学校と校長
玲緒は、ベットから立ち上がり、保健室を出て廊下に一歩踏み出した。
「うわ……なんだよ、これ……」
廊下の窓から外を見渡した俺は、思わず息を呑んだ。
窓の外に広がっていたのは、俺の知っている日本の風景ではなかった。
天井のない空は紫と濃紺がぐにゃりと混ざり合った怪しい薄闇に包まれ、その中央には不気味に輝く二つの巨大な月が並んでいる。肌をなでる風には、どことなく焦げたような、甘く妖しい匂いが混ざっていた。
「全然違うんだな……」
「人間界と、か?」
「あぁ」
「そりゃあ、鬼の世界で平和なことなんか一度もなかったからな」
「それってどうゆう」
「まぁ……そこは追い追い話す」
「じゃあ校長室行くぞ」
山田が和服の裾を揺らしながら歩き出す。玲緒は、その後に続いた。隣には、優しく微笑むしーちゃんが寄り添うように歩いている。
歩いてる途中山田説明を始める
「じゃあ、軽く学校の説明をする。」
「ここは『鬼王学園』……人間界から隠された、鬼の生き残りたちが集う唯一の学校だ。この学校は、初代の鬼王酒呑童子が新たな鬼王を育成するために作ったとされてる。」
「なぁなぁ、その酒呑童子ってやつは強かったのか」
「え?」「え?」
その言葉を聞いた山田と、しーちゃんは唖然としていた。
「本当に茨木童子の弟子なんだよな?」
「ああ、そうだ」
「本当に知らないの?」
「あぁ」
(あの酒呑童子バカが、弟子に何一つ酒呑童子のことを話さなかったのか……やっぱりあいつバカだな)
はぁー、まぁいい、酒呑童子の説明をすると、この鬼世界の2代目の王だ。
「2代目ってことは、初代もいたのか?」
「そりゃあいるだろ、まぁやったことといえば鬼を生んだ、それだけだから誰も慕う鬼はいなかったよ。」
「酒呑童子は、鬼の中では、ズバ抜けてた、勝てるやつは誰もいなかったし、日本に行っては、必ず人を喰い、のちに日本三代妖怪に恐れられていた」
「ふぅーん、そんなにヤバイんだな。その酒呑童子ってやろうは」
「感想うすいな、まぁそいつがこの学校をつくだったんだ」
「じゃあ、そろそろ学校の話に戻るぞ
今この学校には、16歳以上の15人の生徒がいる、そのうち1年生は3人、2年生は3人、3年生で5人、特別生4人」
「てか、少な!全校で15人!!」
「言ったはずだ、鬼の生き残りたちの子孫にあたるやつらだ、ただでさえ子供に興味がない鬼たちが子供を生んでることがすごいんだ。」
「なるほど」
「じゃあ、特別生ってなんだ」
「特別せ……」
「あー、それは、私から説明するね」
山田の話を遮りしーちゃんが入ってきた。
「特別生って言うのは、15歳以下の6怪鬼をもった鬼たちが集まってるクラスなの。」
「怪鬼ってなんだ?」
「あぁー、説明してなかったね。怪鬼って言うのは、酒呑童子様を10怪鬼とした時の、鬼の強さを表す数字なの、こう見えても私は、8怪鬼なんだから」えっへん
しーちゃんは、腰に手を胸を張って自慢気の用に言った。
「じゃあ、山田は、何怪鬼なんだ?」
「…………」
「おい、聞こえてんだろ」
「ノーコメントだ」
「もうーー、言ってあげればいいのに!」
「知ってるだろ俺は、怪鬼制度に興味はない」
もしかしてこいつ俺に言えないってこと、弱いのか?まぁそりゃあこんな小さかったら弱いのも当然か。プププ
「じゃあ、しーちゃん、俺は何怪鬼なんだ?」
「えっとねぇー」
「おいww言ってやれよw」
「え、なんだよ」
「多分玲緒くんは……4怪鬼ぐらいだと思うよ……タブン」
「それってどうなんだ?」
玲緒が尋ねると、しーちゃんは少し気まずそうに視線を泳がせた。
「まあ……この世界だと、普通くらいかな」
「何だよー普通かよー」
「wwwww」
「山田何笑ってんだよ」
「いやwいや……」
