第21話 うさぎゾンビは少年ゾンビと再会する
その頃。
うさぎゾンビはモールにいた。
うさぎゾンビは、モール外に転がる2つのゾンビの遺体に気がつく。
ひとつは女子高生ゾンビ。もうひとつはゴリマッチョゾンビ。
近寄り、2人の髪の毛をむしり、食べる。
『テ』
『お□✤❇✩』
『女高〘℃℉剣¶』
『マッゾ℉強靭¶』
『ででで』
次に、躊躇しながらも頭をかじろうとして、突然動きが止まる。
「…お父さん?100円均一」
ゆっくりモール内に入る。
100均の店舗へ。中をウロウロと歩き回る。
「お父さん?どこ?」
「おい、そこのお前」
そこに目鼻立ちの整った少年ゾンビがやってきた。
「うさぎゾンビ?うわぁ、またなんかすごいのが来たな」
「え…?」
「ここは僕の城だ。部外者は出ていってくれないか」
「⋯有紀?」
「え?」
「有紀くんだよね。わたし、お姉ちゃんだよ」
「え!?姉ちゃん」
「そう、お姉ちゃんだよ」
「そんなばかな。だってウサギだろ。お姉ちゃんの訳がない。絶対に騙されないぞっ!僕の家族への冒涜は許さないぞ!」
「信じて…ケモナーBL同人とお金が大好きなお姉ちゃんだよ」
「本物だ!」
少年ゾンビが目を見開く。
「姉ちゃんはなんでそんな格好してるの?体も男だし⋯おっきなバナナがついてるよ」
うさぎゾンビは首を横に振る。
「よく分からないんだ。ねえ、お父さんとお母さんはどこ?」
「分からない。でも、ここにいたら家族に会えると思って待っていたんだ」
「そっか…やっと会えたね。ふたりともゾンビになっちゃったけどね」
「ふふふ」
少年ゾンビはウサギゾンビに抱きつこうとする。しかし股間のバナナを見てやめる。
「お姉ちゃんは…なんか頭が混乱してるんだ。色んな人の記憶が混じってる、ていうか…そもそも私は一体誰なんだろう。ゾンビになる前は何だったんだろう」
「…人間でしょ?」
「人間だったのかな…人間に会えば、何か教えてもらえるのかな。楠本とか村田とか。大鳥の奴は村田の家におったな」
「え?ええと、楠本ババアと村田なら、来たよ」
「本当?」
「うん。ショッピングカートを壊して逃げた」
「ショッピングカート?…2人は出社もしないでどこに行ったの?」
「出社?よ、よく分からないよ」
「そうか。お姉ちゃんちょっと楠本たちに会いに行ってくる。けしからんからな。ひとりで寂しくない?」
「さみしいけど…行ってきていいよ。また戻ってきてくれたら、それでいいから」
「分かった」
「そうだ、人間を見たら殺したくなるから、目隠しとかするといいよ」
「わかった。気をつける」
「あと…」
少年ゾンビが内股になって言う。
「服も着たほうが良いよ。バナナむき出しだと、楠本エロババアになに言われるか分からないから。二階で礼服のビッグサイズセールがやってる。ついてきて」
完全に日が暮れた。ゾンビがバックヤードから湧いてくる。
2人は暗闇の中を歩く。そして礼服店へたどり着く。
暗闇の中、うさぎゾンビはビックサイズのタキシードに目を見張る。
「たけし、結婚式…」
「たけし?」
「なんだろ。頭がガンガンする」
「着てみる?」
「うん」
少しして、タキシード姿のウサギ人間が仕上がった。
鏡を見てうさぎゾンビが言う。
「たけし、かっこいいよ」
「…姉ちゃん、どうしたの?たけしって誰?」
「え?よく分からない…これ、結婚式に着てっていい?」
「うん?いいよ?ええと、お会計だけど、靴とかも合わせて合計15万円だね」
「…え?」
「税込みだよ」
「…」
「お姉ちゃん?」
突然うさぎゾンビがすさまじいスピードで走り出す。
「…じゃあ行ってきまーす!バイバイキーン!」
「ああっ!待てドロボー!金払えー!」
モール内に少年ゾンビの声が響き渡る。




