89話
86話に記載されているロイドの年齢を変更してます。
それに伴い、88話にあるルルの扱いを孫から来孫に。
(なんと言う事じゃ。流石に紅葉殿より強い者はおらんと思っておったが…まるで比べ物にならぬ)
ロイドは凛を見て固まった。
自分とそう身長が変わらないにも関わらず、実力があまりにもかけ離れているのだとすぐに分かったらしい。
王都…と言うか王国でごく限られた者にしか知られていないが、実はロイド、ドワーフの最高位であるエンシェントドワーフだったりする。
彼は今でこそ王都にいるものの、生まれも育ちも獣国。
そしてエルフ程長生きはしないが、それでも普通のドワーフだと150年。
そこからエルダードワーフに進化すると450年、エンシェントドワーフにまで到れれば1500年は生きると言われている。
ロイドは200年程前にエルダードワーフから進化したのを期に、王都へ引っ越し。
最初は(受付の兵を含めた)王都全員から胡乱な目を向けられるも、実績でそれらを黙らせた。
そして50年前に玄孫であり、ルルの父でもあるルーク夫妻がロイドの元を尋ね、25年前にルルが誕生する流れとなる。
(かの者にルルを預けでもすれば或いは…。)
獣国を出た時は何人かいたエンシェントドワーフも、今は彼を残すのみ。
それなりに長命であるエルダードワーフならそこそこいるが、やはり自分だけと言うのは寂しいのかも知れない。
意を決した様子で凛に話し掛けた。
「初めましてじゃな、儂はロイド。凛殿、どうかルルの事を宜しくお頼み申す。」
「は、はぁ…。」
凛は急にやる気となったロイドに軽く困惑しつつ、話をし始めた。
途中、ロイドは凛が男であると知って驚き、紅葉達やルルからも同意を得て真実だと悟る部分も。
「マスター。城の方で動きがあった様です。多数の兵がこちらに向かって来ております。」
そう言って、凛のすぐ後ろから声を掛けたのはアルファだ。
彼女は最初から凛と一緒に来ており、後ろで静かに控えていた。
本当は火燐達の内の誰かと一緒に来る予定だったのだが、現在彼女達は作業中の為アルファが付く事に。
紅葉達とルルは彼女を知っており、故に動じなかった。
反対に初見であるロイドとロロナは、いつになったら彼女の話になるのかとチラチラ見ていた。
会話中、凛はアルファに関する話を一切せず、存在が気になっていたのだろう。
「凛殿、失礼だがそちらのお嬢さんは?」
ロイドはこのチャンスを逃すまいと、やや食い気味に尋ね、凛はアルファを指し示しながら答える。
「そう言えば紹介がまだでしたね。彼女はアルファ。人の形をしたゴーレムみたいなものだと思って頂ければ。」
「「ゴーレム!?」」
ロイドとロロナはゴーレムだと聞き、片や目を見開き、片や鼻息を荒くする形で興奮していた。
アルファはどう見ても人…と言うか人間離れした美しさだ。
しかもスタイルが良く、身に着けているドレスアーマーや凛とした佇まいから、強者の様にも感じられる。(実際、今は紅葉よりも強くなっていたり)
そんな彼女がゴーレム。
創られた美との意味では納得の出来であり、ロイド1人だけが愕然としていた。
と言うのも、ロイドもロロナの為にゴーレムを用意していたからだ。
しかし彼の作品はいかにもゴーレムとの言葉が似合う無骨なデザイン。
可愛いもの好きなロロナからは不評で、2人は同じゴーレムでもここまで違うのかと、色んな意味でショックを受けているのかも知れない。
「彼女の製作者は僕でして、今回はボディーガード役で来て貰いました。」
「アルファと申します。以後、お見知りおきを。」
凛がそう話し、アルファは丁寧に自己紹介する。
この様な動作はロイドのゴーレムには組み込まれておらず、ここでもまた実力の違いを認めざるを得なかった。
