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「ここが君たちと私の滞在場所だよ」


そう言い離れの扉を開くと、そこは玄関兼土間な空間から囲炉裏やソファーなどの応接セットに食事用のテーブルなどのある広い空間が広がっていた。


「さあ、中に入って。

まず、ここが入口だけれど会合というか皆が話したいときに集まれるようになっている。

あのソファーの先にある縁側の外は中庭になっていて、私たち以外は出入りしないから気にせず出歩いていいよ。


そしてこの囲炉裏の右側の階段を上ったところに君たちの部屋がある。

必要なものは部屋に大概付いていると思うし、両方作りは同じで窓からの景色が異なるくらいだからどちらをどちらが使うかは君たちで決めて。


私と千歳は左の階段を上った上の部屋を使うから、そちらの階段の上にある空間は君たちが息抜きができるように"人"しか入れないようにしてある、


だから、私を気にせず寛いでいいよ」



そう言われ、入口から離れの中を見回す。



「ああ、千歳は受け取るよ。靴は一応脱いでね。内履きはそこにあるからご自由に。


狐の国は君たちの国と近い建築構造をしていると思うから大丈夫だと思うけど、何かわからないことがあれば言ってくれればいい」



そこまで話すと紅闇は口に指を当て考えるように小首を傾げる。



「どうしようかな。一度部屋を確認して来てくれるかい?


それで問題の有無を確認してほしい。

それができたら戻ってきてもらって問題の確認と主神から貰っている情報とこちらの現状と既に異なっている可能性もあるから色々認識のすり合わせをしようか。


ああ、あとその鳥の主神から貰った梟はここで好きにさせていいよ

君も必要なとき以外は好きに過ごして」


肩に止まったままになっていた梟が紅闇の言葉に軽く鳴き声を返し、中庭に飛んでいく。


そんな梟の姿に驚きながら紅闇の言葉に頷き、千歳を紅闇に渡す。

そして入口の高くなった日本式の玄関に腰を下ろし靴を脱ぎ、内履きに履き替え、囲炉裏のある昔ながらの日本家屋に洋風の家具のある和洋折衷な空間を天音と2人並んでも余裕のある階段を上っていく。


上がった先には由緒あるホテルのような造りの10畳程度の居間というかソファーとティーテーブルに椅子などいった設備が置かれた空間があり、その先に2つ扉がある。



「どっちがいい?」



翔太が声をかけると天音は特に考えず「では右側でいいですか?」と部屋を決める。

こだわるタイプでなくてよかったなと変なところに安心をして頷き、「じゃあ、部屋を確認したらここで」と声をかけて、左のドアに進んでいく。


ドアを開ければ、そこも同じような品の良いホテルの部屋のような造りで広いベッドルームに机にソファーとテーブルといったものにメモなどの文具用品も備えられており、あと3つ扉がある。


開けてみれば簡易式のキッチンと風呂場とトイレやクローゼットと自分が住んでいる部屋よりもかなりいい部屋で、キッチンにはお茶にコーヒーといったものに菓子なども保冷庫に入っていた。



「ああ、あと水が出るかの確認しておけばいいか」



なんとなく、そこを確認もしておかないとあとで出なかった時の空気がつらい気がすると、自分の落ち度を潰そうとしている自分に苦笑いが浮かんでくる。


神を上司と似ていると思うのも変だが、ああいうタイプを相手にするとどうしてもこうなるなと他に抜け漏れがないか部屋を一周し、問題がないことを確認して部屋を出れば外には既に天音がおり、「すごいですよ。ここにもお茶菓子があってこれすごい有名店のお菓子そっくりです。」と目を輝かせている。


そんな天音に深刻に色々見まわっていた自分がおかしくて思わず笑ってしまう。



「え、何か変なことを言いましたか?」



問いかけてくる天音に悪いと思いながらも笑いが止まらない。



「いや、君じゃなくて自分がおかしかっただけ」



そう返しても訝しげに見てくる天音にまた笑いが込み上げてくる。

思わず咳払いをして「待たせているだろうから下に行こう」と話を切り上げる。


納得が行っていない感を漂わせながらも従ってくれる天音に感謝しながら、階段を降りようとすれば既に囲炉裏の傍のソファーに腰を掛けている紅闇が目に入る。



急いで駆け下りようとすれば「ゆっくり降りてきて」と声をかけられる。

いつから戻っていたのか気になりながらも、天音の後ろからゆっくり彼女に合わせて階段を降り、紅闇が居るソファーに近づいていく。


彼は僕らが下りてくる間に席を立ち近くの茶箪笥の傍に移動していた。



「ああ、そこに座っていて。今お茶を淹れるから。

翔太だったよね?気にしないで。私が好きで淹れているから。


君は言われた通り先に座って天音が気まずくならないように動くのがいいかな?」



そう、天音にまで気を使っているように見せる紅闇にやはり胃の奥が冷たくなるのを感じながら言われた通りに天音が座りやすいように、先ほど紅闇が座っていた席の前のソファーに腰掛ける。



「どうぞ、今回の祭事でいろんな中津国の国に行けたから色々試したんだけど、これが一番おいしかったんだよね。


紅茶だけど大丈夫かな?ああ、最初にコーヒーとどちらがいいか聞けばよかったね。

紅茶で2人とも大丈夫だったかな?」



頷く2人に笑みを深め紅闇が続ける



「あと、これは君たちの国で人気のケーキをうちの国の職人がアレンジしたものなんだけど、味は劣らないと思うよ?ああ、安心していいよ。


人が食べられないものや人が食べたと知って精神的ショックを受けるものはここにはないから。


外で食事をする時は気を付けないとたまに色々人が口にするにはショックを受けるものもあるけど、ここではそういったものは出ないから気楽に食事をして」



笑顔で当たり前のように話す言葉にそれなりの衝撃を覚えながら、この後の会話を考えどうするのがいいか悩む。

が、正直もうわからないなと何が入っているのかもわからない茶に口を付ける。


千歳が目覚めたら、自分の部屋にあった食料をこちらに貰おうと心に思いながら意識をこれからの話へと整えていく。



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