働くのって結局辛いよね
なんか異世界転生ものらしい話。
「不労所得が欲しい!」
「どうしたんですか急に」
アイリスが驚くのも当然だろう、夫が実質働かない宣言をしたのだから。
「いや、もう残高に怯えながらクエストを受けるのは嫌だ」
「確かに、冒険者の収入は安定しませんしね」
僕らは普段、結構大きい額のお金を使っている。水道などのインフラは勿論のこと、メイド達の給料やら食費や
ら生活費やら…いかんせん受けるクエストの難易度が高いため1回の収入は大きいが、そう毎日クエストをこな
せる訳でもない。そう、不労所得最高なのだ。
「といっても、どうするんですか兄さん?」
「商会を開こうと思ってね。あ、勿論運営資金は僕の個人的な貯金から出すよ」
商売で家族のお金を消しとばしたら洒落にならないしな。
「商会ですか。それで、何を売るんですか?」
「ちょっとアイデアがあってね」
そう、前世のものをこちら側で再現するのだ。異世界転生者の主人公はそうやって現代知識無双すると相場が決
まっているのだ。
「頑張ってくださいね。手伝えることがあれば言ってください」
「ああ、ありがとう」
本当に頼もしい嫁だよ。
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「取り敢えず日用品からかな…」
この世界は前世に比べて文明が遅すぎる。僕の拙い知識でもそれなりにやれるんじゃないか?そう楽観的に考え
ております。
「食器用洗剤とかあったらだいぶ売れると思うんだけど」
この世界では当然ながら食器洗いは水オンリー、主婦達の腕力が試される家事となるのだ。
「前世で本をちょっと読んだだけだけど…」
この世界でも薬品は販売されてる、そしてこれを…
「『製薬』これで良いのかな?」
そう、最近使える様になった『製薬』。これは文字通り薬を作る魔法で、これがあれば自家製ポーションを作る
こともできる。ちなみにこの魔法、材料が大体合ってればイメージ次第で形にはなってくれる親切仕様。僕みた
いな素人には嬉しい。
ややあって…
「これで良いんじゃないか?」
配合なんて分からないから、聞いたこともない様な薬品と格闘すること6時間。ようやく前世で腐るほど見た
「それっぽいやつ」になった。けど、これが実際に使えるかは別の問題だ。
「フェイ、ちょっといいか?」
「はいご主人様、何ですか?」
「これ、食器洗いの時に使ってみてくれない?」
「はい…ちょうど昼食の時の食器があるので、試してみましょうか」
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「す、凄いです!汚れがみるみる落ちていきます⁉︎」
某キュ○ュットのCMみたいなリアクションしてるな。ただ、身内だからかあれほどの胡散臭さはない。
「ご主人様、これは売れますよ!! 」
「本当か?じゃあ、本格的に設立に向けて動き出そうかな」
僕に会社運営の知識なんてない、前世ではずっと雇われ人だったからね。
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翌日、アイリスとこの世界最大手の『クエン商会』に来ていた。僕1人で個人的に立ち上げても運営不可能なの
で、その商会のグループとして立ち上げてもらおうという作戦だ。
「すいません、子会社としての登録をしたいんですが」
「分かりました、社長との面会を設定しますので少々お待ちください」
数時間後…(めっちゃ待った)
「入って良いですよ。すいませんね、随分と待たせてしまって…」
「いえ、大丈夫ですよ」
迎えてくれたのは、眼鏡をかけたいかにも仕事できそうな黒髪美人社長。
「それで、子会社を立ち上げたいということですが…」
「はい、これがその最初の商品として考えてるものです」
「…これは?」
「食器を洗う際に使用する洗剤です。アイリス」
「はい、こちらをご覧ください」
社長の目の前で汚れた皿を洗って見せる。魔法の力が関係しているからか、前世より効果が顕著な気がする。
「おぉ‼︎私もやってみても良いですか?」
「ど、どうぞ…」
アイリス、大人しめな社長のテンションが急に上がって引くのは分かるが、もう少し抑えたほうがいいぞ…
「これは売れますよ!すぐにでも商品化しましょう」
「本当ですか⁉︎ありがとうございます」
「後日また詳しい話をさせていただきますので、商会の名前等考えておいてください」
「分かりました」
〜元社畜、不労所得獲得への道〜
恒例企画。キャラクターたちの裏話!
カ:よっしゃああああああ‼︎
ア:おめでとうございます。それにしても、前世の知識を使うのはちょっと卑怯じゃないですか?
カ:転生したんだ、それぐらいの楽をしてもよかろう?
ア:そういうものですか。
カ:そういうものです。




