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s,23『安い機雷と元海軍大佐。』


誤字脱字、矛盾点は見つけ次第に修正します。


 「なぁ、アール、さっき船長が言ってたボードルってだれだ?」


木崎はずっと気になっていた事をアールに聞く、もちろん警戒は怠らない。


この世界に来て数ヶ月、身の回りの事なら多少分かるようになったがこっち側の歴史や政治についてはさっぱりだ。


「ああ、エルヴィナ王国の海軍大佐だ、確か第四艦隊だったか?なんでも昔は船長の部下だっそうだ。あとハゲてる。」


「エルヴィナ?」


「ああ、西の方にある島国だ。こっから船で半日以上かかる。すぐ来れるってことは軍事演習で近くに来てたんだろう。」


「でも、幾ら昔部下だったとはいえ予定を変更してまで軍がくるか?自分の国の船ならともかく・・・」


「まぁ腐っても元海軍大佐だ、軍事機密も知ってる、捕まって内容をゲロされたら困ることもある、それに俺らも傭兵みたいなもんだからな・・・雇っている側として放っておく訳にもいかないんだろ。」


「俺ら傭兵なのか!?」


全く知らなかった新事実に驚愕する。


「いや、輸送が専門だが運ぶ物はもっぱら武器とか弾薬だな、たま~によくわからない物も運ぶ。」


「よくわからないの?」


「ああ、中からうめき声のする箱とかガラスケースでガッチガチにガードされた真っ黒なノートとかだな。」


「関わりたくないな・・・」


どっかで聞いたことのあるヤバい何かとは別物であることを願いたい。


話をするうちに時間は過ぎ、スカリー諸島へゆっくりと入る。


『今からスカリー諸島へ侵入する、気を引き締めろ。』


船長の声が伝声管でんせいかん(声をパイプを通して伝えるための装置)から船内に響く、いよいよダクロトール奪還作戦が始まる。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


スカリー諸島に入ってからしばらく経つが今のところ敵の攻撃は無い。


船内を異様な緊張感が漂う。


「何も起こらないな・・・」


アールが言う。


「はぁ・・・もういい・・・」


この後何か起こる。何よりの証拠はアールが「何も起こらないな。」と、言ったことにある。


  -ドズーン-


船の10メートルほど手前で大きな水柱が立つ。


それを皮きりに次々に砲弾や銃弾が飛んでくる、船が大きく揺れるたび甲板に置いてある木箱やロープ等が滑って海に落ちていく。


「敵襲ー海賊だーッ隠れろー」


「配置に付けっ、大砲班は砲弾の装填急げ。」


船内が騒がしくなり、甲板にいる船員は流星群のように飛んでくる銃弾から身を隠す。


弾丸が身をかすめるたびに「ちゅいん」という乾いた音が聞こえる、あと数センチずれていたらと思うと恐ろしい。


「うわっ」


アールが長さ120センチ程のマスケット銃のような気砲を抱いて物陰に滑り込む。


「どっから撃ってきてるんだ!?」


「周りの島からだっ!うおっ」


木崎は甲板に固定されている縦1メートル横2メートル程の用具箱にMP5を持って身を隠す。弾丸が箱に当たるたびに中の工具に当たって火花をあげる。


海賊のいる島とマミヤの距離は50~80メートル程、気砲の有効射程圏内だ。


「うはぁっ・・・危ねぇ弾掠ったぞ、熱烈な投げキッスだな。」


「何が投げキッスだっ!んなこと言ってる場合かぁー!!」


こんな時でも反射的にツッコミをしてしまうのは日本人の性なので仕方ない。


-ラルゴやシルフィは大丈夫だろうか?-


3班の女性陣は船の後方甲板に居るはずだ、兎にも角にもここから移動しなければどうにもならない。


「アールッ、船の中まで走るぞ!!」


「わかっ・・・ふへッ」


銃弾が掠めアールが間抜けな声を出す。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


「マズいな、囲まれた。」


ハスコックは独りごちる。


スカリー諸島はその名の通り小さな島の集まりだ。島と島の距離は長い所で150メートル前後、狭い所では50メートル以下の所もある。


相手はスカリー諸島の入り組んだ地形を利用して挟み撃ちをすると予想していた。だが、実際は島に銃や大砲を置きそこからマミヤに向け集中砲火を浴びせている。


-海賊の攻撃が計画的すぎる、今の時代海賊だって行き当たりばったりで成り立つほど楽でない・・・誰かがあの海賊に依頼したのか?-


トレーン・ハスコックには思い当たる幾つも節があった。この船の船長として・・・というか海軍にいた頃から仕事をする上で恨みだけは在庫が有り余るほど買っているだが、この状況で考えられるヤツはただ一人、


