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本当に困るよね。と軽くもう一度ため息をつき紅闇はまた茶に口を付ける。



「あ、話は結構長くなると思うから、君たちも遠慮せずにお茶もお菓子も食べてね。

朝から食べてないでしょ?」



大変な会話をしているのに気負った空気もなく紅闇が翔太たちに茶を進める。



「お気遣いありがとうございます」と口にし、カラカラになった喉を癒すように茶を口に含む。



思った以上に混沌とした状態と天音と自分でどうにかなる問題なのかということより一番気になったことがある。



「すみません。質問してもよろしいでしょうか?」


「もちろん。どうぞ。」



そう軽く返す紅闇に質問を続ける。



「既に人で無くなってしまった者や狩られてしまった者はもう中津国に還せないという認識で良いのですよね?


罪を償うために人をすべて戻さなくてはいけないと思っていましたが、既に実行不可能な状態かと思います。


その点はどう考えればいいのでしょうか?」



菓子をぽいっと口に放り込んで、翔太の質問を聞いていた紅闇は目を丸くし、そのまま笑むと「いいところに気が付いたね」と言い、茶に口を付けてから続けた。



「本当は全部向こうに還したかったんだけど、さすがに全部は難しいと主神たちも判断していてね。


地の球に影響を与えないで済むくらいまで戻せたらいいと考えてるみたいなんだ。


まあ、そこは主神たちの連携の問題や管理不足もあったから君たちだけの責任にするのもおかしいしね。


だから君たちは、自分たちができる範囲を全力で人を還してくれればいい。


…人で無くなってしまった者は処分という形にどうしてもなってしまうと思うからできるだけ還してあげられるように頑張ってね」



"処分"という言葉に背中に冷たい汗が流れる。

次の質問をする前に紅闇が言葉を続ける。



「人の君たちにとっては酷な話になるけど、人で無くなってしまった者が中津国に戻れば問題を起こすだけになる。


それこそ連続殺人や猟奇的殺人なんてかわいいような事件が連発するようになるのは君たちだって嫌だろう?



私たちも好きで処分をするわけではなく、仕方がないから処分をせざるを得ない。

…ただ、贄の結晶に戻るよりはましだとは思う。


一瞬の痛みだけで消滅できるからね。」



価値観…いや種族の差か…。

これからこの差にどのくらいぶち当たるのだろう…。

言っていることは分かるが理解したくないというか、被害者なのにその扱いになるのは何とも居た堪れない。


そんな翔太や天音の雰囲気を読み取ってか紅闇が説明を追加する



「消滅させてあげるのはある意味救いでもあるんだよ。

蛇の主神が贄に選んだくらいだから力を上げたい者たちはこぞって、それこそ国も種族も関係なく彼らを…


君たちにわかりやすい言葉だとエネルギー源として狙っている。


軽く主神たちから説明があったかもしれないけど、各国の勢力の中でも動きが異なっていてね。


私たち狐の一族は千歳の償いが早々に終わるようにと母上から仰せがあったのでほぼ手を引いている状態で、たまに血の気の余っているのが少し狩りに出ている程度なんだ。


あと根津国は蛇の主神の神子…いや主神の為かな。

ごめんね。言い方があれなんだけど、期待させてしまって彼らと対峙してショックを受けるより正しい状態を把握している方が安全だと思うから話してしまうね。


根津国、蛇の一族は蛇の主神が天音の中にいる彼のことを諦めたと言っていないから主神の為に今回は場が変更になった時点で参戦予定はなくして数人が様子見で参加しているぐらいになっている。


空津国は狐や蛇と対立することになるようなことは禁じているけど、それ以外は猿の主神は放任主義だから、自分の力を上げたい者と猿の主神を喜ばせようと…


蛇の一族のように猿の主神を崇拝してる者たちが献上物を作ろうと材料集めに参戦しているみたいだね。


…猿の主神の崇拝者はとても力が強くて猿の主神以外の話を聞かない者が居るからできるだけ彼らは避けて通った方が良いかな?


あとは…」



視線を窓に向け、なにがあったっけ?と自分の記憶を探っている紅闇の姿に思わず小さくたまっていた息を吐いてしまう。


そんな翔太に苦笑いの顔を向け彼は続ける。



「ごめんね。不穏な話ばかりで。

祭事の時期だからみんな張り切ってしまっていてね。

これでもいつもに比べればかなり平穏なんだよ?


人の君らには刺激が大きいかもしれないけど…



ああ、そうだ。


幽津国からやはり中津国に紛れ込んた者がかなり居たみたいなんだ。

それで天界への報復を企む混じり者たちと自分たちの欲で動く物の怪がここでもごった返していてね。


今のところ、そういった者と関係ない幽津国や空津国の者の区別が付かずにいるんだ。


狼と鳥の一族がよりこの結界内の警備の精度を上げようとしているが、当分時間はかかるだろう。



…一応私がここに居たのも、そういう勢力に対しての抑止力としてと、自国の者が他国の者と問題を起こさないために上位者として監視を母上から指示を受けてたんだけど、千歳が来るにあたって、お守が必要と主神たちが判断してね。


私が一番問題が少ないだろうということで選ばれたんだ。

これから一緒に行動することになるけど、千歳にはお手伝いと伝えるからその辺は話を合わせてくれると嬉しいかな。



あとは人に対して同情的な者も各国にそれなりに居てね、ここ以外にも小さな町のようなものがいろんな場所に構築されて来ていてね。


だから帰還の方法を覚えたら、そういうところから先に回って行くことになると思うよ」


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