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ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画

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64話

サルーンの隣にあるジラルドですが、旧ゆるふわではスクルドだったのを忘れておりました。


一応対象となる箇所は書き直したつもりですが、もしかしたら直ってない場所があるかも(´・ω・)すみません

午前8時前


サルーンにある商店・喫茶店の前。

そこに凛、美羽、火燐達、ガイウス、カリナが。

他にも、接客や料理を最低限学び終えた者達、それと彼らを代表する形で丞と灯の姿もあった。


「本日はお集まり頂きありがとうございます!もう間もなく、試食・試飲会2日目の開始時間となります!」


凛の口上に、今か今かと待ちわびながら店の前で並んでいた者達が歓喜の雄叫びを上げた。

その数は昨日より多く、噂や評判を聞き付ける、或いは少しでも多く試食・試飲を体験する目的でやって来た事が窺える。


「その前にお知らせです!」


その言葉に、「お知らせ?」「それ、今じゃないとダメなの?」「早くしてくれよなー」と言った声があちこちから聞こえる。


「以前お約束した、フォレストドラゴンの肉を使用したバーベキュー…それを明日の正午から行います!参加出来る方は是非いらして下さい!」


『…うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!』


まさかの知らせに、場が大歓声に包まれた。


ここにいるのはおよそ800人程で、今も増え続けている状態。

その内の大多数が先日行われたバーベキューに参加しておらず、フォレストドラゴンの肉が非常に美味だった事は人伝いでしか知らない。

それが振る舞われるのであれば参加しない訳にはいかない、客達はそう思って大いに喜んだのだろう。




「その話は本当か!!」


そこへ、1人の男性の声が響き渡った。


(あれ?どこかで聞いた覚えのある声の様な。)


凛はそんな事を思いながら声のした方を向き、全員の視線もそちらに移る。

人だかりのせいで凛は見えなかったが、端に位置する者達は声の主が誰か分かったらしい。

ちょっとした悲鳴の後に避ける等し、やがて1本の道が出来上がった。


「あ、ランドルフさんでしたか。」


凛は声の主が分かり、少しだけ驚いた様子で告げる。

一方、サルーンの隣にあり、帝国でも有数の都市スクルドを治めるランドルフ・ヴァン・ジラルドは、人前でさん付けにされた事で若干困った表情を浮かべる。


「…そうだ。昨日の噂を元にここまで来たが、その甲斐はあったと思ってな。」


彼の傍に次男フレデリック、三男ヘクター、長女デイジーもおり、ランドルフの言葉に3人が頷いてみせる。


ランドルフ達は用意された道を通り、凛達の所へ向かう。

それを合図に凛が開始の号令を出し、試食・試飲の品が人々に配られ始める。


「それにしても驚いた。まさかこの様な感じの催しとは…すまんな。」


急いでここまで来たのか、ランドルフは軽く汗ばんでいる状態だった。

ランドルフが周囲を見渡しながら話し、途中でトレー越しに渡された紙コップを受け取り、一気に飲み干す。


中身は無糖タイプの紅茶で、意外に美味しかったのだろう。

または紙コップの存在を初めて見たからなのかは分からないが、軽く驚いた表情で紙コップを見る。


同じく汗ばんだフレデリック達もそれぞれ何かしらで飲み物を受け取り、口にしては驚いている様だった。

凛はそんな彼らからランドルフに視線を戻し、ここにアン()トン()アシュリン(伯爵夫人)がいない事を尋ねる。


これに、全員が不在になるのは流石に不味いと思い、残して来たのとランドルフが返すと、凛は軽く考える素振りを見せる。そしてランドルフの手を取り、軽く引っ張る形で商店の中へと入って行く。


