表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
辺境都市サルーンとそれを取り巻く者達

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/276

83話 25日目

25日目


午前3時過ぎ


「これからテストを始める。」


訓練部屋で凛が告げた。

彼の前には、姿形が若干異なる8体のエクスマキナが横1列に並ぶ。

彼女達は真っ直ぐ凛を見据え、静かに佇んでいる。


「まずはイータ(7番機)シータ(8番機)イオタ(9番機)カッパ(10番機)からいくね。ラムダ(11番機)ミュー(12番機)ニュー(13番機)クスィー(14番機)は一旦下がってて。」


『はっ。』


その返事を合図にラムダ達が下がる。

残ったイータ達はと言うと、いつの間にかレイピア、剣と丸盾、剣、杖が握られていた。

そしてイータが凛へ突っ込むのを皮切りに、凛1人対イータ達4体の戦闘が始まる。




イータはレイピアによる高速突きを。

シータは丸盾を打撃武器の代わりにするだけでなく、ブーメランみたく投げる等の攻撃を行う。


イオタが持つ剣はただの剣かと思いきや、刃の部分が等間隔で分離。

その1つ1つがワイヤー状のもので繋がり、鞭の様に振るえる『連接剣』だった。


イオタは連接剣を用い、距離に関係なく突きや斬り払い、横薙ぎを凛に仕掛ける。


カッパは魔法に特化していた。

複合属性を含めた全属性、しかも上級までの魔法を、最大で5つ同時に放つ。


凛はそれらの攻撃を10分程捌き続けた後、玄冬を鞘に収め、右手でイータ達を制した。


「そこまで。イータ達は後退。代わりにラムダ、ミュー、ニュー、クスィーが前に出て。」


『はっ。』


イータ達と入れ替わる形で、今度はラムダ達が凛に挑んで来た。

ラムダは2本の槍、ミューは両手に鉤爪(かぎづめ)を伸ばした籠手(こて)を装備。


ニューは剣に加え、凛が扱うのと全く同じビットを6基展開し、クスィーはナイフや針と言った武器を両手に幾つも持ち、後方から投擲(とうてき)する。


イータ達もそうだったのだが、ラムダ達は互いの距離や攻撃が来るタイミングが分かるらしい。

絶妙なタイミングで横にずれ、他にも頭を下げたり、色んな方向に跳躍する。


直後、ニューによるビットの射撃やクスィーの飛び道具(ナイフや針)が飛来。

凛も跳躍したり、(玄冬)や鞘を駆使して()ね退けたりする。


「うん。取り敢えずはこんな所かな。それじゃ、イータ達も参加して良いよ。」


『畏まりました。』


凛はラムダ達も10分程相手をした所で距離を取り、指示を出す。

イータ達はラムダ達と合流後、一旦引っ込めた武器を再び手にし、共に凛の下へと向かった。




1時間後


「うわっ、何だこりゃあ…地獄絵図ってやつか?」


訓練部屋にやって来た火燐が目を見開きながら呟いた。

後ろには雫、翡翠、楓の3人が立ち、彼女達も揃って驚きを露にする。


と言うのも、今の訓練部屋がかなり酷い状態だったからだ。

床、壁、天井に関係なく、至る所で氷や土の棘が生えていた。


他にも(切断や衝撃で)大きく(えぐ)れたり、焦げた跡だったり。

クレーターや溶岩みたく、ドロドロ状になっている箇所もあった。


しかしそんな事はお構いなしとばかりに、凛達は今も空中で激しい戦闘を繰り広げていた。

イータ、シータ、ラムダ、ミューの4体が前後左右から凛を攻め立て、残るイオタ、カッパ、ニュー、クスィーがその合間を縫う様にして遠距離攻撃を仕掛ける。


凛はイータ達の猛攻を防ぎ、往なし、魔力を纏わせて相殺。

しゃがんだり跳躍し、真下に落ちる形で避ける事もあった。


それらの動作は、全て正面を向いたまま行われた。

にも関わらず、まるで全てが視えるみたいにして横や後ろからの攻撃を捌き続ける。


それは一種の舞の様にも見え、火燐達は「すげぇ…」「綺麗…」等と言いながら凛の動きに見惚れていた。


「…ん?皆、ストップストップ。テストはこれで終わり。火燐達の所へ集合するよ。」


やがて、火燐達の存在に気付いた凛がイータ達を止め、テストを中断。

全員が火燐達の前に降り立った。


「火燐、雫、翡翠、楓。おはよう。」


「おはようさん。」

「ん。おはよ。」

「おはよー!」

「おはようございます…。」


「随分と進化に時間が掛かったみたいだね?」


「らしいな。オレも(ディレイルームの中で)丸4日寝てたって知った時は驚いたぜ。」


火燐はクトゥグア(生ける炎)へと進化。

神輝金級を越えた先の強さとなり、『炎神化』と『凍灼(とうしゃく)』のスキルを得る。

炎神化は炎属性の適性値を最高値まで上昇させ、自在に操る効果が。

凍灼は冷炎を強力にしたもので、これ1つで炎・水複合魔法(泡魔法、水熱魔法、氷炎魔法とも言われる)最上級のマカハドマ(氷炎地獄)と同等以上の技が繰り出せる効果を持つ。


