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新鬼伝説〜俺は、新たな鬼に名を刻む〜  作者: 九賀 りんたろう


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3/7

勝利の道、閉ざされた光り

「なんで腕がねぇんだよーーーーーーー」


 

 辺りに響き渡る


 

「わ、ビックリした、ほんまうっさいなぁ自分!見たらわかるやん、俺がやったんや」

 

黒髪の男は、面倒くさそうに耳を掻きながら告げた。

 

「なんで……、なんでだよ……!」

「何でって自分バカなんか?俺らは人間、昔から鬼を倒す、そりゃ当たり前のことやろ」

 (てか何なんやこいつ、鬼のことを師匠って言ってるぐらいだし小鬼なんか?いやでも鬼の弟子なのに、こいつが鬼であることを知らんかった?角が生えてへんし、鬼気(きき)なんて1ミリも感じへん普通の人間なんか?こいつ)

 

柚希は心の中で舌打ちしながら、玲緒の青臭い怒りを冷ややかな目で見下ろす。

  

「人間だから鬼を倒す?なんだよ、それ、おかしいだろ昔の鬼のことなんか俺は知らねぇし、関係ねぇ…」 

「はぁー727人」

 

 急に柚希が、頭をかきながら、大きな声で言った。

 

「これ何の数字かわかる?

 まぁわからへんよなお前みたいな頭お花畑みたいなやつには」

「な、何なんだよその数字」

「はーー、正解はここ10年で鬼に喰われた人数や

 この数字は俺たちが把握できてる数やけど他にも鬼関連の行方不明者は多い。

 これを聞いても鬼は関係ないと言えるんか?」 

「…………」

 

 (はぁ論破してもうたやん、何か言い返せやつまらんな、アホが)

 

言葉を詰まらせた玲緒に対し、柚希は内心で吐き捨てる。だが、玲緒は拳を握り締め、力強く顔を上げた。

 

「お前たちの言いたいことはわかった。だが師匠は返してもらう。」

 

 ピキッと、柚希の眉毛が動いた

 

「はぁ、やっぱりバカやな自分」

 

 (落ち着け、落ち着け、冷静に、冷静にや、相手はおそらく小鬼何も怒ることはない。)

 

 柚希は笑顔言った。

「ほんなら、俺を倒してみぃや、そしたら返してやってもええで」

 

「ああ、やってやるよ」

そのとき、瀕死の状態の師匠が大声をあげる。

 

「やめろ玲緒!お前じゃ勝てない、近づくな!」 

「おい、負け犬が勝手にしゃべんなや」

 

柚希が吐き捨てた瞬間、玲緒の空気が、一気に変わった。

 

「……おい今……師匠になんつった?」

 

玲緒の口から漏れたのは、低く、地底から響くような冷たい声だった。

さっきまで溢れていた涙は一瞬で乾き、呼吸が冷たく整っていく。玲緒の全身から、周囲の空気を歪めるほどの凄まじい「殺意」と「鬼気」が噴き出した。

 

(なんやねんこいつ……! さっきまで鬼気なんて1ミリもなかったはずやのに、急にレベル4ぐらいまで跳ね上がったやん、はー、ホンマようわからんは、こいつ)

「師匠、俺があんたを命に代えてでも助ける」

 

 玲緒は深く構え、スッと息を吐き出す。

 ふーーーーう

 次の瞬間

 

 

 ドーーーーンッ!!


  

 地面を削り取り一直線に詰め寄る。

 

「ぜってぇ殺す!!」

「おい待てやめろーーー!」

 

 (おいおいおい、一直線のど真ん中ってこいつ本当にアホやん)

 

 「はぁあ、俺もなめられたもんやな、俺も、こいつの気持ちに答えなあかんな。

 ふぅぅ、「|渡辺流 攻 順剃り《わたなべりゅう みがき じゅんぞり》」!!」

 

 柚希は刀を勢いよく振り、真空を切り裂くような鋭い斬撃が、玲緒に 向かって押し寄せる!

 

「おい、避けろ玲緒ーーーー」

 玲緒は斬撃に向かって勢いよく突っ込む。

 

「わははは、あいつバカなん?ぜってぇ死ぬやん

 はぁーーやっぱバカを狩るのは簡単やな!」

 

 その時、玲緒は斬撃に勢いよくぶつかる

 

 ドオオォンッ!!

 

 勢いよく煙が立つ

 

「おつかれさん」

「玲緒ーーーーーー」

 瀕死になりながらも全力で師匠の泣きそう声辺り一帯に響きわたる。


柚希の技と玲緒がぶつかった衝撃から出た煙の中から何かが突っ込んできた。

 

「おっしゃぁぁ! まだまだまだまだぁぁッ!!」


 その煙の中から血だらけの玲緒がスピードを一切下げずにさらに柚希に殴りにかかる

 柚希との距離残り2メートル!

 

 (よし勝てる!)