「いやだってなぁ? 普通って思っておいた方が、今は幸せかもしれねぇなw」
山田は意地悪く口角を上げると、ふっと笑みを消した。
「おっとそろそろ雑談はやめだ」
「あ?」
「ここだ、校長室」
山田が「ここだ」と言って立ち止まったのは、黒光りする重厚な木製の扉の前だった。
コンコン
「/◎ $♪× ¥&% #?!」/はい/◎ $♪× ¥&% #?!」/」
その瞬間、玲緒は膝が砕けそうになるのを必死にこらえた。
扉の向こうからの声が、とてつもない質量を持ったなにかが、こちらを押しつぶそうとしている。
それは、捕食者を前にした小動物が感じる、本能的な死の恐怖だった。
師匠が本気を出した時とも、あの渡辺流の男とも違う。奈落の底から這い上がってくるような、どす黒い圧迫感が伝わる
「山田です、つれて参りました」
「/◎ $♪× ¥&% #?!」」/
了解です、はいってどうぞ/
◎ $♪× ¥&% #?!」/」
「……入るぞ」
山田がそう言ったが、玲緒の足は、地面に縫い付けられたように動かなかった。冷や汗が、顎を伝って床に落ちた。
「おい、どうした?」
「いや、な、何でもない」
「もしかしてびびってんのか」
「そんなわけねぇだろ……」
扉が開き、校長室に一歩踏み入れる
「うぉ!」
玲緒は思わず声を漏らした。
部屋に入ったはずなのに、床も、壁も、天井も、そこにあるはずのデスクや椅子も、何一つとして目には映らない。視界にあるのは、ただ濃厚で、底が知れない、どす黒い靄だけだ。
だが、そこには確実に「ナニカ」がある。
「あぁ、なるほどな。
校長、鬼気が、すごい出てます。」
「◎ $♪× ¥&% #?!/あ、すまん、すまん/◎ $♪× ¥&% #?!」j/」
「/◎$♪× ¥&% #?!」/これで/◎$♪× ¥&% #?!」/どうですか?」
それと同時に、目の前を覆っていた黒い靄が嘘のように晴れ、その奥に腰掛ける女性の姿が劇的に視界に現れた。
呼吸が劇的に楽になり、玲緒は思わず膝をつきそうになるのを踏みとどまった。先ほどまでの金縛りが解け、荒い息を整えながらゆっくりと顔を上げる
視線の先、豪華な革張りの椅子にゆったりと背を預けて座っていたのは、背が高く、艶やかな長い髪を流した一人の美しい女性だった。
「初めまして。...... えっと、君の名前は?」
「......玲緒、です」
「そうか、玲緒くんか。了解、了解」
彼女はフッと口元を緩めると、組み替えた足の上に肘をつき、綺麗な瞳でまっすぐに玲緒を見つめた。
「改めまして。
初めまして玲緒、私は、ここの校長をしている、義玄だ。よろしく頼む。」
「あぁ、よろしく」
玲緒はさっきの威圧感に気圧されたこともあり、どこかそっけない返事になってしまった。
「ところで君たち、彼にどこまで話したんだい?」
義玄は山田に視線を向ける。
「はい、学校のことと、軽く……」
「てか、聞いてくださいよ校長! こいつ茨木童子の弟子なのに、酒呑童子のこと何も知らなかったんですよ」
「えっ、マジで? いばっちの弟子で酒呑童子を知らないとか、さすがにおもしろすぎるだろお前」
義玄は可笑しそうに笑うと、すぐにキリッとした目で山田を睨みつけた。
「……話を変えたということは、大事な部分はほとんど話さなかったんだな?」
「ひゅ〜、ひゅ〜」
山田は露骨にそっぽを向き、下手くそな口笛を吹き始めた。
見かねたしーちゃんが、助け船を出すように口を開く。
「まぁいいじゃないですか、校長。私たち、実はまだ玲緒くんから『あの事』の話を聞けていないんです」
「ほぉー」
「聞いてみませんか? あの戦いで、彼が何を思い、何を経験したのかを」
「あぁ、もちろんだ。私はそれを含めて彼をここに呼んだんだよ」
