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魔力無制限の大魔法使いは、静かに読書したいだけ  作者: 紙絵。
第一章 大魔法使いと金魚

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大魔法使いの街探索

 ルーカス一行は、街での視察を終え城へ帰って行った。ノアともっと一緒にいたいと、最後まで粘っていたルーカスだったが……


「私との城での生活は断ったのに、まさかの山小屋で他人と同居しているなんて……信じられない!」


 王子とは思えぬ発言をしながら、騎士団の力によって無事に連れて行かれたのであった。


 ◇

 

「エレナさ、服買わないとじゃない?」

「あ、そう言えば……」


 エレナは没落した貴族の元お嬢様である。売られた先から命からがら逃げ出してきた彼女は、身につけていたもの以外、何も持っていなかった。

 ノアはそんなエレナに何も聞かず、あっさりと家に招き入れたのだ。そして、すぐに金魚になったのである。


「いらっしゃいませぇ〜」

「わぁ、かわいい〜!」

 

 服屋に入ったエレナは、ズラリと並ぶ洋服に囲まれて嬉しそうだ。ノアは手持ち無沙汰に店内をウロウロしていた。白虎は外で待機中である。


「ノア、この服とこっちの服……どっちがいいと思う?」

「両方」

「え! でもでも……」

「大丈夫だよ。エレナはどっちも似合うから」


 エレナの難しい質問に完璧な回答をするノア。エレナの扱いには慣れているのである。


「ん?」


 ノアは何かに気づき、店の奥へ視線を向けた。そこには古びた一つの木箱が置かれている。

(魔法の気配がする)

 

「あの木箱には何が入っているんですか?」

「え? あぁ。あれは祖父が持っていた古い本ですよ」

「本?」

「ええ。もうボロボロなので処分しようと思っていたんですが、忘れてました」


 ノアの目がキラリと輝く。

 

「ちょっと見てもいいですか!?」

「ああ、はい。どうぞ……」


 ノアが急に生き生きとし始めたので、店員も驚いている。本は何冊かあり、その中の一冊から魔法の気配を感じ、手に取った。


「これは……」

「気に入ったなら差し上げますよ?」

「ありがとうございます!」


 ノアは貰った本をキラキラした瞳で見つめている。(魔導書だぁ! しかも古代の! ボロボロだけど、魔法でちょこっと修正して……またエレナが勝手に開かないようにしなくちゃ……)

 

 こうして、二人は大満足のホクホク顔で店を出たのであった。


 ◇


 山小屋に帰った一同。

「ノア、このアクセサリーなんだけど……」

「うん?」

「これ、私の家にあったアクセサリーだと思うの」

 

 エレナが赤い鉱石のネックレスを見せる。それは確かに露店に並ぶにはあまりに精巧な作りで、あしらわれた鉱石も価値の高い物であるとわかる。


「この石、ガーネットよ。宝石の一種なの。どこかを巡り巡って露店に並んだんだと思うんだけど……何だか気になって、アクセサリーを売った人の住所も貰っといたわ」

「すごい行動力だね……」


 ノアは目を見張る。エレナは今にもその場所へ飛び出して行きそうな勢いだ。ノアはやれやれとため息をついた。


「エレナ、一人で行くのは駄目だよ?」

「……でも気になるし」

「いやいやいや、エレナ逃げて来たんでしょ? もし見つかっちゃったらどうするの?」

「……それは、そうだけど」

「僕も一緒について行くよ。エレナも顔が見えないようにローブ被って!」

「……! ありがとう、ノア!」

「うわっ!?」


 満面の笑みでノアにぎゅっと抱きつくエレナ。ノアは驚いた顔をしたが、ルーカスの時のように自動防御魔法で吹き飛ばすことはなかった。

 その傍らで、白虎が伏せたままチラッと二人を見たのだった。

読んでいただき、ありがとうございます。


★おもしろい!→5

★ふつう→3

★まぁまぁ→1


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