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新鬼伝説〜俺は、新たな鬼に名を刻む〜  作者: 九賀 りんたろう


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4/7

別れと、保健室


 俺は切られていた。

 


何が起きたんだ、何にもわからない 

 

「おい、玲緒ーーー!」

 

 師匠がこっちに来る途中、俺を斬った何者かが刀を振る。 

 師匠は正体不明の男の攻撃を寸前で避け、俺を担ぎ上げると一気に距離を取った。

 

「玲緒、おいしっかりしろ」

「………………」

 応答はない

「クッソ」



 謎の男に柚希が問いかける

「いいんのですか逃がしても?もう1キロは、離れてますよ」

「逃がす?私がそんな失態をするとでも」

「いえ、すみません少し心配になっただけです」

「申し訳ないな、部下に心配させるなどあってはならないこと。」

 

 謎の男は刀を鞘に納め、静かに指を鳴らす

 

光進鬼殺し(こうしんおにごろし)

 

「よし、じゃあゆっくり行こうか?」

 

 





 

2キロは、離れた……そろそろだ、ここらにいるはず。

「しっかりしろ、玲……」

 ボオーーーーーーーーーーーン

「え……?」

 何が起こった?

 (音もない、攻撃の気配すら無かった。何かあいつがしたのか、今俺に何が起きてる?)

 

「っくそが」

  

 茨木童子が転ぶ瞬間に気付く

 両足がなくなっていた、その勢いで抱えてた玲緒を前に投げた。

 

「悪い、玲緒!!」

 

(くっそ……傷が深すぎる。再生まで何分かかるだ、これ)

 

 玲緒は転んだ勢いで目を覚ます。


「おい玲緒、玲緒しっかりしろ」

 

 師匠の声が聞こえる。起き上がろうと声のする方へ顔を向けると、倒れ伏した師匠と視線が交差した。

 

「おい……どおしたんだよその足……」

「俺はいい、話をただ聞け」

「え……?」

「お前は、これから沢山の後悔や、挫折、いろんなものを失う経験をすることになる、いいか?それは未来への自分の「武器」に、必ずなる」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺は何かを悟ってしまった。

だがそれを打ち消すように、涙を流しながら叫ぶ。

「なんだよそれ! 俺はまだ失わなきゃならねぇのかよ!? 武器なんかになるわけねぇだろ!」


  

俺の言葉を遮り、師匠が腹の底から怒鳴りつけた。

 

 

「するんだよーーお前が自分で!!

 後悔なんて俺は人生で何千何百と経験してきた、だがな、その経験は必ず自分を成長させた!おれは、それを武器にナンバー2まで上り詰めた。

 お前は俺ができなかったことをしろ!俺を越えろ!」

「何言ってんだよ師匠、俺はまだあんたと一緒にいてーよ」


 タッタッタッ……! 

 遠くから走ってくる足音が迫ってくる。

 

 茨木童子は再生した足で力強く立ち上がった。

「やだよ俺、まだあんたと一緒にいたい。行かないでくれよ師匠!」

 

「ハッ……そんなかわいいこと6年ぶりに聞いたな。クソガキ」

「はぁあ、最後に、お前と入れてよかったよ」

「最後ってやめろよ、最後なんて言うなよ!」

  




 

 

「ふぅー、「ものまえ」、頼んだ」

 

「うん。鏡渡り(かがみわたり)



 

 

 玲緒は、後ろから突然でできた鏡に、吸い込まれ始める。

鏡の向こう側へと引きずり込まれながら、俺は必死に手を伸ばした。

 

「おい!離せよおい!やめろよ」

「師匠! 師匠ーーーっ!」

必死に手を伸ばすけれど、指先は空を切るだけだった。背後に現れた鏡の冷たい闇が、容赦なく俺の身体を奥へ奥へと引きずり込んでいく。

遠ざかる視界の中で、満身創痍のはずなのに、師匠の顔の表情は驚くほど穏やかで、優しかった。









  

『玲緒、鬼に生まれてくれてありがとな』







  

最後に聞こえたその声が耳に残ったまま、視界のすべてが深い闇へと呑み込まれた。




 




 





 

 師匠おい!師匠、師匠ーーーー!

「はぁ……、はぁ……、はぁ……」

俺は、は、魘されながら起きた。

 

おい、師匠はどうなった?