「……わかった。話すよ、あの時のこと」
俺は、センター分けの男の存在、師匠の完全鬼化、突如現れた謎の人物、あの戦いで繰り出された技、そして——師匠との最後の別れ。
あの時の光景を必死に思い出し、握りしめた拳の爪が手に食い込むのも構わず、あの時の光景を必死に思い出し、すべてを吐き出した。
山田は途中で欠伸を混じえながら聴き、しーちゃんはぼろぼろと涙を流して聴いてくれた。
そして義玄校長だけは、まっすぐ俺の目を見つめ、静かに耳を傾けていた。
話し終えた後、真っ先に口を開いたのは義玄だった。
「なるほどね……。玲緒くん、君はさっき『師匠が誰かを逃がすために時間を稼いでいた』と言っていたね、それがどういうことか分かっているかい?」
義玄は深く息を吐き、どこか寂しげに、だが誇らしげに目を細めた。
「いばっちはね、人間界に散らばっていた鬼の血族者たちを、命がけでこちら(鬼の世界)へ逃がすためにあの騒動を起こしたんだよ。自分一人を囮にして人間界の目を一手に集め、全員を救い出す……。
口で言うのは簡単だが、これは常人にできることじゃない。本当に凄まじい男だよ」
山田も腕を組み、静かに鼻を鳴らした。
「チッ……まぁ、あいつにしかできねぇ芸当だな」
(師匠……あんた、そんなことのために……)
自分を守ってくれただけじゃなく、多くの同胞を救うためにたった一人で戦っていた。師匠の本当の思いを知り、玲緒の胸の奥が熱く焦げ付くような感覚に包まれる。
玲緒はグッと拳を握り締め、校長を真っ直ぐ見据えた。
「……それで、俺が話したあの連中の正体は分かったのか?」
「あぁ」と義玄校長は深く頷くと、表情をキリッと引き締めた。
「いばっちが命を懸けて繋いでくれた君の情報のおかげで、私たちが持っていた情報と見事に一致したよ。まず、そのセンター分けの男は、柊の『渡辺柚希』。そして、光の能力を使った奴はおそらく柊の最高戦力——源家の現当主だろう。技名と効果までは初耳だったがね」
「その『柊』ってのは、一体何なんだ?」
「柊は、かつて酒呑童子を討ち取った『源頼光』、そしてそれに仕えた『頼光四天王』の末裔たちだ。彼らを中心に構成された、日本に3つ存在する『鬼討伐組織』の一つだよ。……数百年経った今でも、奴らは俺たち鬼を狩るために存在している」
「3つもあるのか?」
「あぁ、柊、大豆鰛だ。」
(だいとうに関してはだいずじゃないんだな)
「俺からも一ついいか」
山田が真剣な顔で割り込んでくる。
「本当に茨木は『日本と鬼との大戦争の始まり』と言ったんだな?」
「あぁ、間違いない。師匠ははっきりとそう言った」
その言葉を聞いた瞬間、義玄、山田、しーちゃんの3人が顔を見合わせ、重く頷き合った。
「大戦争か……よし。玲緒、ひとつ提案がある。この話を『上層部』の連中にも直接話してくれないか?」
「あー……別に断る理由もねぇけどよ。俺でいいのか?」
「何を言っている。あの死線を潜り抜けた当事者である君が伝えるのが一番筋が通る。何より、現場にいた君の生の言葉なら、あのお堅い上層部も事態の深刻さに焦るだろうからね」
「わかった。その幹部だか何だか知らねぇけど、会って全部話してやるよ」
「決まりだな。では、上層部との会議を3時間以内に用意させよう。それまでの間、君はこの『鬼の世界』のことと、これから共に過ごす同級生たちの顔でも見ておいで」
「同級生……?」
「ふふ、そうだ。今日から君を、この『鬼王学園』の生徒として正式に迎え入れよう」
最後まで読んでくださりありがとうございます。
次のお話は、同級生と合い、れおの怪鬼のことに触れます。
よろしくお願いしますね。
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