「死ねぇ人間ーーーーー!」

「それ以上は、やめろ玲緒……」

 師匠の弱っているのに止める声がうっすら聞こえる。



  

(えーーーまじか、あれで死ななへんの?やっばー俺死ぬやん はぁ、ここで俺も終わりか)

 

 玲緒が、あと30cmまで近づく

「終わりだーー」





 



 


  

「なぁんてなwww

 |渡辺流 反攻 際剃り《わたなべりゅう はんこう  きわぞり》」



 

 ブシャーーー!!!


「……は?」

 

 玲緒の目の前に血飛沫が広がる。

 目の前に広がる赤。

(今、何が起きた……? あと少しだったろ……なんでこいつ笑ってんだよ? 死んだのか俺……? 俺、何もできなかったよ師匠。あんたを守るどころか、傷一つつけられなかった……)

 

意識が薄れる中、走馬灯のように過去が駆け巡る。

 

(母さん、7年間ありがとう。最後がこれでごめん。師匠、大事な7年間を無駄な時間にして……って、あれ……? 俺、8歳の時って何をしてたんだ……?)

 

違和感。

全身を駆け巡る激痛の中、玲緒はハッと目を見開いた。

 

「おいちょっと待てよ、何で切られた感覚が1ミリもないんだ……?なんで俺、動ける?

 おい待てよ、そん……そんな、嘘だよなうそ……だよな……」

 

 玲緒が斬られたのではない。

実際に切り裂かれていたのは、玲緒を突き飛ばし、背中で刃を受けた師匠だった。


  

何が起きたか理解が追い付かない

 

 「おい……師匠……おい! しっかりしろ!!」

 

玲緒は震える手で師匠を抱き起こす。手のひらに、ねっとりと温かい血の感触が広がる。

 

「なんでだよ……! なんであんたが庇うんだよ! 俺が、俺が弱ぇから……!」

悔しさと己の無力さに、玲緒の胸が張り裂けそうになる。

 柚希は、煽り顔で言う。

「楽しみは最後に取っておきたかったのになぁー。結局弱いほうが残ってもうたやん

 はぁあ、つまんな。」

 柚希は残酷な笑みを浮かべ、刀を上段に構えた。

 

「じゃあ時間もないしトドメ指しますか。」

「じゃあね2人ともあの世でもBAD ENDでよろしゅうな」


 

 柚希が刀でトドメを刺す瞬間、遠くのほうで声が聞こえる。

「おーーーい、童子ーーー童子ーーー全員避難完了したぞーー!!」 

「あ゙?次から次へと誰やねん。」 

 (どっからや、この声、女か?)


 

師匠がスカスカの声で笑いだした。

「へぇ……へぇ……へぇ……この勝負わしらの勝ちのようじゃな」 

「あ゙、おい負け犬がなに言ってんねん。どこがお前らの……?」


  

 フッと柚希は言葉を思い出す

(「若造が一つ教えてやろう、強者が、時間を稼いでいる時それはお前の弱さを証明してる」)

 

「あーーなるほどな最初っからお前は犠牲になって他の鬼を逃がしてたってとこか」

「なぁー年寄りの言うことは聞いとくもんじゃろ」

 すると柚希は笑い出す。


 柚希は一瞬固まったが、すぐにフッと笑い飛ばした。

  

「あはは、まぁいっかお前らも知ってるだろこちら側には安倍家がいる、お前ら見たいな鬼は安倍家の十八番って知ってるよな」

「おいおい、こちら側がその事を知っていて、そんな強行突破すると思うか?」

「あーなるほど、こりゃあ一本取られた天狗か?」

「ノーコメントだ」

 

(天狗、隠密のプロ集団、陰陽師が絡んだとしても捜索は結構かかりそうやな。

そうなると時間はかけてられないな。)

 

「まぁ、じゃあ、あんた殺して、さっさと他の鬼追えばいいだけの話やろ」

「おいおい待て待て、若造、よく考えてみろ何で俺がこのタイミングで色々話すと思う?」

「死ぬことを悟っているんやろ」

「本当ににそう思うか?」

「……何が言いたい?」

「じゃあもう一つ質問だ、……なぜ俺は瀕死なのにこんなにしゃべれると思う?」

 柚希は真剣に考える

「お前まさか?」

柚希の表情から余裕が消える。 

 師匠がゆっくりと立ち上がる。

 

「師匠……なんで?」「お前何故?」

   「傷が治ってる?」

「では、サービスとして全ての質問の答えを教えよう」



 

 

 

        完全鬼化






  


 ドオーーーーーーーーーン!!

 

地鳴りのような咆哮とともに、師匠の全身から黒赤く凄まじい業火が吹き出した。

アスファルトが一瞬で溶け落ち、周囲の瓦礫が焦土と化す。

立ち昇る炎の向こう側にそびえ立つのは、片腕を再生させ、頭部に禍々しい二本角を生やした師匠の姿。

鋭い眼光が柚希を射抜き、圧倒的な絶対者の圧力が辺り一面の空気を押しつぶす。

 

 あれは師匠なのか……?