 

「ここは……どこだ?」

 目を開けると、見覚えのない天井が広がっていた。

鼻をつくのは甘い薬品と消毒液の匂い、周りを見渡すとピンク色のカーテンでしきられていた

 

「あら、起きたのね」

 

 カーテンを越しから急に知らない女の人の声が聞こえた。

 

「誰だお前?」

「大丈夫、そんなに警戒しないで!」

 

 シャーッとカーテンが開かれ、一人の小柄な女性が入ってきた。

 

「目覚めてよかった」

「いやいや、本当に誰だお前?」

「ああ、そうね名乗らなきゃ!

 私の名前は、鬼子母神(きしぼじん)、鬼よ!」

「あ、でも、みんなからはきーちゃんて呼ばれてるから!よらしくね」

 

頭からは小さな二本角が覗き、甘く可憐な顔立ちをしている……が、何より目を引くのは胸元が大きく開いた服と、そこからこぼれ落ちそうな圧倒的な胸の存在感だった。

 

(デカっ……! いやいや、今はそれどころじゃねぇ!)

 

「大丈夫? 4日も眠ってたから本当に心配したんだから」

「はぁ?4日?」

 

 俺はそんなに寝てたのか

 いや、それより……師匠はどうなったんだ? まさかな……。

 

「でも、ビックリだよね、4日なんて

 相当疲れてたんだよね。」

「そうゆう優しさは要らねぇ

 そんなことよりも、師匠はどうなったんだ?」


室内の空気が、何か変わったような気がした。 

 鬼子母神は視線を少し泳がせると、寂しそうに口を開く。

 

「うん……そうだよね、その話しは、私じゃなくて彼に聞いた方がいいかも?」

 

すると、再びカーテンを開け、もう一人出てくる。

 

「茨木の弟子って聞いてたが……似てねぇなお前?」

 

 カーテンから出てきたのは、背が鬼子母神よりも小さく、和装をしてる子供が入ってきた。

「え?子供」

「ちげぇわ、俺は大人だ!」

「いやいや、どっからどう見ても子供だろ」

「だから違ぇって俺は、山田、鬼だ」

「お前が鬼?角が生えてねぇだろうが」

「あのなぁ、お前の師匠も常時、角生えてたか?」

「あーー生えてなかった……」

「そうだろ、俺もこれは人の姿だ」

「にしても小さいなお前」

「チッ、口の減らねぇガキだなお前」

 

 (そう言うところは、あいつにそっくりだな……)

 

「まぁいい、で、俺に話したいことがあるんだろ?」

「あぁ」

山田は一瞬沈黙し、淡々と告げた。


 

「お前に聞きたいことはただ一つ

 師匠はどうなった?」

 

山田は一瞬沈黙し、淡々と告げた。 

「まぁ、それだよな、

 結論から言うと

 あいつは死んだよ」


  

「………………………………」


深く、暗い沈黙が落ちる。  

「あぁ……そうか……、師匠はどんな最後だった?」

 玲緒は、下を向きながら聞いた。

「聞かない方がいい」

「なんでだよ!教えてくれ!俺は知らなきゃならない」

「わかった、いい覚悟だ。では、俺は、あの戦いが終わった後のことを話す。

 俺は、現場を見にいった。現場はひどいもんだったよ、空気は淀んでて、もう人も何もかもが跡形もなく、炭になってたよ。

 そんな中倒れてるやつを見つけた、それがお前の師匠、茨木童子の首がない死体だった。」

「それは確実に師匠だったのか?」

「ああ、間違いない、体から残る鬼気は、あいつのものだった」  

「じゃあ、あの関西弁の背が高いやつは死んでたか?」

「そんなやつがいたのか

 遺体があったのは茨木のだけだったよ」



それを聞いたとき俺のやるべきことはもう決まった。

 

 

 

「それで、誰が、師匠を殺した?」 

「まぁそこだよな、カッコをつけるのであれば俺たちが殺したようなもんだろうな、とか言いたいんだが」

 

山田の言葉が終わるより早く、俺は超軌道で踏み込み、奴の顔面へ拳を振るい抜いていた。

 

「冗談だ」

 


パシッと音が響く。山田はその速さの拳を、指先1本で止めていた。

 

 「てゆうか、おいおい、怒りに任せて鬼化してんじゃねぇよ」

 

 玲緒は、気付いてなかったが、玲緒の見た目1本角が生えており牙が出ていた。

 

「お前が殺したのか!?」 

「冗談言ってるだ……」

 

 山田が喋ってる途中、玲緒が夢中になって2発目の攻撃をする。 

今度はその攻撃を右手で完全に止めた。

 

