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魔力無制限の大魔法使いは、静かに読書したいだけ  作者: 紙絵。
第二章 大魔法使いと呪いの本

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大魔法使い、国へ戻る

 サリア王国を後にする一同。


 その頃、デグス大臣は、結界が破られた戸棚をしょんぼりと見つめていた。


「大臣、元気出して!? 無くなった物はどうしようもないわよ。今は私を元に戻す為に頑張って!」


 金魚に励まされながら、大臣は青く光る鉱石を取り出した。

 大臣はラン——金魚の呪いを解くために、まずは鉱石を削る。しかし……


「硬くて、刃がボロボロになってしまう……」

 

 とても硬いこの鉱石は、普通のナイフでは削れないのだ。ノアが魔法で簡単に粉にしていたが、あれはノアだからできた芸当である。

 大臣は早急に、一人でやり遂げるのは無理だと判断し、国家直属の魔法使いたちにも応援を頼んだ。


「もう、リウム王国は懲り懲りだ……あの大魔法使いめ……」


 文句を言いながら、次は魔法陣の修得に必死になるのであった。


 ◇


 そんなことを知ってか知らずか、ノアは馬車で読書中である。サリア国王から、お土産に珍しい本を大量に貰ったのだ。

 ノアはホクホク顔で、すっかりご満悦である。

 エレナは帰りは馬車で酔わないよう、窓の外を眺めていた。


 馬車が走り始めてしばらくすると、太ももに何かが乗ってきた。


「ちょっと寝かせて……ふぁぁ」

「え! ノ、ノア!?」

「スー……スー……」


 当たり前のようにエレナの膝に頭を乗せ、ノアは眠りについた。

 突然のことに、エレナの顔がみるみる赤くなる。


「もぅっ!」

 

 頬を膨らませながら、エレナは暑くなった顔を手で仰ぐ。そして、再び窓の外を眺めるのだった。


 ◇


 やっと山小屋に着いた二人。


「ただいま」

「白虎、ただいまーー」

「ガウウゥッ!!」

「うわっ……!」


 ——バタンッ!


 白虎に覆い被され、ノアが倒れる。

 

「ふふ。白虎、ノアに会えて嬉しいみたい」

「ガウ〜!」

「そんな舐めるなよ」


 まさに、人懐っこい巨大な猫である。

 白虎を宥めながら、やっと我が家の山小屋へと帰宅するのであった。



「で、この本どうするの?」


 エレナが、金魚になる呪いの禁書を指さして尋ねる。もう、間違っても金魚にならないよう、禁書には近付かないようにしているのだ。

 白虎も魔獣の本能か、そばに寄ろうとしない。


「禁書はこの世から失くした方がいいと思うけど……下手すると呪いが世界に広まっちゃうからね」


 しばし考え込む二人と一匹。


「やっぱり封印する?」


 エレナが提案する。


「うーん……何年後かに封印が解かれたりしなきゃいいんだけど……」


 ノアが腕を組んで下を向く。そして、何やらボソっと呟く。


「呪いを抜き取れないかな……」

「そんなことできるの?」

「瓶の中の水を抜き取るみたいなイメージでしょ? やってみる」


 目を瞑り、両手を本の表紙へ向ける。

 フワッと光がノアと本を包み込む——

 すると、本が勝手に捲れ始めた。


「だ、大丈夫!? 金魚にならないわよね!?」

「ガ、ガーウ……」


 エレナと白虎は寄り添い合い、ノアを見守る。

 ノアが両手をゆっくり上に上げると、本の中から禍々しい紫色の煙が立ちのぼった。


「あれが……呪い?」

「ガウガウッ!! グルルル……!!」

「白虎!?」


 白虎が紫色の煙に向かって吠え出した。そして、白虎の体が白く光輝きはじめた——。


「これは……守護の力?」


 禍々しい紫色の煙が掻き消える。


「……消えた」


 白虎の光はだんだん薄くなり、いつもの白虎に戻っていった。


「ガウ!」

「なんか元気そう……?」


 エレナが白虎を撫でる。

(いつもよりツヤツヤなような……?)


「白虎はもともと守護を司る魔獣なんだ。この山小屋を守ったって事かな?」


 ノアが頭を傾げる。


「白虎についても調べてみよう。ただの大きな猫じゃなさそうだ」

「そりゃあ伝説の魔獣だからね……」


 エレナが苦笑する。


「白虎、守ってくれてありがとう」

 

「ガウっ!」


 ノアの一言に、白虎は誇らしそうに吠えたのであった。

読んでいただき、ありがとうございます。


★おもしろい!→5

★ふつう→3

★まぁまぁ→1


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