第三部隊長と精神交換(後編)
前回のあらすじ
小隊長の発明の発表を聞いていた第三部隊長ら。
小隊長の話が妙に長く小難しかったので碌に聞いていなかった第三部隊長はカッコいいデザインをしていた精神粒子交換装置に触れてしまい、全員の身体が入れ替わってしまう。
さてここからどうなる?
(あらすじ終わり)
「隊長やっちゃったねー しかもパッキン壊れてるね これ直すの時間かかるよ?」
「うっ、うるせー お前があんなデザインにするのが悪いんだ」
そう班長と小隊長が言う。
「どうしますでありますか、隊長!」
「そうだな、とりあえず———」
俺は俺を見た後、あらぬ方向を見つめて放心状態になっているアホ本官を見た。
「———こいつを自室に放り込んどくか‥‥‥」
俺は俺と班長に命じて班長を医療室のベッドに放り込まさせた。 何故か俺の持ってるマスターキーで班長の部屋が開かなかったからだ。 なんとも言えない寒気が扉の向こうからしたというのもあるが。
「まあでもよかったよ、あんまり誰も居ないときに起こって ちょうど停戦中で殆ど誰もここに来ないしな」
この有様を誰かに知られることも無いからな。
元に戻るまでの辛抱か。
「えっ?今日は長官が訪問してくる日でありますよ?」
俺はあまりの衝撃にこの時まともな顔をできていたか分からない。
◇
長官が訪問するまでの僅かな時間で三人で作戦会議を始めた。
その前にいつものコーヒーを飲もうと給湯室に行ったのだが‥‥‥その時、俺のポケットに小さな包みが入ったらしかった。
「とりあえず僕は装置の修復作業しておくね? 外見も中身も特に長官と会わなくていいわけだし」
そう言って早々にに退出してしまった。
「あいつ班長の身体なのに大分落ち着いてんな」
「適応力が高いでありますね」
多分そういう問題じゃ無いと思う。 あいつは同族よりも発明とか研究にしか興味ないからな。
「いいか?お前は俺なんだ、一応俺もフォローするが口調とかボロ出すんじゃねえぞ」
俺の身体で「分かったであります!」って言うとか考えただけで身震いするからな。
「分かったであります!‥‥‥あっ」
「‥‥‥」
な?
◇
「ようこそ第三部隊へ 俺‥‥‥じゃなくて僕が案内するねえ」
「宜しく頼むぞ」
俺はやってきた長官を迎える。 本当はアホ本官の仕事何だけどな。 喋り方こんな感じで合ってたか?
「君は確かここで発明をやってるとかだったな 第一部隊長から聞いたぞ」
「あっ、そうですね」
そういえば第一部隊長と長官は遠縁だったな。 コネ感があるが多分あいつは実力だな。 昔から多才だったからな。
「最近はどんなモノを作っているんだ? そういえば君がこの前開発した———」
「まあその話は後で!貴賓室着きましたから!」
長官の話を遮って無理矢理話を逸らした。 俺にあいつの頓珍漢な発明品なんて説明できないし。 まあちょうど良く誤魔化せたしいいか。
◇
「本日はようこそおいで下さりました 早速お掛けになって下さい」
ビシッと敬礼までかました俺はとてもスムーズに長官を座らせた。 なんでこんなきまってるのかあとで聞いた所、「昔演劇を手伝っていたであります!」とか。 じゃあさっきもちゃんとやっとけよ。
「停戦の話聞きましたよ うちの部隊の者も久しぶりの休日に喜んでましたよ」
「それは良かった 兵士の士気は国の存亡だからな」
受け答え上手いな俺。
さて、と長官は本題に入った。
「今日来たのは提案があってな 本当は書面でもよかったのだが現場の生の声が聞きたくてな」
そう言って長官は『新規機械兵士の試験運用について』という紙を出してきた。 何だこれ?初耳だぞ?
「これは?」
「新しい戦争の在り方を模索していてな、ここで試験運用するかもしれないのでもっておいてくれ」
読んでいるのを横から見ていると、どうやら機械でできた兵士を戦争の道具の一つとして使うようだった。
やっぱり予算が毎年上がってるのか?そのお陰で小隊長がゲテモノばっかり作って困ってるんだが。
「そういえば前来た時に私に恐ろしいものを食わせたのは何処にいるんだ?この席に座ってたった今思い出してな」
‥‥‥これはまずい。 あの時は最終的にアホ本官の功績に免じて恩赦って感じになったがよくよく考えてみれば普通に上官殺害未遂だもんな。個人的に恨んでもおかしく無いぞ。
「名前はたしか‥‥‥そう、アホ本官」
「はいであります!」
俺が元気よく立ち上がった。 それはもう美しく。
「‥‥‥どうしたのかね第三部隊長君」
「あっえっと隊長はこれから呼んできますという意味で」
「そういえばこの提案を戦術部の私にしてきたのは小隊長君、君だったな その時も直接話したのだが、そんな話し方では無かったな」
小隊長俺に内密でそんなことしてたのか!?
「まさか敵国のスパイ———」
長官が懐に潜ませていた銃に手を掛けた瞬間俺はポケットにあった何かを取り出して長官に肉薄した。
「長官、御免!」
「ぐっ!?これ‥‥‥は———」
がちゃ
「隊長ー装置直ったよー‥‥‥あーあ、またやっちゃったねー」
班長が目にしたのは口に何か含んで倒れている長官と今にも倒れてしまいそうな顔をした小隊長がいた。
そして床には工作兵のマークが書かれた包み紙が落ちていた。
やっちまった‥‥‥
◇
元に戻り長官に土下座した後の話である。
どんどんどん
「うるせーな 誰だ‥‥‥よ?」
扉を開けると全身黒スーツのグラサン男二人組が立っていた。
「こんにちは第三部隊長君、そしてさようならだ」
「え?ちょっ、は———」
スーツグラサンが謎の光を俺に見せてきて、そこで意識が途切れた。
◇
「———うぅん?何で俺は‥‥‥ってか頭痛え‥‥‥」
本当に何でロビーのソファーなんかで寝てたんだ? なんか今日の分の記憶が無いが‥‥‥こういうのは小隊長だろ。 ちょっと文句言ってやろう。
「実は僕も良くわからないんだよねー」
なんでもここ一ヶ月の研究してた記憶が無いらしい。 こいつの部屋は案外綺麗なんだが、研究資料と一部の機材が一研究分まるごと無くなっていたとか。 そしてその資料が置いてあった所にはものすごい分厚さの『機密料』と書かれた封筒が置いてあったらしい。
怖っ。
前編・後編いっぺんに書いたからなんか変なテンションになってる作者。
ちなみに入れ替わり先まとめ↓
第三部隊長→小隊長
アホ本官→第三部隊長
小隊長→医療班長
医療班長→アホ本官
活動報告で没オチも載っけときます




