正妻戦争 アイリス編 vol1
バッチバチのヒロインレースです。
「兄さん、行きますよ?」
「あの、拒否権は…」
「無いですよ?兄さんの気まぐれで計画を台無しにするわけにはいきませんから」
「そうですか…」
突然始まった正妻戦争(?)の第一週はアイリスらしい。というか、僕の了承は必要ないの?今更感があるが、僕は
妻になって貰った記憶がないんだよな。
「今日はどこに行くんだ?」
「特に決めてません。美味しいもの食べて、好きなことして、休日を満喫しようと思います」
「意外だな、アイリスのことだからきっちり計画してるのかと…」
「私の好みを押し付けて兄さんの評価が下がっても嫌ですし」
「…ならもう少し早く配慮して欲しかったな」
正直誰かを選びたいわけじゃない。それに、そんな集中して出かけることもないからなぁ…
「近くに新しい喫茶店ができたんですよ。コーヒーが美味しいらしく…行きますか」
「行こうか」
男として妹にリードされるのは如何なものか…
「いらっしゃいませー」
「なんか良い雰囲気だな」
「噂によると、ここで成立したカップや夫婦の数が相当数らしいですよ。私たちにピッタリですね」
「なにそれ」
前世なら単なる噂だと割り切れたのだが、魔法が存在するこの世界では本当なんじゃないかと思ってしまう。
「うーん、どちらも美味しそうですね。よければシェアしませんか?」
「いいよ。というか、こういうことする機会あんま無いかもな」
なんか色々すっ飛ばしちゃったのかなぁ。
「じゃあ、あーん…」
アイリスが目を閉じて口を開ける。この世界にもその文化あったんだな。
「ほら」
「おいしいです…」
なんだろう、保護欲をそそられる。こう、もっと与えたくなる感じ?前世でペットを飼ってる人はこんな感じな
のかな…
「兄さんも口開けてください」
「いいよ、恥ずかしいし」
「むぅ、私にはさせないつもりですか?」
膨れっ面って、なんでこんなに可愛いんだろうな…
「分かったよ…」
「フフ、餌付け成功です♪」
おい待て、今不穏なセリフが聞こえた気がするんだが。
「アイリス、いまなんて…」
「なんですかぁ?」
とびっきりの笑みで返された。これはあれか?触れるなってことか?
「明日も楽しみですね」
「そうだな…」
前世で妻の尻に敷かれる夫というのを見た時、どうしてああなったんだろうかと思っていたが…
なるほど、知らず知らずのうちに立場が決まる訳だ。
書いてて楽しい限りです。