「…ルルよ。このアルファなる存在の事は聞いておらんのじゃが?」
「ごっめーん、忘れてた!」
ルルはてへっと舌を出した。
「でもさ、アルファは普段凛の所にいないんだよ。だからうっかりしてたって言うか…。」
「アルファは仕方ないにしても、酒場にはベータ達がいますよね?」
「ベータとは何じゃ?」
凛の言うベータ達とは、ベータ、ガンマ、デルタの事だ。
彼女達は今でも酒場におり、客に酒やつまみ等を提供している。
コミュニケーション能力も向上し、客受けもそれなりに良いとの事。
「そうだけど、馴染み過ぎててもはや従業員みたいじゃん?だからあたいにとって当たり前…みたいな感じだったんだよ。」
「だからベータとは一体何━━━」
「彼女達に感情や表情を覚えさせるのには苦労しましたからね。そう言って貰えると僕も嬉しいです。」
ベータについて追求したがるロイドを他所に、凛はルルに笑顔を向ける。
「凛…。」
ルルはいつも凛に助けて貰ってばかりだと思い、恥ずかしさと嬉しさが同時に押し寄せて顔を赤くする。
そんな雰囲気をぶち壊すが如く、ロイドがアピールも兼ねて盛大に咳払いを行った。
「うぉっっっほん。凛殿、確認したいのじゃが、アルファ殿はゴーレムで、人とは違うのじゃな?」
「はい。今の彼女はオリハルコンをベースに、加工したリヴァイアサンの皮とクリスタルドラゴンの肉を使用していますからね。見た目はかなり人間っぽいですが。」
「そうか。オリハルコンにリヴァイアサンとクリスタル…え?」
ロイドが口をあんぐりと開けながら固まり、ルルとロロナも揃って驚いた。
凛の言うオリハルコンとは、アダマンタートルが進化したオリハルタートル。
クリスタルドラゴンはフォレストドラゴンの進化先の1つで、リヴァイアサンはシーサーペントの最終進化の1つだ。
いずれも、美羽達が進化の為にと訪れた死滅の森中層中部にて討伐。
オリハルタートルは大きさが8メートル程となり、スッポンみたいな見た目に。
また、甲羅部分が非常に重いアダマンタイトから(ミスリルより少し重い程度の)オリハルコンに変わった事で、その分だけ動きが身軽になった。
彼らは集団で行動し、説得しようとした雫に(口から吐き出す形で)思いっきり水を浴びせ、びしょ濡れになった彼女を思いっきり嘲笑った。
それにキレた彼女が氷系最上級魔法『アイスエイジ』を使い、纏めて氷漬けに。
反対に、クリスタルドラゴンは全長40メートル近くにまで成長。
リヴァイアサンは100メートル以上とかなり大きくなった。
クリスタルドラゴンは一見するとステゴサウルス風のまま、ゴツくなった感じに。
1番の変化は、背中の棘部分がアダマンタイトより軽く、しかも硬いと言う不思議なクリスタルになった事だろうか。
その棘部分を射出し、進化して得た自己再生スキルと鉱物操作スキルを駆使。
アルファや美羽が使うシールドソードビットみたいな攻撃手段を取り、新しく生えた棘を再び撃ち出すを繰り返し、辺りを棘だらけの地面に変えた。
リヴァイアサンは口の横に長い髭が生え、長くなった分鰭の数が増えた。
(雫の水神化の劣化バージョンとも言える)『物質変換・水』や水魔法による攻撃を行う。
クリスタルドラゴンはリヴァイアサンと水辺を巡る形で争っており、クリスタルドラゴンはフォレストドラゴン達と。
リヴァイアサンはフラッドドラゴン達と共にいた。
そこへ凛達が顔を出し、一斉に彼らへ向けて攻撃を仕掛けた。
クリスタルドラゴン達は突進したりブレスを吐き、リヴァイアサン達は水による攻撃やブレス、それと水系上級魔法や水系超級魔法等を使用。
その場に大きな渦潮や大津波が現れ、敵だけでなく味方や凛達をも巻き込む。
しかし凛達は上空へ飛んで難を逃れ、リヴァイアサン達は水属性に強い耐性があり、無傷。
