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S,14『決着。』





「走れッ」


ラルゴのがそう叫んだと共にエレナが馬を走らせて教会のホールから外へ飛び出す。


音に反応したネイヴが追いかけてくる。


ここまでは想定内。


-タタタタッ-タタタタッ-


木崎はAK47をネイヴに向けて発砲する。


「なんで増えてんだ!!」


想定外の事態だ、増えている。


スライディングで逃げてきた時は多く見ても20~30程度だったのに今では、ぱっと見50はいる。しかもその上では、あの大型ネイヴが木崎達を直々に追っかけている。


「私に聞くな!こっちが知りたい!」


ラルゴが言う。


何とか教会を脱出できたものの、大量のネイヴに追いかけられている。


「船まであとどのくらいだ?」


「3キロくらいです。」


エレナが馬を操りながら答える。


木崎は手榴弾のピンを抜いて地面に落とす。手榴弾はネイヴが通りかかったところで炸裂し、数体を倒す。


「ヤバい、ヤバい、ヤバい!!」


いつだったか、国会議事堂がテロリストに襲われた時のように「ヤバい」を連呼する。


「あとどのくらいだ?」


「あと2キロくらいです。」


「あと1キロ・・・」と、木崎は心の中でつぶやき、アールに渡されたペンダントくらいの大きさの石、念話石ねんわせきを胸元から取り出す。念話石は大きさで会話できる範囲が決まり、この大きさだと1キロが限界らしい。


木崎が即席で考えたもう一つの作戦の実行時刻ゼロ・アワーが迫っている。


「あとどのくらいだ?」


「あと1キロくらいです。」


その時、念話石がプルプルと携帯のバイブレーションのように震え、船長の怒鳴り声が聞こえた。


「おいコラ、▽#?↑←$¥\◎ッ、勝手に持ち場離れやがってぇーーー」


殆ど聞き取れなかったが、怒っているのはすごくわかった。


「船長、今からそっちにネイヴ持っていくので民間人を退艦させて攻撃してください!!」


「おい、ちょ、待てキザキ訳がわからn・・・」


「早くッ!」


「イエッサーッ!!」


何故か下っ端の船乗りみたいな返事をし、その後船長が船員に的確な指示をする声がきこえた。 


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


「民間人は直ちに退船!!警備係はネイヴ迎撃に当たれ!!」


船長、トレーン・ハスコックは先がラッパ型に広がった伝声管の先に怒鳴る。声は張り巡らせたパイプを通して船内に広がる。


-キザキのヤツ・・・まぁいい、どっちにしろあの大型とは決着をつけにゃいかんしな。-


「はぁ・・・お偉方も大変な仕事を押し付けやがる。近くに軍港があるんだからそっから軍艦出せっての・・・」


トレーン・ハスコックは悪態をついて手に持った紙を丸めて筒に戻すと、ひび割れた窓の外に目をやり曇天の空をバックに飛んでくるネイヴを見る。


「距離700ってとこか・・・300まで待つか・・・」


は独りごちる。キザキの作戦は大体分かっている。恐らく飛んでくるネイヴをこの船の大砲で迎え撃つのだろう。


ライフル型の気砲有効射程は約150M、大砲は1000Mだ。


『こちら3班、いつでも行けます。』


『こちら2班、迎撃準備完了』


『こちら1班、発射できます。』


『こちらカルヴィン・クライス、いつでもどうぞ。』


それぞれの警備係の大砲班から準備完了の知らせがくる。カルヴィン・クライスについては、「世話になったからその恩返しだ。」とのことだった。


「各員、指示があるまで絶対に撃つな、ギリギリまで引きつけろ!!」


『了解!!』


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


-あと、700。-


大通りに出た。港まではこの道一で直線だ、港の船が目視できる。


さっきから人型ネイヴの数が減っている、何故だと思い見ると、霧状になった人型が上を飛んでいる大型に吸い込まれ、大型がその分大きくなっている。


「あいつ、大きくなんのかよ!!」


「やっぱりか、だから来るとき街に人型が少なかったんだ。」


ラルゴが合点がついたように言う。


「ヤバい、エレナもっと速くっ」


「これが限界です!!」


この馬は大人3人も乗せて走っているのだ、本来のスピードの半分も出せれば上等だろう

それに大型ネイヴは人型を吸収するごとに速くなっている、このままではいつか追いつかれてしまう。


-あと、500-行けるか?-


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トレーン・ハスコックは窓の外を見て指示を出すタイミングを計る。


恐らく、大砲班の船員達は今すぐ発射して失敗できないという圧力プレッシャーから逃れたい思いでいっぱいなのだろう。だが、誰も圧力に負けて闇雲に撃たないのがところは、流石マミヤの船員達である。


-あと、500、400、300、-


有効射程に入った。


「撃てーーーーッ!!」


トレーン・ハスコックがそう叫んだと同時に、全長80メートルの船体にある大砲用の30個の窓から一斉に砲弾が放たれる。


-ドシューッ!!-ドシューッ!!-ドシューッ!!-


それぞれが大量のガスを放出し、砲弾の殆どは命中。カルヴィン・クライスの元から放たれたM72の橙色の光の玉が白いトレーサーを引きながらネイヴに向かう。


マミヤの集中砲火を浴びた大型ネイヴは空中で身体を捻りながら慣性の法則に従ってマミヤに突っ込んでくる。


「全員、退艦せよッ!!」


そう叫んだ時にはもう、遅かった。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


木崎達は逃げ切った。だが、マミヤの船体は甚大な被害を受け、浮いているのが奇跡と呼べる状態だった。


ネイヴの身体は船の全幅の半分まで突き刺さっていた。ネイヴはそのすぐ後、霧状になって消えたが、大砲班だった船員15人が死亡、8人が重軽傷を負うことになった。


大型ネイヴとの戦闘が終わった次の日、木崎は違和感と罪悪感に襲われていた。


罪悪感の原因は自分の勝手な行動で何人もの命を失ってしまったこと、違和感の原因は船員達がいつもと変わらず、明るく、楽しそうなことである。


聞けば、これがこの世界での、亡くなった彼ら、彼女への見送りの儀なのだとか。













































え~と、やっと大型との決着が付きました。最初は2話程度で終わらすつもりだったのですが、つい伸びてしまい長々と・・・次回は木崎達の設計した船が出て来ます。

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