第三部隊長と第一部隊長
バタン!
「隊長!第一部隊長が来たであります!」
「来てやったぞ、第三部隊長 さあ我輩に新兵器を見せたまえ」
もうそんな季節か。
こいつは第一部隊長。 俺の同期だ。 第二部隊が奇襲・遊撃・輸送なら、第一部隊は正面からやり合うゴリゴリのエリート集団だ。
爪弾き者の掃き溜めの第三部隊とは比べ物にならない。
だがそんなエリート集団のボスも爪弾き者の無駄に技術力の高い機械いじりバカがいる為、この掃き溜めから使えるゴミを持っていく。 要はゴミ回収業者だ。
「ちょっと待ってる、今倉庫の鍵を小隊長に持ってこさせる」
第一部隊長の前で俺は館内放送で小隊長を呼びつける。
自分のゴミぐらい自分で紹介したいだろうしな。
◇
「———まずはこれだね。国支給の銃を改造した高威力連射機関銃だよ」
これは国支給のよわよわの機関銃を『この性能の低さは銃に対する冒涜だ!』といって、小隊長が研究室でセルフ缶詰して改造してたやつだ。
「ほう、威力はどのくらいなのかね?」
「うーん、三十秒あったら戦車ぐらいは鉄くずにできるかなー」
「それは中々だな」
「でも威力重視で改造しちゃったから排熱処理が追いつかなくて射撃手が発火しちゃうんんだよね」
「それは‥‥‥なんというか‥‥‥」
そう、この改造機関銃はあまりの高威力で従来の排熱処理で追いつかず射撃手が燃え上がってしまうのだ。
こいつもたかが戦車一台鉄くずにするのに手塩にかけて育てた兵士を失う訳にもいかないだろう。 兵士は皆死ぬ覚悟でやっているが、命を捨てに行くのとは別問題なのだ。
ちなみに耐久テストを受けたアホは激しく燃え上がっていた。 俺は医療班長にコーヒー瓶を割られた。
「次は携帯食料だね 携帯食料は嵩張るからね 超小型・高栄養化してみた 第一部隊長も食べてみてよ あっ、ちゃんと毒物実験はクリアしてるよ」
「そ、そうか‥‥‥ではひとつもらおう」
第一部隊長は小隊長から受け取った携帯食料を恐る恐る口に入れる。 まあ毒好き集団の工作兵がたむろしてる第三部隊の食品だからな。
アホが食べても毒の類は感じなかったらしいから大丈夫だろ、多分。知らんけど。
「まっっっっっず!何だこの味は!木の皮を煮込んでそこに蜂蜜をドバドバかけたような味だ!こんな物食えたもんじゃない!」
第一部隊長は口の中の異物を吐き出す。
「でもその大きさで一日分の栄養を摂るにはその味にするしか無いんだよ」
「こんな不味いんだ、雪山で遭難したときの気付け薬ぐらいにはなるだろ」
「いや、しかしだな‥‥‥ううん‥‥‥そうか‥‥‥?」
よしいいぞ、とりあえずこのまま丸め込んで一部隊1年分の携帯食料を持っていって貰おう。
「取り敢えず木箱一個持っていけよ」
「そ‥‥‥そうだな‥‥‥尋問ぐらいには使えるか‥‥‥?」
よし!もうあの携帯食料を見なくて済みそうだ!
俺は短しくなって毎日死んだ目をして携帯食料を食べている歩兵たちに知らせに行った。
◇
「———で、最後にこの一人乗り高機動戦車だね」
「成程‥‥‥」
歩兵たちに英雄扱いされて上機嫌な俺が戻って来ると、あのいつぞやの走る桶が置いてあった。
「それはやめといた方が良いぞ。何しろこれ一台で戦況がひっくり返るぐらいの大爆発が起こるからな」
「あの大爆発がこれなのか?敵国の被害も凄まじかったが我が軍も無傷で済まなかったあの大爆発か?」
「いっ、いやあの大爆発はこの兵器が手違いで向こうの兵士に盗まれたやつだよな?なぁ小隊長?」
「そっそうだね。鍵がたまたま挿しっぱなしで‥‥‥」
「それはそれで問題がある気がするが———」
バタン!
「隊長!戦線で膠着状態が続いてるそうであります!またあの高機動戦車で突っ込んで自爆するでありますか!」
「「あっ‥‥‥」」
何やってんだアホ本官!
第一部隊長は滅多なことでは怒らないが部下を傷つけられるのがこいつの地雷に触れるんだ!
「‥‥‥ほう?第三部隊長、お前に話がある なに、たったの三時間で切り上げてやる そこの逃げようとしてる小隊長と一緒に貴賓室に来い」
その後、1ヶ月間俺と小隊長の飯が携帯食料になった。




