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S,15『居たはずの人』

傍点が変なところに付いているかもしれませんが気にしないで下さい。


と、書くのも未だに傍点の打ち方が曖昧だったりするので・・・


まぁ、最低限伝われば良いのです。


大型ネイヴとの戦闘で船は大破し、船員15人が死亡、8人が重軽傷を負った。だが、船員達の様子はいつもと変わらず何もなかったかのように過ごしている。


この世界では数日間、故人が生きている様に振る舞う。それが亡くなった彼ら彼女らへの見送りの儀だそうだ。


実際に衣服や食事を亡くなった人の分まで出し、故人が生きているように会話をする。


あちらこちらに穴が開いた甲板を通りがかると、髪を腰くらいまでのばした女性が独りで喋っていた。彼女はマナ・ロザリンドといい、よくあそこで友人のロドシーと喋っていた。


ロドシーは補給班だったが人員不足で大砲班に回されていた、そしてネイヴの衝突に巻き込まれた。


「でね、グスっ・・・食堂でさ・・・・」

              ・・・・・・・・・

涙を流しながら精一杯笑って、そこにいたはずの人と喋っている姿には直視できないほど胸が痛んだ。しかもその人員不足の中に警備係の自分が入っているのだから更に苦しい。


食堂に行くとアールが居た。


「おう!キザキ、どうした?しけた面して」


「アール・・・」


アールもいつもと同じように話し掛けてくる。だが、悲しみを押さえ込んでいるのは明らかだった。


「誰にでも後悔するときはあるから気にすんな。なぁキース、お前は新人の頃、荷物壊してスゲー怒られてた挙げ句、減給喰らったことあったけか?ハハハハ」


キースはアールと同期の友人で木崎も何度か一緒に酒を飲んだ事があるが・・・


「なことあったのか?」


      ・・・・

木崎はそこに居たはずのキースに聞く。


「ああ、だから気にすんな、それにお前が飛び出したのは仲間を助けるためだ、誰も恨んしゃいねえよ。」


アールが木崎を励ました。


「ま、それにお前とラルゴが飛び出したのを知っているのは俺と船長とエレナくらいだからな。」


「そうだな、でも次からは警備係としての自覚をもつよ。」


木崎は保育係から警備係に移動していたが船の設計などで忙しく、自覚が足りていなかったのだ。


ネイヴとの戦闘から三日後、船員達の遺体はアルメリアで火葬されたあと、街の共同墓地に埋葬された。


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「ラルゴも呼び出されたのか?」


「・・・」


船長に呼び出された。恐らく無断で飛び出したことに関してだろう。報告連鎖相談が出来ていなかった。


-クビ・・・かな?まぁ・・・しゃぁないか。-


ラルゴも少し元気がない。やはり自分の報連相のできていない勝手な行動をとった罪悪感とクビの恐怖があるのだろう。


意を決して扉を開ける。 


「ガチャ」と、いう音と共に扉が開く。


「失礼しま・・・」


言葉が途切れる。何故かそこでは船長が簀巻すまきにされ、そのすぐ後ろでユエが泣いているという、なんともリアクションに困る光景が広がっている。


「えっと・・・お邪魔しました。」


「何も言いませんから・・・」


木崎とラルゴは扉を閉めて帰ろうとする。


「おい、待て、誤解するな、変なプレイをしている訳じゃない!」


と、言われても全く説得力がない。というか、この光景こそが一番の説得力を持っていると思う。


「・・・」


「・・・」


「おい、信じてくれ!!本当に用事があって呼び出したんだ、この状況は説明するからぁーーーッ!!」


目を合わせず帰ろうとする木崎とラルゴに船長が叫ぶ。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


「と、言う訳で・・・簀巻にされてます・・・はい。」


船長が簀巻き状態でうつ伏せながら申し訳なさそうに言う。


「金が無い・・・ですか・・・。」


この前、木崎が設計した船を採用し、造船所に設計図を送った船長だったが、やはり予算を大幅に超えたらしい。


「で、でもまだ発注してそんなに経ってないし、キャンセルできるんじゃ・・・」


「もう、九割完成してるんです。」


「なんでそんなに早いんですか!!あんなバカでかいもの少なくとも5年は掛かりますよね!!?」


まだ二週間も経ってない、無料タダとは行かなくても何とか断れるのでは?と、言う木崎の思いはその言葉で一瞬で沈む。


「じ、じやぁ足りなかった分はどうしたんですか?」


ラルゴが恐る恐るきく。正直、聞くのが怖い。


「グズッ・・・借金です。」


ユエがまた泣き出した。


「ち、ちなみに、おいくら万円ですか・・・?」


「10億ノクです。」


「10億ッ!!!!?」


正確には分からないが、木崎の感覚的に1ノク一円換算ぐらいで、この運送会社マミヤは10億というジャン●宝くじの一等とその前後賞を合わせても足りない金額の借金を背負ったのだ。


「じ、10億・・・ハハハっ」


ラルゴがその金額に笑い出した。マミヤの年間収入は約2億、そこから船員の給料や食料費、修繕費、etc.を引くと・・・ダメだ異世界で失業とか一周回って大笑いするしかない。


「ところで、お前らを呼んだのは木崎を警備係第3班の班長に就任させるたッいだだだだだだだだッ!!」


「会社が潰れるかもしれないのに何言ってんですか!!?」


ユエがハイヒールのかかとで、簀巻き状態で動けない船長の頭を踏みつけてグリグリと足を半回転させる。


「ねぇ、頭ミシミシいってるから、ああああッ許してくださいッああああああっ!!」


「ここで首吊って謝罪すれば少しは許す気になるかも知れませんよ?」


笑顔で更に強く踏みつけるユエを見て、この人だけは怒らせないようにしようと、心に決める。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


木崎には班長の就任書が渡され、ラルゴには警備係への移動命令書が渡されたが・・・


「俺、3班の班長になったんだか・・・」


「ああそうか、よかったな・・・。はぁ・・・」


アールは求人誌のページを見ながらため息をつく。


どこからこの話が広がったのか分からないが、皆、ため息をつきながら、就活雑誌や求人広告を見ている。


「なぁキザキ、この仕事一緒にやらないか?割と稼ぎもいいし」


「オカマバーの従業員・・・却下。」


「じゃあ~これはどうだ。」


「ナンパ代行屋・・・ダウト。もっとマシなのないのか?」


「これぐらいしか・・・」


「マジか・・・」


先が思いやられる。


木崎も真面目に求人誌を読み始め、「世界は残酷」と、いう誰かの名言が頭の中をグルグルと回る。



































借金はどうなるのか!?

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