クリスタルドラゴンとフォレストドラゴンだけがダメージを喰らい、しかも凛達が攻撃態勢に入った事でリヴァイアサン達共々纏めて倒される羽目に。
因みに、オリハルタートルは神輝金級。
水神龍リヴァイアサンとクリスタルドラゴンはどちらも神輝金級中位の強さとなる。(肉質がより人間に近いとの意味でクリスタルドラゴンの肉を筋肉代わりに使用している)
(オリハルコンじゃと!?まさかここでその名を耳にするとはの)
オリハルコンは500年位前まで、とある鉱山奥地から僅かに産出されていた。
しかし謎の落盤で途中から進めなくなり、銅、銀、金等の金属に少量のミスリル、極稀にアダマンタイトが採れる程度にまで落ち込む。
オリハルコンは幻の金属と呼ばれ、王都や程度にある城の宝物庫等で見掛けるかどうかと言うレベル。
(…じゃがそれ以上に、リヴァイアサンとクリスタルドラゴンじゃ。どちらも文献でしか見た事がない。いやはや、分かってはおったがここまで━━━)
「じいじ!じいじ!私もあんな感じのお人形さんが欲しい!!」
「…!」
ロロナが物思いに耽るロイドの服を掴み、目を輝かせながらおねだり。
それではっとなり、ロイドは改めてアルファをじっと見てから凛に視線を移す。
「…凛殿。実はの、ロロナは人形使いと言うスキルを所持しておる。」
「人形使い…ですか?初めて聞きました。」
「かなり珍しいのは確かじゃな。それで、だ。可能であればアルファの様な━━━」
「でしたら…こう言うのはいかがです?」
凛がロイドの言葉を遮る様にして取り出したのは、50センチ位の大きさの熊のぬいぐるみだ。
そのぬいぐるみはもこもこのふわふわ。
愛くるしい見た目をしており、可愛いもの好きには堪らない破壊力がそこにはあった。
元々は雫から作って欲しいと頼まれたもので、今は彼女の部屋を含め、屋敷の至る所にある。
「ふわぁぁぁあ、可愛いーーー!!」
「良ければ要る?」
「良いの!?」
「勿論。」
「ありがとう!大事にする!」
ロロナはぬいぐるみに釘付けとなり、凛から受け取ってぎゅぅぅぅっと抱き締める。
かつてない程にご機嫌となり、ロイドはそんな彼女を悲しそうに見ていた。
ロロナが貰ったばかりのぬいぐるみを床に置き、人形使いスキルを発動させる。
ぬいぐるみは軽く体を震わせて起き上がり、2足歩行で歩き始めた事に全員が感動。
するとそこへ、酔っていたライアンが目を覚ました。
「う、ううん?ふぅ、ようやく酔いが治まって…うわっ!何あの子、滅茶苦茶可愛…あの2人共?一体どうしたのかな…?」
起き上がったライアンは溜め息をつき、声のする方に顔を向ける。
そして凛の存在に気付いて動き出す…よりも先に紅葉と暁が動いた。
2人は非常に冷めた目でライアンを見下ろし、それぞれが彼の前に武器を突き出している状態。
ライアンは降参とばかりに両手を挙げ、ダラダラと冷や汗を流す。
紅葉と暁は、ライアンが凛を見れば間違いなく突っ込んで行くだろうと予想を立てていた。
なので(本当は凛の近くにいたかったのだが)ライアンの近くにおり、すぐに動ける態勢でいたのが功を奏した様だ。
2人は互いにアイコンタクトを送り、同時に話し掛けた。
「「…さて、ライアン殿(様)。ちょっと(お)部屋の外でお話しようか(しましょうか)?」」
「は、ははは…え、えーっと!お誘いは嬉しいんだけど!今回はちょーーーっと遠慮させて貰おうかなー、なんて…?」
そう言いつつ、ライアンは何度も凛の方に視線を送っていた。
当然紅葉と暁はそれに気付いており、「あぁ、この人はやっぱり駄目だ」との判断を下す。
武器を仕舞い、再びアイコンタクトの後にライアンの肩を掴んだ。
「ちょ、ちょっと!?2人共、いきなりどうしたの!?ねぇ、無視しないで、僕の話を聞いて━━━」
