↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力無制限の大魔法使いは、静かに読書したいだけ  作者: 紙絵。
第二章 大魔法使いと呪いの本

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/33

魔獣あらわる

 砂漠の魔獣——ノアは読んだことのある本の情報を思い出していた。

 

(砂漠の魔獣といえば、獅子とかフェリックスとか? ワーナー殿下は、姿は黒いモヤでしっかり見えないって言ってたけど……)

 椅子に寄りかかり、ウンウン唸っているノアをじっと見るエレナ。


「ノア、何考えてるの?」

「もし、砂漠の魔獣が白虎みたいな猛獣だったら、家にモフモフが二匹いるのはどうなんだろうって」

「持ち帰る気だったの!?」

「気に入ったらね」

(……山小屋、増築した方がいいのかもしれないわ)


「ノア殿、そろそろ向かうとのことだ」


 ルーカスがノアの部屋へ顔を出す。


「じゃ、行ってくるね」

「持ち帰ってこないでね!」


 エレナに釘を刺され、ノアはルーカスと共に城壁へと向かう。ワーナーと騎士団も、既に城壁の上から魔獣を探している。ちなみに、今回ルーカスは見学だ。

 城壁の上から街を見下ろすと、温かい街明かりが輝いていて、とても綺麗だ。

(図書館はどこだろう……?)

 キョロキョロするノアをよそに、下にいる門番が声をあげた。


「で、出ました……! あの黒い靄です!」


 門は閉じられ、門番は小窓から覗いている。その表情は、目を見開き、冷や汗が流れている。よっぽど恐ろしいのであろう。

 黒い靄が蠢いている。


「あれが……!」

「出たな魔獣め!」


 ワーナーと騎士たちは、城壁の階段を颯爽と駆け降りる。一方、ノアは城壁の上から魔獣を見つめていた。


「行くぞ!」「おぉ〜!!」


 剣を振り回す騎士たち。しかし、魔獣は実体を掴むことができず、剣は当たらない。


「砂……邪魔だな……」


 ノアは呟くと同時に、何の躊躇もなく、数十メートルある城壁から飛び降りた。


「ノア殿!!」


 ルーカスが驚愕の表情でノアを凝視する。無事に着地したノアを見て、興奮の表情へと変わる。


「さすがだ……!」


 急に上から飛んできたノアに、ワーナーと騎士団は一瞬ひるむ。


「第魔法使い様! あんな所から飛び降りるとは……! お怪我は!?」

「うん。大丈夫。それより魔獣さぁ、本体は砂の下にいるよ」


 何ともないノアの様子に、ざわつくワーナーと騎士たち。


 ノアは短く呪文を詠唱すると、手を上から下へ振り下ろす。

 次の瞬間——

 

 バリバリバリ!

 

 何本もの雷が空から落ち、黒い靄を貫いて砂の中へと突き刺さった。


「ギィヤアァアアァア!!!」


 魔獣の叫び声に身を震わせる一同。砂が激しく波打ち、黒い靄が消える。


「深いね……やっぱり砂どけようか」

「砂をどける?」

 

 ワーナーが首を傾げる。

 ノアは地面を軽く蹴り、空へと舞い上がった。砂が盛り上がっている真上で止まると、下に向けて掌を開く。

 途端に強い風が吹き出す。そして、それは徐々に渦を巻き始め……砂が空へ舞い上がっていく。


「これは……竜巻か!?」


 ルーカスは、大興奮で砂を巻き上げる渦を見ている。


「竜巻を魔法で作り出す……そんなことできるのか!?」

「下!! 魔獣だ!!」


 ワーナーと騎士たちは騒ぎながらも、剣を構え直す。砂が巻き上がり、隠れていた魔獣の本体が見えてきた。


 その色は黒。月明かりに照らされ、黒光りしている。太く、危険な尻尾には毒がある。

 それは大きなサソリであった。

 

 ノアは軽くため息をついた。

(サソリかぁ……)


ノアは右手で風を操りつつ、左手は下を向けたまま広げられている。指を向けると、竜巻は遠くまで砂を持っていき霧散した。砂漠の上に砂が落ちる。

 その間、魔獣は低い唸り声をあげながら、ピクリとも動かない……


「まさか、ノア殿、魔獣を拘束しているのでは!?」


 ルーカスがその事実に気づき、感動のため息を漏らした。


「い、行けええ!」

「おお!」


 しかし——

 サソリへ剣を突き刺そうとするが、硬いらしくダメージを与えられない。


「くっそぉ……」

「どうして傷一つ追わないのか……」


 悔しそうな表情のワーナーたちを見下ろすノア。右手を上げ、振り下ろした。

 一瞬の光、遅れて聞こえる大地を震わせる雷鳴の音——


 ドカーーン!!!


 雷がサソリの頭部を貫く。

 巨大が大きく揺れ、そのまま砂の上に倒れ込んだ。


「うわぁ!」


 ワーナーと騎士たちは、目の前の光景に呆然としている。

 それを見届け、ノアはゆっくりと地上へと降り立った。


「巨大な雷で魔獣を貫くとは……! しかも一撃で……白虎の雷よりも攻撃力が高い。何より抑え付けつつ、攻撃するというあんな強力な魔法を同時に……!」


 ルーカスが早口で何やら解説している。


「……終わった……のか?」

「魔獣が倒された!!」

「すごい!」


 歓喜に沸く中、ノアはまっすぐにワーナーへと向かった。


「ワーナー殿下」

「ノア殿! さすがです! なんとお礼を申したらいいか……」

「明日から王家管理の図書館に行きたいんだけど……街のどこにあるの?」

「…………」


 魔獣を倒したばかりなのに、ノアの頭には本のことしかない。

 ワーナーはきょとんと、大魔法使いを見つめるのであった。

読んでいただき、ありがとうございます。


★おもしろい!→5

★ふつう→3

★まぁまぁ→1


お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。