大発見
ノアは王立図書館にいた。
ここは一般には立ち入り禁止の、禁書の取り扱いがあるのだ。
実はダンジョン攻略の報酬を「禁書の閲覧権限を得る」にしてもらったのだ。瞳をキラキラさせて、禁書を物色するノア。
「ふふふ……」
(ここにまだこんなに未知の本がある……!)
ノアは鼻歌混じりで一冊の本を開いた。
そこには、呪いの解き方の解説、魔法陣と青い鉱石について書かれていた。
(これは知ってるなぁ)
次の本は、
禁書の取り扱いについて……
封印について……
呪いについて……
ノアは読み進めていくうちに、あることに気が付いた。
禁書の呪いとは——
呪いを封印した本なのではないか。
ノアはページをめくる手を止めた。
(呪いって……昔、実際にあった魔法なの? 封印を解いたらこの呪いは世界に解放される?)
そして、自分が受けた呪いについて考える。
魔力無限の呪い。
あの時、ドラゴンが図書館を襲撃して、王国の魔法使いが禁書を運んでいた。
——それには理由があったのでは……?
思わぬ事実を知ったノア。
「んーー……」
この事実を王国に報告した方がいいとは思う。思うのだが……
(後でいいか)
と、再び読書を始めるノアである。
しかし——ここで重要な事実を思い出す。
「……あ」
金魚になる呪いの本。
それをノアは、以前サリア王国へ送ってしまったのだ。
「やばい……」
もし、誰かが怒りに任せて本を壊したりしたら、サリア王国の人々は皆、金魚になってしまうかもしれない。
その光景を想像する。
(……ちょっと見てみたい気もするなぁ)
ノアは少しだけ想像したあと、首を振った。
「ダメだ」
さすがに放っておくわけにはいかない。
「読書したいのに……」
そう呟きながら、図書館を後にする。
向かう先は王城。
ノアは、サリア王国に送ってしまった禁書について報告するため、ルーカスのもとへ向かうのだった。
◇
「ノア殿! いい所に参った!」
城を訪ねると、相変わらずのルーカス王子が小走りで近づいてきた。
「ルーカス……ちょっと報告があって……」
「ん? 報告?」
「実は……」
ノアは呪いの本の真実と、その呪いの本をサリア王国へ送ってしまったことを告白した。
「それは何と……! 世界レベルの大発見ではないか! さすがノア殿だ。急いで呪いの本の管理について話し合わねば……!」
「うん」
「して、タイミングよく、ノア殿にサリア王国から招待状が来たのだ!」
「招待状?」
「うむ。サリア王の娘の婚約披露パーティーがあるのだが。そのパーティーに、ノア殿を国賓として招待したいそうだ」
「うげ……なんで……?」
ノアの顔が露骨に嫌そうになる。
「そこで呪いの本を返してもらったら、一件落着。もちろん私も行くので、一緒に参ろうぞ!」
ルーカスは満面の笑みを浮かべた。
ノアと一緒に出かけられるのが余程嬉しいらしい。
後ろでは従者が、ノアの大発見の処理に大慌てである。
「招待状には、『パートナーと同伴で』とある。ノア殿のパートナーは私で……」
「じゃあ、エレナも連れて行くよ。白虎はさすがに無理かなぁ?」
さらりと言うノア。ルーカスの話は聞いていない。ルーカスはショックを受けたような顔をしている。
「殿下、ノア殿が殿下をパートナーにするわけないじゃないですか」
呆れた顔の従者がすかさずツッコミを入れる。
「なぜだ!」
「なぜも何もありません」
そんな二人をよそに、ノアはもうサリア王国で読めそうな本のことを考えていた。
サリア王国にも禁書はあるのだろうか。
あの日、なぜ王国はあの本を運んでいたのか。
世界最強の大魔法使いと、彼が手にした「禁書」の秘密。
こうして——
ノアはエレナを連れ、サリア王国へ向かうことになったのだった。
【第一章終了】
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