 

 柚希は鬼化した瞬間地面を一蹴りで5m距離を取る

 

腕が治ってる、異常なまでの回復力、そして、あの見た目、まさかお前、いやだとしたらなんで生きてるんや。

 

 

「がははは、俺の名は茨木童子、鬼の王

 酒呑童子様の副将だ」


 

「お前なんで生きてる?俺の先祖が殺したはずやろ!」

「殺した……あぁ、お前は、あの渡辺綱の血族か!

 まぁいわれてみたら確かに刀筋はあいつに似てるが、技の威力は貧弱で気付かなかったわ」

「俺の威力が弱いやと?さっきあんなにボコボコにされてたやん、もう忘れたんか??」

「さっきと状況か違うだろアホか?

 まぁ俺の言うことが信じられないならもう一度やってみるか?」

「あぁ望むところや」

 

 二人が再び構え直したその時——

 

ピピッ、ピピッ……

 

柚希の無線に緊急通信が入る。

 

「おい何があった?そっちからレベル7の気配が出ている!応答願う!」

「こちら渡辺、レベル5の鬼を対応してたところ、茨木童子……でした。」

「なっ……応援は?」

「必要ありません、こいつは俺がやらなアカン相手です。」

「りょ……」

 

「待て、念のため私が行く、そこまでは耐えろ。」

 誰かはわからないが、割り込んできた重厚な声を聞いた瞬間、柚希の身体が緊張で硬直し、柚希が緊張を見せた。

「は……はい、よろしゅうたのんます」



「なぁ玲緒その場から一度も動くなよ」

「何でだ!俺も戦う!」

「ダメだお前じゃ力不足だ。それに……これは鬼と日本の「大戦争」の始まりになる」

 大戦争という言葉を聞いて玲緒は何も答えられなかった。

 


 

師匠が切り出す

「おーーい、それで、そっちの話は終わったかーー」

「あぁ、終わったわ」

「じゃあ、そろそろ始めようか」


二人はもう一度構え始め、経験したことないぐらいの殺意がこの場を支配している 

「こい、ガキ」

「|渡辺流 極一手 寝かし剃り《わたなべりゅう きわみいって ねかしぞり》」

 

 さっきと桁違いの威力で、茨木童子に襲いかかる。

 

 すると、それを茨木童子は片手で軽くはたく

 ドーーーーーン

 地面に大きな穴が空く。

 

「おいおい、もっと渡辺綱は強かったぞ」

 

 (おいおいまじかあの技、一応上技やで

 それを簡単に流しやがって

 これ勝てるんか?)

「うるせぇ!まだまだや!」

 

 そこから5分間ずっと柚希は距離を取りながら技を打ち続ける。

 茨城童子は、柚希の攻撃を避けながらどんどん距離を詰める。

 だが、茨木童子は攻撃をことごとく掠らせもせず圧倒的な圧力で距離を詰めていく。それどころか茨木童子のからだから出る炎でどんどんボロボロになって行く。


  

「なぁ、もういいか?お前じゃ俺には勝てない」

「はぁ……はぁ……はぁ……クソッ何でやー」

「では、最後として、俺からも技を一つ」

 そう言うと茨木童子が、人差し指を前に出し

 

炎舞灰骨(えんぶはいこつ)

 

 するとその瞬間、音もなく茨木童子が指し示した直線上の景色が一瞬で激しい業火に包まれ、あらゆる建造物が灰へと変わっていく。視界の果てまで続く、圧倒的な破壊規模。

 

「勝っ……たのか……?」

 

 玲緒は呆然と立ち尽くす。人間の身で耐えられる威力ではない。

嬉しさを爆発させ、玲緒は師匠のもとへ駆け寄った。

 

 師匠の方向に走る。

「やったな師匠!!!勝ったんだ、やったーーー!」

 だが、師匠はこちらを向きものすごい怖い顔で

 言う。

「まだ勝ってない、戻れ」

「え……?」

 

 師匠の先のほうを見ると柚希と柚希の周りだけが一切攻撃を受けた形跡がない。

 そしてそこには、もう一人さっきまでのいなかった人?がいた。


  

「え?は?何故?てか誰?」

 

眩しく瞬きをした瞬間もう一人は消えていた。

「気のせい?」

 すると近くで声が聞こえる。

「小鬼か……弱いな」

耳元で、冷ややかな声が囁かれた。

 

瞬き一回。たったそれだけの隙に、その「誰か」は玲緒の真横に立っていた。

刃が振られた感覚も、風を切る音すらない。

視界が遠くなり、ワンテンポ遅れて胸元から激痛と熱い血が噴き出す。



 

(え……? 俺……いつ、切られた……!?)


  

状況を理解することすら許されない圧倒的な暴力。

玲緒の意識は、そのまま深い暗闇へと引きずり込まれていった——。


第3話までお読みいただき、本当にありがとうございました!

師匠である茨木童子の圧倒的な「完全鬼化」、そしてラストに現れた謎の人物——。

一瞬で意識を刈り取られた玲緒は、果たしてどうなってしまうのか!?

よかったらぜひ感想などを書いてくださるとさいわいです。

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