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魔力無制限の大魔法使いは、静かに読書したいだけ  作者: 紙絵。
第一章 大魔法使いと金魚

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大魔法使いは呪いを解く

「な、な、なに!? その白い虎は!」


 白虎と共に帰宅したノアを見て、エレナは目を丸くした。

 

「ダンジョンにいて、白虎が一緒に行きたいっていうから……」

「クゥゥン」


 猫のように甘える白虎。だいぶノアに懐いている。

 エレナはそれを見て、少し頬を膨らませた。


「ダンジョンで何拾ってきてるのよ。白虎って……伝説の魔物じゃないっけ?」


 目の前にいる白虎と、記憶にある伝説がイコールにならないエレナ。

 

(こんな、ただの大きな猫が白虎?)

「それはそうと、呪いを解く材料はあったの?」

「うん。ほら、こんなに!」


 ノアが袋を掲げ、中から青く光る鉱石を出してみせた。それは照明の光を反射して、とても綺麗に光っている。


「わあぁ」


 エレナは感嘆した。


「じゃあ、早速呪いを解こうか!」

「……! うん!」


 白虎は、大人しく入り口で伏せている。

 

 ノアが青い鉱石を一瞬で粉にして水槽へ入れる。いつの間にか、魔法で鉱石を粉にしたらしい。

 ノアが目を閉じて集中すると、水槽の周りに魔法陣が現れた。呪文を詠唱すると、魔法陣が光り輝き始めた。

 エレナも目を閉じ、動きを止める。

『汝、元の姿へ戻りたまえ』

 エレナの光が光り始める。


「クゥゥン……」

 光に溢れた部屋に、白虎が眩しくて両手に顔を埋めている。ただのかわいい猫である。


「……よかった。成功だね!」

 

 ノアが大きく息を吐く。

 光が消え始めると、シルエットが見えてきた。水槽の上に人影が……


「も、戻った……!」

 

 服を水浸しにした少女が、水槽に足を突っ込んで立っている。が、足を滑らせ体勢を崩した。


「わあぁ!」

(落ちるっっ!! ……あれ? 痛くない)


 目を開けると、ノアがエレナを抱き止めていた。


「本当に、エレナは危なっかしいんだから」

「ノア……! ありがとう……ちょっと、どこ触ってるのよ!」


 サッと立ち上がり、頬を膨らませたエレナ。金魚の時と同じ顔をしているが、元に戻ったエレナは人間の少女である。年齢はノアと同じくらい、金髪で長い髪……大きな瞳がノアを見る。


「……エレナ、着替えてきたら?」


 ノアがもっともな事を言う。エレナは自分の姿を見て、ハッとするとダッシュでリビングを後にした。

 不思議そうにこちらも見ている白虎。ノアが白虎を撫でながら説明する。


「エレナはね、幼なじみなんだ。魔導書の呪いで金魚になっちゃったんだけど、今人に戻ったんだよ」

「グルル……」

 

 白虎は納得したようである。伝説の魔物は理解力も高いようだ。


「ノア……私、着替えも何もないんだった」


 悲しそうにドアの隙間からこちらを覗くエレナ。


「じゃあ、とりあえず乾かそうか」


 ノアはエレナに手をかざす。温かな光がエレナの周りを包むと、一瞬で服も髪の毛も乾いた。


「わぁ……」

「よかった……」


 ノアはそう言うと、白虎に寄りかかり目を閉じてしまった。


「ノア!」


 驚いたエレナはノアに駆け寄る。


「スー……スー……」

「……寝てる」

 

 寝息を立てているようだ。エレナはほっとする。白虎は背にノアを乗せ、ベッドへと運んだ。


「ありがとう、白虎」


 ノアに布団を掛けながら、じっと見つめるエレナ。


「ありがとう、ノア」

 

 そう言うと、オデコにキスをした。ノアは何も知らずに、気持ちよさそうに眠るのであった。

読んでいただき、ありがとうございます。


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★ふつう→3

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