのにごめんね。
一応これでも君には申し訳ないことをしたと、狐の一族でも大半は思っている。
まあ、母上や上の姉上と千歳を宗教的に崇めている一派とかは”千歳に選ばれたのだから光栄だと思え”というような考え方だけど、それは一部で下の姉上は君に対して同情的だ。
千歳には厳しいので千歳は苦手にしているけど、もしも私が動けないときは下の姉上の白妙を頼るといい。」
ありがたい情報とできれば頼るような未来が来ないといいと思いながら頷く。
「あとは蛇の主神が仏蘭西に居た話と、犯人と思われる存在の話だったね」
そう言い話を続ける紅闇に視線を戻す。
「蛇の主神に関しては本来中津国の仏蘭西という国で祭事を行うはずだったのが、欧羅巴中に火種を起こす程度に規模の大きい芸事をしたみたいだね。
そして、本祭までは出ない予定だった母上や各界の調整を行う文官中心の鳥の主神と大規模な問題対応用に残っていた武官中心の狼の主神が異変に気付いた鳥と狼の一族の者から報告を受けた時には、中津国のすべてが火の海に陥るような物語が紡がれていて、その元凶が千歳であるという報告が上がってね。
千歳の討伐許可が下りるのを母上が止めて2人の主神と一緒に中津国に降りれば、蛇の主神が千歳の綴りを使って破滅的な惨事を引き起こしていて、猿の主神がそれを眺めている状態で、かなり主神同士で揉めて大変だったみたいなんだ
…母上が帰ってきた後、荒れて荒れて大変だったからね。
もうああいうのは起きてほしくないと思うよ。」
そう、遠い目をして語る紅闇に中間管理職の闇を見た気がした。
おかしなところで親近感を抱いている翔太にかまわず彼は続ける。
「あとは、犯人と思われる存在についてだったよね?
今のところ有力なのは久遠というあのイベントで人を集めた存在だと思われてる。
だけど、今のところ天界や空津国、根津国からあの規模の祭事を行えるものが祭事に合わせて中津国に降りていたという記録がないんだ。
幽津国の者であればもっとはっきりと中津国の事件があった場所に力の痕跡があるはずなのにそれもない。
だから複数犯の可能性が考えられているが、今のところ表立って何かが動く様子もない。
力の痕跡が薄すぎて犯人の特定が難しくてね。
道具と力の弱い者を組み合わせて行った可能性もあるのだけれど…
少しつじつまが合わない部分があって、困っているんだよ」
神々でもわからないことがあるのかと思って聞いていると、次に紅闇から出た言葉に思考が停止する。
「大体今回の祭事だと1981年から2030年と50年と短い期間の開催で、神々が人の中に紛れ込むのに干渉できるのは1999年の7の月までに7歳以下になる者だけだったんだ。
だからそれ以降だと蛇の主神が前回翔太朗にしたみたいに人を喰らって入れ替わるくらいしか手段がない。
でもそれをすれば人ではない気配になるから、こちらで気づくはずなのにそういった気配もない。
天音のように少しでも生き残れるようにぎりぎり1999年の7の月に宿る子に魂を載せるようにしたとしても、それだけの力があれば隠すことが難しいんだ。
だからね。狼も鳥の捜査隊も頭を抱えてるんだよね」
「…乗っ取ったとは、人を喰らって化けるということですか…?」
翔太の問いに何でもないことのように紅闇が答える。
「ああ、そうだよ。
魂を吸収して、その者の記憶と身体の情報を読み取りそれを再現する。
あ、ちなみに後で知ると混乱するだろうから先に言ってしまうが、君を蛇の主神は殺そうとはしていなかったようだよ。
丸呑みしようとしてたのを、千歳が焦って邪魔をしたことで君の魂は割れてしまったみたいでね。詳しくはわからないけどその時に蛇の主神が何かしていたようなんだ。
そうでなければ割れた時点で人の魂は修復できないからね。」
軽く話された内容は言葉としてわかっても理解が難しいと頭がこれ以上聞きたくないと拒否しているがそんな翔太にお構いなく話は進む。
「で、千歳は自分を核に結界を張ってね。
取り返した翔太朗の魂の一部とバラバラになってしまった翔太朗の身体をその中に取り込んで自分の欠損を無視して修復に取り掛かっていたみたいなんだ。
蛇の主神がその千歳たちに結界を張って見えない状態にして、翔太朗に成りすまして千歳の綴りを使って色々暗躍して…
結果、他の主神が気づいて止めに行った時にはもう人がどんどん勝手に動いていて止められる話じゃなくなっていたんだ。
仏蘭西で起こした火種と日出でる国で起こした火種がどんどん加速して世界中が火の海になる戦争まで起きて中津国は信じられないくらいの傷を負ってしまった。
その傷が致命傷になって地の球が割れぬように祭事が中止されて、今回も50年と期間が短いもので試しで行われたんだけど、思わぬ問題が起きている感じでね」




