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魔力無制限の大魔法使いは、静かに読書したいだけ  作者: 紙絵。
第二章 大魔法使いと呪いの本

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大魔法使い、城へ到着する

 サリア王国の王城へ到着した一同。城塞のように重厚な城だ。


「ようこそ我がサリア王国へ。砂漠の旅、お疲れでしょう。こちらで少しお休みください」


 出迎えてくれたのは、第二王子、ワーナー殿下とその側近たちだった。筋骨隆々なその姿に、エレナは思わず一歩後ずさる。


「久しぶりだな、ワーナー殿」

「元気だったか? ルーカス殿!」


 王子二人は同年代ということもあり、知り合いらしい。ルーカスは人の良い笑みを浮かべて、ノアのそばに立つ。


「ワーナー殿、こちらが我が国最強の魔法使い、ノア殿だ」


 そしてどうだ! と言わんばかりに胸を張る。自分のことのように誇らしげな顔である。


「おお! あなたが! 噂はかねがね伺っております」

「はぁ……どうも……」


 ノアは曖昧に返事する。

 ワーナーは少し迷い、しかし気を決したように口を開いた。

 

「国賓であるあなたに、こんな事を頼むのも憚られるのですが……ぜひ、このサリア王国の魔獣も、退治してもらえませんか!?」

「え!?」


 ノアは目を見張った。そんな話聞いていない。

 

「魔獣?」

 

 エレナも思わず口にする。


「ワーナー殿、魔獣とは……?」

 

 ルーカスは少し嬉しそうだった。おそらく、ノアが魔獣を倒す活躍を見たいのだろう。


「もともと砂漠にいた魔獣なんだが、近頃なぜか城壁近くにいるのを目撃されるようになったんだ……」

「砂漠の魔獣か」


 ルーカスが難しい顔で頷く。

 一方、ノアはワーナーの後ろにある本棚を見ていた。

(あれは知ってる。その隣も知ってる……あれはサリア王国の歴史書? 後で借りてもいいかな)

 

「しかも、厄介なことに幻術を使う。騎士団も魔法使いたちも、惑わされてしまって攻撃が当たらないんだ」


 ワーナー殿下は項垂れている。本当に困っているようだ。

 しかし、当の本人であるノアは全く聞いていない。

 エレナはそんなノアを横目で睨んでいる。


「お願いだ、ノア殿! 妹の婚約披露パーティーの前に、厄介ごとは片付けてしまいたいのです! もちろん報酬はお渡しします」


 婚約披露パーティーは二日後。ワーナー殿下はその前に魔獣を倒したいのだ。


「……報酬」


 ノアが呟く。


「……あ!」


 何かを思いついたように、ニヤッと笑った。


「じゃあ、王家が管理している図書館。そこの本、全部見せてほしい」

「もちろん!!」


 ワーナーは即答した。

 それだけ、魔獣の件で困っていたのが伺える。

 

「その魔獣は夜現れます。明日にでも——」

「じゃあ今夜行こう」


 ノアの切り替えの速さに、ワーナーは目を丸くする。


「今夜ですか! お疲れでは……?」

「大丈夫。早く図書館行きたいし」

「それは、こちらとしては有り難い! ぜひ、お願いします!」


 ワーナー殿下は、ノアの手を力強く握ったのであった。

読んでいただき、ありがとうございます。


★おもしろい!→5

★ふつう→3

★まぁまぁ→1


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