ライアンが何か騒いでいたが、2人はそれを無視。
そのまま彼を部屋の外へ引きずり出し、扉が閉まる。
凛達の視線はそちらに向いており、ロロナだけが未だ楽しそうにぬいぐるみを動かしている。
「ギャーーーーっ!!止めてーーっ!!お願いだから許…んーー!んんんーーーー!!」
直後、ライアンの悲鳴が届けられた。
これに全員が驚き、しかし何かで口元を押さえられたのかすぐに聞こえなくなった。
凛、玄、遥、ロロナの4人は不思議そうにし、旭と小夜とゴーガンは苦笑いを。
月夜とクロエはざまあみろと言わんばかりの顔を浮かべ、ルルとロイドは呆れていた。
5分後
紅葉と暁、それと2人から少し遅れる形でライアンが戻って来た。
紅葉達は目を瞑り、澄ました様子。
ライアンはかなり内股気味で、風が…風が僕の大事な所を何度もヒュッて…と呟いていた。
部屋を出てすぐ、暁は左手1本でライアンを壁に押さえ付け、紅葉が圷を使い手足を固定。
瞬く間にライアンは磔みたいにされ、幾ら抵抗しようがびくともせず、挙句土で出来た猿轡まで噛まされた。
次に紅葉は颯を使用。
風の塊を発生させ、下、或いは斜め下からライアンの大事な部分をピンポイントで何度も撫でたりぶつけるを繰り返す。
ライアンは堪らず2人に懇願するも、まるで聞き入れては貰えなかった。
改めて実力に差があると痛感させされ、やはり鬼王を倒したのではないかとの思いから、すっかり心を折られてしまった。
しかし彼に対する慈悲はないらしい。
涙目のライアンを他所に、アルファから再び時間がない旨を告げられるのを合図に話が進められていく。
「分かった。紅葉達はどうする?」
「もしも可能でしたら、(この部屋の隣にあるポータルで)凛様とご一緒に…。」
「うーん、それは難しいかも。ここへ入るのを大勢の人達に見られちゃってるからねぇ。」
「…確かに。仰る通りですね。」
「だからひとまず王都を出て、人気のない所に移動してって事で。それまでは僕とアルファも一緒に付いて行くよ。」
「畏まりました。」
「ルルさんとゴーガンさんは?」
「あたいは勿論一緒に行く!」
「僕は…このまま残るよ。まだここにやり残した事があるからね。それに、オズワルド君もそのままって訳にはいかないだろうし。」
「分かりました。それとライアンさん。」
「? なんだい?」
「落ち込んでいる所を申し訳ないのですが、王都で特にこの人は注意した方が良いと言う方はいらっしゃいますか?」
凛の問いに、ライアンはそうだね…と言って考える素振りを見せる。
(こんなに可愛いのに男、か。なんて残酷な運命なんだろう。)
紅葉と暁の説得により、ライアンは凛が男だと知らされた。
非常に勿体ないと思いつつ、これまで数え切れない位勘違いされて来たのだろうと不憫にも感じていた。
「…悪い人や悪い貴族は多い。王国は何より身分を重視する国だからね。王都はそんな者達の集まり…つまり化け物達の巣窟とも言える。その中でも特に、カーヴァン伯爵が目立つんじゃないかな?」
「そのカーヴァン伯爵と言うのは?」
「彼は後ろ暗い事で有名でね。王都にある裏の組織とか、フーリガンとも繋がってるって専らの噂だよ。」
「成程、それでか…。」
どうやら何か思い当たる節がある様だ。
「なぁなぁ、もう良いだろ?続きはまた今度って事で早く行こうぜ!」
ルルの言葉に促される部分はあったものの、凛はひとまず王都を脱出してからだと頷き、行動を開始。
そんな彼らを、ロイドは寂しがり、ロロナは(ぬいぐるみをくれた凛と一緒にいられるとして)羨ましい視線を向ける。
それに気付いたルルはとことことロイドの元へ向かい、これからは帰って来たい時に帰って来れるからと小声で話し、彼を驚かせた。
凛達はロイドの部屋を去ってすぐ。