「ん。寝過ぎた。」


そう言う雫はクトゥルフ(来るべきもの)へ。

火燐と同じ強さなのは勿論の事、『水神化』『四属性適性上昇・大』『魔力回路(マナサーキット)』スキルを取得。

水神化は炎神化の水バージョンで、四属性適性上昇・大は所持するだけで上級魔法が使用可能に。


魔力回路は体内に流れる魔力の流れを良くし、操作したり大きくすると言うもの。

ロスを抑え、魔法を発動するまでの時間が短縮される。

また使い方によっては、回路が詰まってたり回路自体が細いのを理由に、今まで魔法を行使出来なかった者がこれを機に使える様になる…かも知れない。


それと、一時的に限界以上の魔力が開放可能な事から、リアルト○ンザムみたいな真似も。




「本当なら昨日の夕方に起きる予定だったからねぇ…。」


翡翠はハスター(名状しがたきもの)に。

強さはやはり同じで、『風神化』『天駆』スキルを獲得。


風神化は言わずもがな。

天駆は自身を中心に、半径500メートル内なら自由に行き来(転移)出来るスキル。


歩く、走る、跳ぶ動作を用いずとも瞬時に移動が行える様になる。

(イタカの時に得た『滑空』を併用し)空中に留まりつつ、あらゆる角度から一方的に攻撃する事も。


「恥ずかしいです…。」


楓はナイアルラトホテップ(這い寄る混沌)に至る。

彼女は土に特化した『土神化』、それと様々な重さを変えられる『重力支配』や、鉄等の金属類を操れる『鉱物支配』を入手。


4人の元気そうな顔に、凛はひとまず安堵の表情を見せる。


「4人共、無事に進化出来たみたいで何よりだよ。」


「へへっ。」

「…ん。」

「だねー。」

「ありがとうございます…。」


「…けど、やっぱり美羽はまだなんだね。」


「みてーだな。オレらが目覚めたのはほぼ同時だったんだが…あいつはまだまだ寝足りないってよ。」


「ん。美羽、寝坊助。」


「そんな事言ってー、後から美羽ちゃんに怒られても知らないよー?」


「こ、ここには私達しかいない。だから大丈夫だと思われ…。」


「火燐ちゃんがすっごいニヤニヤしてるけどね〜。」


「!…おのれ火燐め。何が狙い?」


「んー、どーしよっかなー?…なんてな、オレ様は優しいからフルーツタルト一切れで手を打ってやろう。」


「ぐぬぬぬ…仕方ない。」


「お二人共、相変わらず仲良しさんです…♪」


「仲良しじゃねーよ!」

「仲良しじゃない!」


「「仲良しじゃん。」」


「「………。」」


火燐と雫が反論するも、凛と翡翠の突っ込みにあえなく撃沈。

楓がくすくすと笑い、凛達も釣られて笑う。


火燐と雫は苦い顔の後に見合わせ、益々複雑そうにしていた。




「あー、笑った笑った。折角火燐達も来たし、イータ達と訓練してく?」


「そうだな…あ、ついでだし炎神化でも試してみっかな。」


「炎神化と言うと、新しく得たスキルの?」


「ああ。オレの場合だと炎を自在に操れるってやつだな…こんな感じで。」


そう言って、火燐は直径3メートルの炎の玉を生成。

ぐにゃぐにゃと形を変え、虎の姿になった。


「さしずめ炎虎(えんこ)ってところか。こいつを操って戦わせる訓練とか面白そうじゃね?」


「ん。良い。私もやってみる。」


「あたしもー!」


「私もやりたいです…!」


雫達はすぐに火燐と同じ大きさの水玉、風の渦、岩の塊を用意。

水玉は狼、風の渦は馬、岩の塊は鳥にそれぞれ変化した。


「そんじゃ、始めるとすっか。」


「ん。」


「にひひー♪これはこれで面白そー!」


「負けません…!」


それから30分の間、火燐達はエクスマキナを2体ずつ受け持つ形で手合わせを行った。

斬り払われたり(魔法等の)遠距離攻撃で霧散しては生成し、再び挑む。


それらを繰り返し、満足げな様子で屋敷に戻った。




「やっと帰って来たのにゃ。待ってたのにゃー。」


