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魔力無制限の大魔法使いは、静かに読書したいだけ  作者: 紙絵。
第二章 大魔法使いと呪いの本

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大魔法使いは根に持つ

「ふわぁ……寝てた……」

「おはようノア」

 

(……あれ?)

 膝枕されていたことに気が付いたノア。のっそりと起き上がり、エレナをじっと見ている。


「どうしたの?」

「柔らかくて寝やすかった……またやって」

「あ、ええっ!」


 あたふたするエレナ。何事もなかったかのように伸びをするノア。

 

「白虎のフワフワもいいんだよなぁ……」

「……私、枕じゃないんだけど!」


 頬を膨らませるエレナ。そんな姿を横目で見ながら、ノアは立ち上がった。


「じゃあ、僕、図書館行ってくる」

「いやいやいや……今ルーカス殿下が、例の本の在処を調べてるから」

「そうなんだ。やることないし、いいよね?」

「えぇぇえ!?」


 ノアはさっさと歩き出す。仕方なくエレナも付いていくことにした。と、前方から急足で歩いてくる黒いローブの男性……


「あ! あれ、大臣だよ」

「え! 刺客送ってきた人!? 隠れなきゃ!」


 二人は急いで柱の陰に隠れた。大臣は二人に気付いていないようだ。

 そのまま柱の近くまで向かってくる大臣。

 冷や冷やしながら潜んでいると、ちょうど手前の部屋に入っていった。


「なんであの人が大臣だって分かったの?」

「王城でローブ姿なのは多分大臣。あと、僕たちがこの城についた時、めっちゃ見てたから……」

「そんな見てる人いた?」


 エレナは思い出そうと頭をひねる。

 

「ワーナー殿下が出迎えてくれたとき、窓から視線感じて……僕、人から見られてると落ち着かないから」

「それで、見てる怪しい奴=刺客送った大臣ってことね!」

「そんなとこ」

「あの部屋に呪いの本あるのかな……」

「エレナ、行っちゃダメだよ? また間違って、あの本開いたら、金魚になっちゃうんだから!」

「うっ……」


 不注意で本を開いた前科があるエレナは、何も言い返せずに項垂れた。


「そっと忍び込んでくるよ」

「また見えない魔法?」


 言い合っているうちに、ドアが開く。二人は慌てて口を閉じた。本を小脇に抱えているようだ。そして大臣は来た道を足早に戻る。


「あの本……」

「呪いの本じゃないわよね?」

「大臣もいなくなったし、本物探しに行こう」


 二人は部屋へ忍び込む。鍵は……かかっていても、ノアには意味のないことである。


 足を踏み入れる——


「ああっ!!」


 どこからか驚いた声……


「金魚だ……」


 エレナが絶句する。

 

「あの時の刺客だね。ちゃんと飼われてたんだ……」


 ノアは冷ややかに一瞥する。エレナを殺そうとしたことを、だいぶ根に持っているようだ。


「な、なんであんた達がこの部屋に……!?」

「呪いの本どこ?」


 有無を言わさない迫力に、金魚のランは唾を飲み込んだ。


「それは……さっき大臣が持って行って——」

「あれは別の本だったわ!」


 エレナが声を上げる。


「私、一回開いてるんだから! 間違えるはずないわ!」


 偉そうに胸を張っている。

 ……自慢できるようなことではない。


「えっと……」

「言わないの?」


 今にも水を抜きそうな冷たい目に、金魚は慌てて叫ぶ。


「言うわ! 言うから、私を元に戻してよ!?」

「やだ。大臣に頼みなよ」

「そ、そんな……」

「返答次第で、元に戻るための材料はあげてもいいよ?」


 青く光る鉱石のことだろう。

 確かにノアは準備の時に、せっせと詰めていた。とエレナは思い返す。


「くっ……! わかったわよ。この水槽の下、棚の開きに入ってるわ」


 本棚ばかり見ていたエレナは、水槽を載せてある棚を見る。確かに開き扉の収納がついている。


「でも、その扉は強力な鍵の魔法が施されてるわ! 国家の精鋭の魔法使いたちが何人も、何日もかけて……」

「本物だね」


 ノアが呪いの本を持って、呟いた。

 

「え!?」


 ランは目を丸くする。

 彼女が話している間に、強固な鍵はノアによって簡単に破られていたようだ。


「ありがとう、場所教えてくれて!」


 エレナが手を振る。ノアは金魚に見向きもせず、二人は部屋を出て行った。

 

「……!」


 ランは驚きのあまり動きを止める。

 

(あんなに何重にも封印の魔法をかけていたのに……なんで開けているの!? 一瞬のうちに破られたってこと……!?)

 

 ノアの規格外さに口をパクパクして、本物の金魚のように声も出せないランであった。

読んでいただき、ありがとうございます。


★おもしろい!→5

★ふつう→3

★まぁまぁ→1


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