這い寄る影 vol4
決着だぁ
「ここに来たってことは、この女を取り戻すつもりだろう?」
「もちろんだ、仲間を誘拐されて放置できるわけ無いだろう」
「じゃあ、約束通りシオン王女を渡して貰おうか」
「それはできない。そもそもお前が勝手に奪っていったんだから、こっちが好き放題やっていいだろう?」
「キサマ、この僕をお前呼ばわり、だと…」
「王子のお前は名ばかりだろう?」
「ふざけるな!死にたくなかったら王女を渡せ!」
人を自分の思い通りに操ることに関して、こいつの右に出るものはそうそういな
いだろう。自分の地位をよくわかってる、実際こいつが声を上げれば人殺しも不
可能じゃないだろう。
「やってみろよ、負ける気はないがな」
これはハッタリだ。正直こいつの力は底が知れない、下手に策を仕込まれる前に
勝負に持ち込む。前世の汚い社会で生きた数少ない記憶に頼らせてもらおう。
「どうした、殺すというのはハッタリか?(ハッタリをかましたやつが言っております)」
「いいだろう、僕の力を持ってねじ伏せてやる。その代わり、シオン王女は介入させるな。怪我をさせたら困る」
「分かった」
前世のアメリカンな映画では、ガンマン同士が睨み合っていたけど、まさか自分
が似たような体験をすることになるとは…
「死ねぇ、カイト!」
『ネオ・ファイヤーランス!』
おいおい、最初から飛ばし過ぎでは?
『ウィンドサイクロン』
今まで土魔法の壁を防御に使っていたが、あれ魔力コスパが悪いんだよな。
「そんなもんか?」
どうせ奥の手を隠し持っているのだろう。なにかされる前に叩き潰す!
『ウィンドカッター ×50』
あ、同時生成できる数上がったよ。この体は伸びしろしか無いな。
「おい、ちょっと待て、なぜあれを防げる。というか、死にかねん!」
ん?今絶叫が聞こえた気がしたけど、多分外でセシリア姉さんが暴れまわってい
るんだろう。
**********
「シオン、これは僕がおかしいの?それともこいつが弱すぎるの?」
「…両方じゃない?」
あれだけ大口叩いておきながら、一瞬で負けられちゃねぇ?
というか、学生時代に一回手合わせしたときと手応え変わらなかったぞ?つまり
あれから成長してないのか…
「カイトー、終わった?」
「うん、随分あっさりと…」
「これは報告が大変ですね。ギルドになんて言えば…」
「うーん、シュバルツ王子の陰謀を暴きました?」
言ってから気づいた、これ僕捕まるね?はたから見れば別国の王子を襲ったって
ことになるんじゃ?
「まあそれは追々考えるとして、クリスが無事で良かったよ」
「うう、カイト君、ありがとう。本当に…」
前世の父さん母さん、僕は女の子を助けて泣かれるラノベ主人公になったよ。
次の章で、本編完結予定です。