「こりゃ完全に怒鬼(どき)になってやがるな

 おい、鬼子母神あれをしろ」

「やだ」

「何でだよ!!」

「そんなのあなたが原因でしょ、それに、鬼子母神じゃなくてしーちゃん」

「あぁ、あぁ、わかった、しー助けろ」

鬼子母神は、ほっぺを膨らませ言う

「しーちゃん!!」

「あぁ、もう、しーちゃん助けろ」

「はーーーい病災愛復(びょうさいあいふく)


  

 鬼子母神が手をかざすと温かい光が包み込み、俺の角と牙がスッと消えて元に戻った。


  

「ねぇ、大丈夫……?」

「あぁ、大丈夫だが、今何が起こった?」

「大丈夫だ、お前がキれただけだ気にするな」

 (今俺に何が起きた?)

「んで、悪いがさっきの話の続きをしようか?」

 玲緒は、さっきの話を思い出そうとする。

 

「ごめん……なんだったっけ」

「はぁー、こりゃ重傷だな

 茨木が何故死んだかだろ」

「あぁ、そうだったな……」

「おい、鬼子母神、ちょっと強すぎたんじゃねぇのか?」

「えーーー私かなり威力弱めたよー」

「お前が、コントロール失敗するなんて、もう歳だな」

 鬼子母神が、山田の耳を思いっきり引っ張る。

「痛った!!何すんだよ!」

「歳って、一番センシティブなことを堂々と、だから誰も結婚してくれなかったんだよ!」

「今そんなの関係ねぇだろ、しかも結婚ってお前、も……」

「それ以上はいわなーーーい」

 

 ぐいぐいと耳を引っ張り回す。

 

「いってぇーーー! やめろ!」

 

「……悪い、今全部思い出した」

 

俺の言葉に、二人はぴたりと動きを止めた。

「はぁ、よかったよ」

(助かったーー!耳取れるかと思ったー)

 

「じゃあ教えてくれよ、本当に師匠を殺したやつを!」 

「うーーーん、それなんだが……悪い、実を言うとわかっていない」

「は? さっきわかるみたいな空気出してただろうが」

「冗談を言った後に『わかんない』って言おうと思ったんだが、そしたら急にお前が突っ込んできたんだろうが!戦いの跡地を隈なく調査したんだが、茨木の遺体以外、何一つ気配すら感知できなかった」

「役に立たねぇなお前」

「あぁ、それは、こちらの力不足だ。でも、そこでお前だ。こちらは明らかに情報不足、今は少しでも情報が欲しい。あの時何が起こったのかを俺らに教えろ」

 

鬼子母神が山田の前に立ち、真剣な眼差しで頭を下げた。 

「もう、そんな言い方じゃ教えてくれないよ。お願い、私たちは鬼を守りたいの。だからお願い、情報を教えてください」 


 

「ああ、わかった。情報は教える。だがお前らはこの世界のことを教えろ」

「よく、気付いたなここが鬼の世界だってこと」

「そりゃ気付くだろ。まず第一、お前らが鬼だと言うことを俺に隠さなかったそれは、この世界は、人とは、関わらずに、鬼しかいないって言うことだろ」

 

(こいつ、バカだと思ってたが意外と勘はいいんだな)

「あぁ、わかったこっちの情報も教える。」

交渉成立だな。

 

 じゃあ、俺からあの時の起こったことを話す

 あの時……」


 ピンポンパンポン……♪

 連絡連絡をします、山田先生と、しーちゃんは、怪我鬼をつれて、至急校長室まできてください。

 ピンポンパンポン……

 

「はぁ、呼び出されたな」

「さっきの鬼気でバレちゃったね」

「悪いが、この話の続きは、この後しよう」

「後……?」

「あぁこれから会ってもらうのは、ここの校長だ」

「校長ってここ学校なのか?」

「え、気付いてなかったのかよ、ここどう見ても保健室だろ」

 

 言われてみれば確かに薬品の匂いとかは、保健室っぽいけど、この部屋だけで学校だと見抜ける奴はそういないはずだ。

 

「まぁいいとにかくこの学校の説明は、道中に話そう。」

最後までお読みいただきありがとうございました!

師匠との切ない別れを経て、物語は一気に新しい展開へと突入しました。

新キャラのきーちゃんや山田先生、……個性豊かな鬼たちと玲緒がどう関わっていくのか、ぜひ注目していただけると嬉しいです!


このペースで投稿してるとつきてきそうなので2日に1回とかの更新になるかも知れません。笑


面白いと思っていただけたら、ブクマや評価・感想など応援よろしくお願いします!

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