帰宅して早々。

凛は青髪ショートで18歳位の女の子からジャンピングハグされた。

その女の子は猫耳と尻尾を生やした猫人族で、(カリナとアイリより少し劣る位の)豊満なボディーを持つ。

そんな彼女の胸に凛は顔に押し付けられる形となり、もがもがと言いながらもされるがままに。


反対に女の子はゴロゴロと喉を鳴らし、凛の頭へ頬擦りしながら「会いたかったにゃ〜、凛もきっと同じ気持ちに違いないのにゃ〜」と言いながら甘えている。


「帰って来たらキッチンにいなかったのにゃ。ここで待ってれば絶対来ると思ってたにゃ〜…に"ゃっ!?」


しかしそんな幸せな時間は唐突に終わった。

後ろから首根っこを掴まれ、そのまま般若顔の火燐と向き合う形となる。

その隣に立つ雫からも冷たい目を向けられ、女性はだらだらと冷や汗を流した。


「おうこらキャシー。てめー、オレ達の目の前で何してくれてんだ?ん?」


「ん。駄猫にはお仕置きが必要。」


「だな。ちょっとツラ貸せ。」


「にゃ、にゃはははは…あちし、夜勤明けなのにゃ。だからお手柔らかに頼むにゃあ…。」


猫耳を生やした女の子ことキャシーは、火燐達に許しを乞うも普通に無視。

そのままズルズルと引き摺られて行き、見えない場所から「ぎにゃーーー!」との悲鳴が。


しかし凛達は既にキッチンにおり、誰もキャシーの悲鳴を気にする者はいなかった。


「うぅ…酷い目にあったにゃ…。」


そう言って、火燐達から少し遅れる形でキャシーもフラフラながら戻って来た。


火燐と雫は何事もなかったかの様にテーブルへ。

キャシーも「さて、頑張るかにゃ」と気合いを入れてキッチンに入る。


以降、凛達は特にトラブルらしいトラブルを起こさずに料理を作り続けた。




キャシーは奴隷商で購入した奴隷で、元は斥候役の冒険者だった。

今はサルーンの警備に配属され、料理の心得があるとの理由からこうしてキッチンに入る事もしばしば。


また、お金がない時に娼館で働いた経験があるとの言から白羽の矢が立ち、娼館→夜間の警備の仕事を終えて今に至る。


購入時は体中ボロボロだったものの、凛のおかげで完治。

しかも撫で(ストローク)やトリミング、ブラッシングの洗礼をしっかり受け、今では毎晩の様に凛へ強請(ねだ)る位メロメロとなった。


おかげで人前で抱き着く等のスキンシップは当たり前。

いつでも子を仕込んで良いと皆の前で公言している。(勿論凛はやんわりと断っているが)


因みに、自分の事をあちしと呼ぶのは昔からだが、語尾が「にゃ」なのはキャラ付けで男ウケが良いからとか。

実際に娼館での評判は良く、トップ5の位置に。

トーマス達男性も見事に騙され、内心で「チョロいにゃ、雑魚過ぎにゃ」とほくそ笑んでいる。


そんなこんなで楽しく(?)料理を作り、朝食の時間を迎えるだった。、

いつもありがとうございます。


エクスマキナ達の武器を変更しております。


それと旧ゆるじあでもそうでしたが、クトゥグア、ハスター、ナイアルラトホテップの異名はすぐ見付かったのに、クトゥルフだけが中々(苦笑)

私もそうでしたが、来るべきものってなんやねんって思われる方は多いはず、、、


それと、火燐達にも眷属をと思ったのですが、全員分出すには多過ぎるかなと断念しました。

雫がディープワンを出し、火燐にからかわれてキレる…なんてのも考えましたがw


炎虎達を出したのはその代わりみたいなもので、かなりの魔素を注いだ人型に簡単な自我を与える…なんてのもやろうと思えば出来ます。

アフーム=ザーとかロイガーやツァールみたいなポジションで。


ただそうすると配下の出番が減ってしまうのでやりません。

せいぜいやるとしても補助的な意味合いの、とだけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