「あんの腐れ貴族め・・・」


ダクトロールしかいない。


「戻りますか?」


ユエが聞く。


「いや、もう戻れんよ。・・・ボードルはまだ・・・」


-ズシャーン-


そう言いながら、窓の縁に置いた双眼鏡を取ろうと窓に近づいたとき、狙いすましたようにガラスが割れた。


船を下から突き上げるような衝撃が走り、割れたガラスの破片がハスコックの頬を掠めて血が流れる。


上から指示を出しているだけだから安全なんてことは無いのだ、ここにだって弾は飛んでくるし、火災が起きれば炎は容赦なく燃え広がる。


「全員、直ちに船の中に戻れっ!!」


ハスコックは伝声管に向かって叫び、全員に安全確保を促す。


その衝撃の正体が砲撃のものでないことはすぐにわかった、海軍に居たころ一度か経験しているからだ。


「クソっ海賊のクセに機雷なんぞ持ちよって・・・被害知らせぇ!!」


ハスコック悪態をつき、伝声管に被害の確認をする。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


 -ズシャーン-


マスターグはその爆発音を聞いてニヤリと口角を上げる。


島からの銃撃以外にも仕掛けておいた罠がある、機雷だ。


機雷は船が近くを通ったりぶつかったりすると爆発する装置、要するに海の地雷。


この世界に音響機雷や磁気機雷はまだなどは無いためその殆どが触発機雷(船体が直接接触する事で起爆する方式)だ。稀に有線/無線機雷などがある。


闇市で売っていた質の悪い安物のため、信頼性は低い上に威力も小さいが、何の強化もしていない普通の木造船なら安物でも船体に直径1メートルの大穴を開ける威力がある。つまり一発KOだ。


あとは島にいる仲間を回収して報酬を受け取ったあとダクトロールを殺すだけだ。


「沈んだか?」


「さぁ、ボクに聞かないでよ、でもあのデカい船でも沈んではないにしろ相当な被害が出てると思う。」


マスターグの独り言に応えるぱっと見・・・いや、よくみても男子に見える見事なまでにフラットな一人の少女がいる。


髪は綺麗な金髪。瞳も金色で猫のよう、身長は145センチ程だろうか、これでも18歳。半人半鳥ハーピーならこのくらいの身長でいいのだが残念ながら人種ひとしゅ、さらに一人称が『ボク』のためボーイッシュさ増し増しである。


背中には己の背丈程もある(彼女が小柄というのもあるが。)あまり見ない火薬式の銃を背負っている。


名前を「ミア」と名乗っている。だがおそらく偽名だろう。なぜなら彼女は『手の届かない悪魔』の通り名を持つ殺し屋だからだ。ダクロトールが失敗した時の保険に雇ったのだろう。


暗殺方法は狙撃で気銃では届かない距離から撃ってくるからそう呼ばれているらしい。


「ねぇまだ?早く仕事終わらせて帰りたいんだけど、」


ミアが気だるそうに言う。


「ああ、今回はお前の出番はないかもしれん。」


「報酬さえ貰えれば別にいいけど、」


やはり気だるそうに言う。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


「被害知らせぇ!!」


ハスコックは伝声管に叫ぶと直ぐに応答が来た。


『左舷後部損傷っ、浸水はしていないが次に同じ所に喰らったら・・・』


「クソっ、他に被害は?」


『爆発の衝撃でクレーンの支柱が折れて倒れた。それに後方甲板にいた船員数名が負傷・・・』


「今どこにいる?」


『後方甲板の出入り口です。』


「早く安全な所に運べ、医務室だ。」


ハスコックが伝声管の蓋を閉めるとパコンという可愛らしい音がした。


状況で安全な所があるかどうかは分からないが、甲板に居るよりはマシな筈だ。


「ユエ、運搬物の中に水素かヘリウムってあったか?」


何か思い付いたようだ。


「ええ、確かマニアルアへの荷物の中にヘリウムのボンベが何本か・・・何に使うんですか?」


「相手に交渉を持ちかける。」


「方法はあるんですか?」


「今一番優先すべきことは2つ、相手に攻撃を止めさせることと、相手の位置を把握する事だ。」


ハスコックは頬から流れる血をハンカチで吸わせながら質問の答えになっていないことを言う。













































































今回はハスコック船長の出番が多かったですね。


次は木崎の出番が多いと思います。(多分・・・)

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