ライアンがさり気なく後を付いて来ようとするも、少し進んだ所で待ち構えていた紅葉と暁により拒否された。
いくら自分の身を守る為とは言え、ライアンは今まで沢山の女性を鬼王に捧げて来たのだから当然と言えば当然。
それは口にしていないだけで、情報を共有する旭達や凛も同じだった。(それ以外の面々には知らされていないが)
2人は睨みを利かせ、尚も食い下がろうとするライアン。
だがもう1度先程と同じ目に遭いたいかとやんわりと脅したのが功を奏し、強制的に身を引かせる事に成功。
「凛ー。早く、早く王都から出よーぜーーー!」
「分かった分かった。少しでも早くお酒を飲みたいんだね。」
「…バレてたか。けどあたい、これからは役に立てるって思うと楽しみで仕方ないんだ!」
「やりたい事が決まった訳だもんね。ルル、これからもよろしくお願いするよ。」
「うん!こちらこそ宜しく!」
凛達は話しながら裏通りを走る。
ルルははしゃぎ、凛は(アルファと共に)幻影上級魔法インビジブルで姿を消した状態で。
ルルはこれから凛の部下になるからとの事で敬語ではなくなり、その様子を紅葉はにこにこと、暁達は笑顔で見ていた。
その少し前。
王都のとある豪邸にて、身なりの良い1人の老人男性が白桃の缶詰を食べていた。
しかも何故かこの場に別の缶詰やペットボトル飲料、カップ麺の姿もある。
いずれも、先程紅葉が商業ギルド本部へ訪れた際、周知目的で渡した品々の中にあったものだ。
「うむ、やはり美味いな。貴様もたまには役に立つではないか。して、これはどこで手に入れたのだ?」
老年の男性…ガトール・フォン・カーヴァン伯爵は、シロップ漬けにされた白桃に舌鼓を打った後、目の前にいる男性に尋ねた。
男性はマルクトと言い、ガトール子飼いのギルド職員だ。
彼はどうやら、商業ギルド本部がベヒーモスで騒いでる隙に乗じ、缶詰等をササッと袋に入れてここまで運んだらしい。(凛が思わせぶりな態度を取ったのはこの事だったり)
マルクトはガトールの質問に答えようと、下げていた頭を上げる。
「ははっ!商業ギルド本部でございます。先程、当ギルドを訪れた一団により齎されました。」
「ほう。となると、数日前に来た者達の関係者やも知らぬな。」
「恐らくは。ただ…今回はベヒーモスが主な目的の様でして。」
「なっ!ベヒーモスだと!?」
「左様でございます。至急、伯爵閣下のお耳に入れねばと思い、こうして馳せ参じました。」
「でかした。それで、どの様な者達だったのだ?」
マルクトは返事の後、額に角が生えてはいたものの見目麗しい男女や少年少女の組み合わせだった事。
商業ギルドと対応した女性は凄まじい美貌で、しかもベヒーモスや多数の品々を仕舞える位、大容量の空間収納スキルを所持している旨を伝える。
「それは恐らく鬼人族だろう。個体数が珍しい上、強者揃いと聞く。しかもかなり優れた空間収納持ちと来たか。
儂の物になろうとしないライアンよりも余程使えそうだ。何より、その者を近くに置けば更に箔が付くと言うもの…おっと、こうしてはおれん!貴様はすぐにその者達を探し出し、ここへ連れて来るのだ!!」
「ははっ、畏まりました!」
マルクトはこの返事の後、紅葉達を探しに向かった。
何食わぬ顔で商業ギルド本部へ戻り、他のギルド員に紅葉達の行方を尋ね、鍛冶ギルドへ直行。
すると多くの兵士が建物周辺を固め、中々前へ進む事が出来なかった。
それでも何とか中に入り、1番奥まで進んでみるも、いたのはロイドとライアン、それと2人に事情を聞いていると思われる複数の兵士のみ。
マルクトはそこで紅葉達は既にいないのだと分かり、ロイドへ詰め寄りながら紅葉達がどこへ行ったのかを尋ねる。
そして帰ったとの答えを受け、急いで王都の外へと向かうのだが、結局見付けられなかったとしてガトールから怒られる羽目に。
