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魔力無制限の大魔法使いは、静かに読書したいだけ  作者: 紙絵。
第二章 大魔法使いと呪いの本

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サリア王国の図書館

 王家管理の図書館は、城のすぐそばにあり、連絡通路で城と繋がっていた。城で働く者たちが、多く利用している。サリア王国でも有数の大きな図書館だ。

 

 ノアはそこで、朝からずっと入り浸っている。まるで銅像のように動かない。

 昨夜の魔獣退治はすでに城中の噂になっている。他国から来た大魔法使いを一目見ようと、図書館はいつも以上に賑わっていた。しかし、ノアは本に没頭しており、皆の視線に気づかない。


「あの方が、魔獣を倒した大魔法使い様か……」

「思ったより若いな!」

「騎士団でも歯が立たなかったのに、本当にあの少年が倒したのか?」


 そんな声があちこちから聞こえてくる。

 もうすぐ昼になるころ、エレナはノアを呼びにきた。しかし、

 まるで動物園のような状態に足を止めた。ノアの周囲を、人々が遠巻きに取り囲んでいる。


「これは……」

「なんと。ノア殿は注目されることが苦手だというのに……本に集中しているのか、流石だ!」


 一緒に来たルーカスが腕を組みながら、感心している。


「殿下、感心してないで人払いした方がいいのではないでしょうか?」

 

 ルーカスの従者がもっともなことを伝える。エレナも隣で頷いている。


「そうか。……オホン」

「ノア殿!!」


 ルーカスの咳払いをかき消す声。振り向くと、ワーナー殿下が図書館へ走ってきた。


「ワーナー殿下!」

「やば、仕事に戻らないと……!」


 人混みは、ワーナー王子を見つけて道を開けている。


「ノア殿! 一緒にランチをどうですかな? さぁさぁコチラへ!」


 ワーナーはノアに詰め寄り、耳元で話している。流石にノアも気が付いたようで、ワーナーを見ている。


「そういえば……お腹すいたかも」

「そうでしょう! 城の中庭でいかがですか? あ! ルーカス殿とお連れの方! 皆様もぜひご一緒に!」


 ルーカスは悔しそうな顔をしている。従者は苦笑して、そんなルーカスを宥めている。

(これはワーナー殿下も、ノアのファンになったということかしら……)

 エレナは、やれやれとノアを見つめた。当の本人は、本を持ったままワーナー殿下の後を付いて行っていた。


 ◇


 ランチ終了後、ノアは再び図書館へ行こうとするのを、エレナに止められた。エレナはノアのローブを掴み、引き寄せる。

 人に聞かれないように声を落とすエレナ。


「ねぇ、ノア。何しにきたか覚えてる?」


 凄むエレナは迫力がある。

 

「……王家管理の図書館に行くため」


 当然のように答えるノア。エレナは頬を膨らます。

 

「違う! 呪いの本を持ち帰るためでしょ! 金魚の呪いが書かれている禁書、図書館にはないの?」


 思い出したノア。そういえばそうだったと、頭を掻く。

 

「……閲覧制限されてる所にもなかったな。だとしたら、あの刺客が言ってた大臣のところかな?」

「それは、私たちだけじゃ不審に思われるわね。ここは、殿下に一肌脱いでもらいましょう」

「ルーカスに?」


 エレナはニコッと人の良い微笑みを浮かべる。

 こうして二人はルーカスを巻きん込んで、大臣のもとへ向かうことを決めたのであった。

読んでいただき、ありがとうございます。


★おもしろい!→5

★ふつう→3

★まぁまぁ→1


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