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アホ本官とおつかい(前編)

「———おいアホ本官、ちょっとコーヒー買ってきてくれ」


本官が工作兵から貰った菓子を食べていると隊長が不意にこう言ったであります!


「コーヒー、でありますか!いつもの銘柄でいいでありますか!」


「そうだな、これで買ってこい 釣りはお前にやる 好きなもんでも買ってこい」


本官に隊長から直々の命令であります!

これは何が何でも成功させなければならないであります!


「分かりましたであります!遅れたら有給として使って欲しいであります!2日経って戻ってこなかったら遺言状の開封をお願いするであります!」


遺言書は本当に恥ずかしいでありますので絶対に帰還しなければであります!





「———御免ね、本官ちゃん。そのコーヒーは今品切れなんだよ」


「そうでありますか‥‥‥」


隊長御用達の雑貨店の店主が言うならそうでありますね‥‥‥


「ここの近くで本官ちゃんたちが命賭けて戦ってるのは知ってるんだけど、やっぱり前線の前だからね 生活必需品以外は輸送が難しいんだよ」


また敵国が宣戦布告してきて今も膠着状態が続いてるでありますからね‥‥‥はっ!閃いたであります!


「店主!このコーヒーは何処で作られてるでありますか!」


「えっ、このコーヒーならここから南に進んだデュルンケ‥‥‥」


「ありがとうであります!では少し行ってくるであります!」


「ちょっと待って!その土地の名と似た‥‥‥」


位置がわかれば大したことはないであります!本官は足には自信があるであります!

最後に何か店主が言っていた気がするでありますが…些細な問題であると思うであります!





太陽が登り切る前に着いたであります!


「ここがデュルンケの町でありますか!かなり暑いであります!」


デュルンケの町は我が国でも南端に位置する町でかなり暑い所であります!でもここは戦線とかなり離れているでありますから平和で良い所であります!

そう思って本官はコーヒーを買える店を探しているでありますと‥‥‥


「そこの兵隊さーん!引ったくり捕まえてー!」


なんと!引ったくりでありますか!


「分かったであります!」


「邪魔だ!」


引ったくりは本官に向かって蹴りを放つでありますが、

前線で戦っている隊長の部下の本官には‥‥‥


「効かないであります!」


「ぐはぁっ!」


あまり人体から聞き馴染みのない音がしたでありますが、まあ大丈夫であります!

第三部隊で一番弱い本官の力でありますからね!


「ありがとう兵隊さん。お名前は?」


「皆からは本官と呼ばれているであります!」


「ありがとう本官さん。少しお茶していかない?私の奢りでさ」


市民の方に誘われたのはいいでありますが‥‥‥本官には命令が‥‥‥


「お誘いありがとうであります!

ですが本官はコーヒーを‥‥‥」


「———なんのコーヒー?」


「えっ、デュルンケ産のコーヒーと…」


「どれくらい?」


「これで買ってこい、と…」


どうしたでありますか?急に市民の方の雰囲気が‥‥‥


「ちょっとついてきて頂戴」


「はあ…?わかったであります…?」


何なんでありましょう…?





そう言われて本官は町の外れにある山に連れて来られたであります。

少し日が落ちてきたであります‥‥‥本当にどうしたんでありますか?さっきから一言も喋らないでありますし———


「ねえ、本官さん」


「なんでありますか?」


「この場所であの言葉を言ったってことは、あの暗号を解いたってことでしょう?」


「え?ですから本官はコーヒーを買いに‥‥‥」

「とぼけないで!第一ここでコーヒーの栽培なんかしてない!何故ならここは私達『デュルンケ・ファミリー』が牛耳ってるんだから!」


「———えっ」


‥‥‥えーっ!そうだったんでありますか!

そういえば投函物に『盗賊団が町を占拠』という新聞があった気がするであります‥‥‥


「でももう遅いわよ。貴方一人でここに来たのが運の尽きだったわね」


そう言うと周りからぞろぞろと武器を持った人たちが出てきたであります。 30人ぐらいでありましょうか?


「この人数じゃいくら兵隊でも敵わないでしょ!絶対に生かして返さないわよ!」


そういうと盗賊団たちが一斉に本官に飛びついてきたであります。





「あっ」


「どうしたの隊長?」


「いや、あのアホにコーヒーの産地伝えて無かったな―って」


「ちなみに何処なの?」


「デュルンゲルンだよ。よく似た地名のデュンケは物騒な場所だからな」


「案外心配性なんだね、隊長って」


「うるせー小隊長」


「あはは」

どうなるアホ本官、次回「アホ本官とおつかい(後編)」

(↑の位置ミスってた)

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