一方、帰宅した凛達一行の内、凛は作業の為に火燐達と合流。
アルファは領地の巡回に戻り、紅葉達はゆっくりするとなった。
これでこの日を終えるのだが、ディレイルームから美羽が姿を現す事はなかった。
また本日の夕方、サルーンの公衆浴場売場でちょっとした出来事が起きた。
リーリアが(周りにいる男性達からの視線を柳に風とばかりに受け流し)鼻歌を歌いながら売場のメンテナンスをしていた所、2人組の女性が話し掛けて来た。
「あの、すみません。」
「あ、はぁ〜い♪あらあら〜?貴方達でしたかぁ〜。今日はどうされましたぁ〜?」
「あの女の人がエビエビうるさくて…。」
「困ってるんです。」
2人は温泉の常連客。
リーリアのちょっとした馴染み客みたいなもので、面識のあるリーリアに助けを求めたらしい。
リーリアが「エビぃ〜?」と言って女性達の後ろを覗き込むと、やや仏頂面気味のキャシーがいた。
娼館をクビになった彼女にどこで働きたいかを尋ね、公衆浴場の売り子なら出来ると豪語。
つい先程やって来たばかりにも関わらず、早速何かやらかしたらしい。
「説明中に逃げるとか、失礼な客にゃ。」
「あらぁ?キャシーちゃんだったのぉ〜。」
「そうにゃ。」
キャシーは頷いて歩み寄る。
「リーリアさんの知り合いですか?」
「そうなのぉ。私の仲間の1人なのよぉ〜?」
「「え"。」」
余程失礼な接客を行ったのか、2人から戸惑いの声が漏れた。
「因みにぃ、キャシーちゃんはぁ、このお姉さん達と何の話をしてたのぉ?」
「あちしはこの化粧品の説明をしただけにゃ。」
「化粧水みたいねぇ。どんな説明をしたのぉ?」
「これを使えばお肌ぷるんぷるんのモチモチになるにゃ。エビもあるからバッチリにゃ。」
「こんな感じで…。」
「どうして急にエビが出て来るかがさっぱりなんです。しかもそのエビについて尋ねても答えてくれなくて…。」
「エビはエビにゃ。それ以上でもそれ以下でもないにゃ。」
「こんな感じで…。」
女性達はエビフライを食べた経験から、エビ自体は認知している。
なので、化粧品なのにやたらエビをプッシュしたがるのかが意味不明だったのだろう。
リーリアもそれは同じ。
彼女は転生者で、凛とよく化粧品に関する談義をする。
また最近では、ナビや凛の配下を通じ、頻繁にデータ取りを行っていた。
キャシーが聞き耳を立てているのを目にしており、その事が関係あるのではと思い至る。
「…もしかしてだけどぉ、エビデンスとかじゃないぃ?」
「それにゃ!そのエビの事にゃ!」
「やっぱりぃ…。」
「あの、エビデンス?ってどう言う意味なんですか?」
「証拠や根拠、裏付け…みたいな意味の言葉よぉ〜。」
「「へぇ〜。」」
「うむ。やはりエビは偉大なのにゃ!何せエビデスって言う位だからにゃ!」
キャシーは魚貝類が好きで、その中に漏れなくエビも入っている。
フライにピラフ、パスタ、チリソース炒めを過去に食しており、いずれも気に入っている。
故になのか、ドヤ顔で踏ん反り返り、エビの凄さをアピールしようとする。
しかしエビはエビでも全くのエビ違い。
女性達は何とも言えない顔になり、リーリアも困った笑みを浮かべるのだった。
しれっとルルの年齢が暴露されていた件←
参考までに、シーサーペント→アクアドラゴン(魔銀級)→フラッドドラゴン(黒鉄級)→水神龍リヴァイアサンになります。
それと超今更ですが、当作品での氷魔法は水・風複合魔法扱いになります(´・ω・`)氷魔法を多用する雫が少し特別で、リヴァイアサンは水しか使わなかったのはその為だったり
取り敢えず5話まで修整が終わりました。(また修整するかもですが)
氷属性を含めた複合属性は4話に記載してます。




