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「両方ともものすごくおいしいですよ。
赤いいちごのパフェは甘さといちごの甘酸っぱさが残っていて、チョコレートは全体的に甘いんですけど、甘すぎることもなくて一気に食べられちゃうんです。」
北欧の人々のような薄い白に近い金髪に森を思わせるような深い緑の目をした少女が注文を取る用紙のようなものを手に持ち、そう千歳と天音のやり取りを微笑ましそうに笑いながら声をかけて来た。
「皆注文は決まった?私はこの抹茶とわらび餅で」
そう紅闇が告げる。翔太は何も考えていなかったが悩む気がしなかったので「同じものを」と告げる。
メニューを真剣に睨んでいる千歳は天音を下から見上げ、上目づかいになりながら「本当に半分こにしてもいいのかえ?」と聞き、大きくうなずく天音に嬉しそうに顔を輝かせ「両方なのじゃ!」といちごパフェとチョコレートパフェを指さしている。
紅闇に飲み物も促されるとまた悩み始めた千歳に店員の少女が「一緒に飲むなら紅茶か、甘いのがよかったらココアがおすすめですよ」と教えている。
天音が紅茶、千歳がココアを選ぶと少女は楽しそうにクスクス笑い「すぐに持ってきますね」とテーブルを離れる。
「日本のお店とそんなに変わりませんね」
天音の言葉に翔太も頷く。
「日本とは中津国の君たちの出身地だっけ?こんな雰囲気なのかい?」
そう聞く紅闇に首を軽く振り天音が答えていく。
「いえ、街の雰囲気は全然違います。
でも、このお店の雰囲気が昔ながらの喫茶店ていう感じで。
いまレトロブームで女の子に人気があってよくSNSとかにアップされる写真に出てくるメニューとかに似てるんですよ」
さすがに人気YouTuberで女の子。見ているところが違うなと仕事の会食以外コンビニ飯がメインの翔太では気づくことができない話で、いま若い子にはそんなのが流行ってるのか。おっさんになったな…とここでも流行りが分かっていないことに若干の悲しさを感じる。
「ふーん。SNSってなんだっけ?スマホだっけ?あれらで見る掲示板だったか、情報や写真がたくさん見れるものでよかったかな?」
そう自分の記憶を確認するように問う紅闇に頷いておく。
そんな会話をしていると本当にすぐに店員の少女が戻ってきた。
「お待たせしました!
こちらわらび餅と抹茶でチョコレートパフェに紅茶といちごパフェとココアです!
みなさん、こちらに最近いらしたんですか?」
テーブルに置かれた甘味に目を輝かせ、自分の目の前に置かれるとあっという間に口に入れおいしかったのか千歳が悶えている。
そんな千歳を横目に紅闇が店員の少女に答えていく。
「うん。最近こちらに来たところだよ。
やっぱり最近こっちに来たものは多い?」
「ん-。そうでもないですね。
どちらかというと、ここで出会って仲良くなった者たちで別のところに行く者の方が多いかもしれないです。
最近来なくなっちゃったお客さんも多いので…
だから今日は空いてるんです。」
少し苦笑いをしながら少女が告げれば「そうなんだね」と、紅闇が少女と世間話をしながら器用にわらび餅を食べていく。
横を見れば千歳にチョコレートパフェを食べさせてでれでれしている天音がいる。
思わず餌付け…と思ってしまったのは悪くないと思うが、あとで紅闇に時間を貰う際に千歳のこのチョロさは大丈夫なのか確認しておいた方が良いかもしれない。
そう後で確認することを頭で整理しながら、翔太もわらび餅に手を付ける。
ああ、日本で食べるのとほとんど同じ味だと…
朝、円座で貰った茶もこちらの宿で飲んだ茶もどこか懐かしいようで知らない味だったので、食べ慣れた味に思わず気が緩みそうになる。
千歳と天音はすさまじいスピードでパフェを食べつくしている姿の先に、先ほどの大道芸や紙芝居をしていた様々な見目の者が歩いている姿が窓越しに見える。
彼らも中津国にいたのか、それともここで生活をしていた者たちなのかどちらなのだろう?と天界は狐と鳥と狼であとは猿と蛇の一族ということは彼らは…種族は耳と羽で見るのだろうか…?
いや、鳥の主神は羽がなかったから…
そんなことを抹茶を飲みながらぼんやり考えていれば、店に誰かが入ってきた。
音がする方を見ると身体に少し鱗が見える鮮やかな濃い蘇芳色の髪にメッシュのような黒いインナーカラーが入ったの男性が大きな荷物を持って入ってきていた。
「あ、蘇芳。おかえりなさい」
少女に蘇芳と呼ばれた男性は「ああ」と小さく答え、その後翔太たちに目をやり「いらっしゃい」と声をかける。
軽く会釈で挨拶し「とてもおいしいよ」と声かけする紅闇に倣って天音と翔太も会釈で挨拶をする。
そんな大人たちの合間から千歳が顔を出し、不思議そうな顔をしたかと思えば口を開く。
「2人は種族が違うのにどうして一緒に働いておるのかえ?
外もそうじゃったがここは種族ごとではなく皆で一緒にお店を出しておるのか?」




