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魔力無制限の大魔法使いは、静かに読書したいだけ  作者: 紙絵。
第一章 大魔法使いと金魚

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エレナ初めてのおつかい

 街へ着いたエレナと白虎。


「まずは……卵が無くなっちゃったから、卵のお店を探そう!」

「ガウ!」


 意気揚々と歩き出す二人。街は活気があって賑やかだ。エレナと白虎は、初めて見るお店に目を輝かせている。

 街の人は白虎を見て目を丸くしている。しかし、エレナの横をしっかり付いていく姿、キョロキョロして楽しそうな白虎に「あれは白い虎なのか? それとも大きな猫なのか?」判断がつかないのか、不思議そうに通り過ぎて行く。

 無事、卵を買った二人。ノアがおまけを貰ったパン屋へと向かう途中——。


「そこのお嬢さん! こんなアクセサリーどうだい? 似合いそうじゃないか」


 呼び込みに足を止めた。

 露店のお兄さんは、鉱石や宝石らしきアクセサリーを手に持ち、太陽の光でキラキラと反射させている。年頃の娘たちが立ち止まって、商品をうっとりと見つめている。

(これは……)

 

 何やら難しい顔をして商品をガン見するエレナ。白虎は休憩とばかりにそばに座り、あくびをして毛繕いをしている。

 「あの大きな猫さん、かわいい!」「触ったら怒られるかな……」「わぁ! あくびしたよ」小さい子どもたちは、そんな白虎に釘付けである。


「お兄さん、このアクセサリーはどこで手に入れたのですか?」


 エレナは眉間にしわを寄せたまま訊ねる。


「えっと、知り合いから買ったんだよ。どうしてだい?」

「私、このアクセサリーと同じデザインを知っているんですけど……」


 チラッと露店のお兄さんを見るが、ポカンとしている。

(なるほど。露店の人は何も知らないのね)

 

「私、アクセサリーに興味があるんです。そのお知り合いの住所とかって、教えていただけませんか?」

「それは……でもなぁ」


 渋るお兄さんに、エレナはもう一声。


「コレ、いただきたいわ」

「お、毎度あり! 住所ね、ちょっと待ってな!」


 手元にあった赤い鉱石のネックレスを購入する。

 露店のお兄さんから住所が書かれた紙をもらい、エレナはその場を後にした。

 パン屋の行列に並んでいると、何やら人だかりが近づいてきた。


「なんだろう?」

「ガウガ!」


 白虎が急に走り出した。

 

「あ! 白虎!?」


 白虎に驚いて、人々が道を譲る。現れたのは馬に乗ったルーカス王子と騎士団であった。ルーカス王子を一目見ようと、人だかりができているのだ。


「おお!? 白虎じゃないか! ってことは……」


 ルーカスはキョロキョロと辺りを見回している。誰かを探しているようだ。

(あれはルーカス殿下!!)


「申し訳ありません。家のペットが……」


 エレナは足早に近づき跪く。


「そなたのペット? しかしこれは白虎であろう?」


 ルーカスが不思議そうに首を傾げる。


「はい。同居人がダンジョンから拾ってきまして……」

「同居人? それはノア殿か……?」

「はい」


 ルーカスは雷に打たれたような顔をして固まっている。騎士団たちはワイワイと話し出した。


「ノア様に同居人がいたとは!」

「彼女ですか?」

「いやぁ、隅におけないですねー」

「お嬢さん、お名前は?」


 隊長が皆を宥めて、問いかける。エレナは白虎を撫でながら答えた。


「エレナです」

「……えれな、エレナ!?」


 急にルーカスが話した、と思いきや、また固まっている。騎士団たちも、白虎も、固まっているルーカスを不思議そうに見ている。


「……もしや、君は、あの金魚だった……?」

「ええ、そうです。やっと呪いを解いてもらえたのです!」

「ノア殿が大事にしていた、あの! 通りで、いや……というか金魚が人に!?」


 ルーカスがブツブツ独り言を呟いて混乱している。人もたくさん集まってきてしまい、騎士団たちは警備を始めた。


「みなさん、下がってください」「殿下は視察に来られただけで、もう帰りますので……」


 そんな中、一人呟くルーカスを放っておいてもいいのだろうかと、エレナが考えていると、一際強い風が吹いた。


「いた。エレナ、白虎、勝手に出かけないでよ。探したじゃん」

「ノア!」

「ガウー!」


 そこにはローブを着た少年が、いつの間にか立っていた。


「ノア殿!!」


 歓喜の声をあげ、ルーカスが馬から素早く降りると、ノアの元へ走る。と、突風でルーカスが道に投げ出された。


「で、殿下!」

「またか……」


 従者がやれやれ顔で心配している。


「ルーカス、僕に抱きつくのはやめて」


 ノアが本当に嫌そうにルーカスを見た。


「すまぬ、咄嗟の衝動を抑えられなかった……」


 ルーカスは何だか怖い言い訳をしている。しかし、ノアを見て我に返ったようだ。


「私、出かけるって何回もノアに言ったけど、鉱石に夢中で聞こえてないみたいだったから……」

「ガウガウ」

「言ったの? 全然知らない。とりあえずパン屋行こう」


 さっさと歩き出すノア。パン屋は先程まですごい行列だったのだが、ルーカスが来たことで行列がなくなっていた。

 店に入ると焼きたてのパンのいい香りがする。エレナは思い切り空気を吸い込んだ。

 

「幸せ……」

「どれにしようかなぁ……」


 各々好きなパンを選んでいく。トレイはもちろん山盛りである。

読んでいただき、ありがとうございます。

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