美羽達やガイウス、フレデリック達は不思議に思いながら凛達を見送り、3分もしない内に戻って来た。

…何故かランドルフは凹み、きょろきょろとするアントンとアシュリンを連れた状態で。


これにガイウスやフレデリック達は非常に驚き、しかしデイジーだけは普通にアシュリンの下へ向かい、彼女に話し掛ける。


それとランドルフだが、彼らは6時にジラルドを出発し、出来るだけ間に合うよう急いでここまで来た。

だと言うのに、店舗の中心に設置されたポータルを使い、一瞬で数十キロ離れた屋敷に着き、しかも往復までしてしまった。

なら自分達の苦労は無駄だったのでは…それが彼の凹む理由だったりする。




その後、試食品の乗った紙皿をそれぞれ手にしたアシュリン達がランドルフを宥めるも、彼の機嫌は中々直らなかった。

ランドルフはアシュリンに差し出されたコロッケを口にするや否や、先程までと一転し一気に上機嫌となった。

これにアシュリン達は安堵し、各自気になるものを取っては食べ始め、驚きを露にする。


それを機に喫茶店側の試食品から試していこうとなり、やがてカレーライスの番となった。


ランドルフは香辛料を贅沢に使ったカレーに感動し、アシュリン、ヘクター、デイジーは甘口カレーが気に入った様だ。

ガイウスらそんなランドルフ達を見ながら激辛について尋ね、凛が現物を出してみせる。


そこでガイウスが折角だからと言い、意を決した様子で1口食べる。

しかしあまりの辛さにその場で悶絶し、アントンが大げさな…と言いながら1口食べ、まるで焼き直しとばかりにこちらも悶絶。

それを見たヘクターが爆笑し、アントンはキッと睨んだ後、掬ったカレーをヘクターの口に勢い良く放り込む。


ヘクターは辛ーーーと叫びながら走り回り、宥めようとするフレデリックを他所にアントンとの口喧嘩が始まった。

そうしている内に激辛カレーの皿が空になった状態で机に置かれ、食べた本人である火燐は涼しい顔で離れていく。

その光景を、アントン達やガイウスは面食らった顔で見るしか出来なかった。


しばらくして、ガイウスが口を滑らせたのが原因で毎朝凛の屋敷へ来ているのがバレ、彼と同じパスカードをランドルフにも渡す事となった。

ランドルフ夫妻は以前からサルーンや凛の屋敷に興味があった為、行ける口実が出来たとして喜ぶ。


フレデリックとデイジーもそれは同じらしく、2人共顔を赤くしながらカリナと火燐に視線をやる。

凛の屋敷へ行けばカリナ達に会える、その意識からそれぞれ出た行動なのだが、商店側で試食品を配る係をしている2人は揃って不思議そうにする。


そんなこんなで午前、午後の試食・試飲会は無事に終わった。

ランドルフ達は午前の部終了と共に店舗内のポータル(フレデリックだけは来た時に使用した馬車)で帰し、ガイウスも午後の部の途中で離れている。


凛達は昨日より多い協力者と一緒に片付けを済ませ、彼らにクッキーが入った袋を渡した。

帰宅後、夕食を摂りながら明日のバーベキューについて話し合い、この日を終える。




その頃、商国のヴォレスでは


「はーーー…やっと解放された。」


オークション会場の支配人であり、商業ギルドヴォレス支部長でもあるダン。

彼はギルドマスター室に到着してすぐ、かなり疲れた様子でソファーに腰掛けた。


ダンがここまで疲れる理由…それは先日行われたオークションが原因だった。

オークションで出された品々…その中でも特に、ファイアドラゴンやアースドラゴンの剥製や玩具がかなり話題性を呼び、次はいつ入手するのかや明日のオークションで出品されるのかと言った問い合わせが殺到。


ダンを始めとする商業ギルドのお偉方は、今日1日その対応に追われた。


マルコ君(副マスター)はまだ帰って来てない、か。アップル君。」


「はい。何でしょう。」


「(凛から)連絡は?」


「いえ、特に来ておりません。」


「やはりか…。」


「はい。ですが昼過ぎに面白いものが届きました。」


「面白いもの?」


「こちらです。」


そう言って、アップルはダンの前にある机の上に(ど◯兵衛みたいな)カップうどんを置く。


「これは?」


「『かっぷめん』と呼ばれるものだそうです。お湯を注ぎ、少し待つだけで食べれるようになるとか。」


「これが、か?その様なもの、見た事も聞いた事も…まさか!?」


「はい。彼の地(サルーン)から齎されました。尤も、届けた者は商都や獣国に向かうとして既に発ち、ヴォレスにはいませんが。」


「…かっぷめんとやらはこの1個だけか?」


「いえ、それなりの数があります。他にも、初めて見るものが幾つも━━」


「是非見せてくれ!状況次第では交渉の材料にもなる。」


「分かりました。」


アップルから別室に案内されたダンは、そこで数個から数十個ずつ置かれた数々の魔道具やインスタント食品を目の当たりにする。

その光景に驚き、しかしすぐにこれからの事について考え、笑みを浮かべる。




一方、ゴーガン達はと言うと


「まさか今日中にシャウエまで来れるとは…。」


オズワルドが感動した様子で呟きを漏らした。

シャウエはサルーンから350キロ程離れた王国の街で、小麦と葡萄、それと近くの川で獲れる魚が有名な場所でもある。


「移動も快適そのものでしたし…。」


「馬車も馬も凛君が用意してくれたからね。ある程度予想はしていたよ。」


馬車は死滅の森に生える木を、座る部分に設けたクッションは蜘蛛の糸をそれぞれ使用。

また、馬車本体の下にはサスペンションを入れ、揺れがほとんど感じないレベルにまで達している。


それと馬車を引く馬についてだが…実は本当の馬ではなかった。

バトルホースをベースに圧縮した筋肉を加え、骨格部分にはミスリルとアダマンタイトの合金を使用すると言った感じの人造ゴーレムとなる。

名をアニマゴーレム、動物の『アニマル』と魂の『アニマ』から来ている。

強さは勿論の事、ある程度は自由に出来るよう、簡単な自我を与えてある。(現在はその辺に生える草を食べてエネルギー補給中。)


そして3メートルの高さから繰り出される、屈強な前足による踏みつけ攻撃。

或いは初級・中級の風や土魔法を用い、襲って来た魔物や盗賊を悉く蹴散らした。

その結果、休憩以外はほぼノンストップで進む事が出来、普段よりも5割増しの距離とも言えるシャウエ付近にまで来れた。


「さっき紅葉君から聞いた話なんだが、商国方面へ向かった者は昼過ぎにヴォレスへ着いたらしい。」


「昼過ぎ…ですか。通常の倍の速度ですね。」


昨日早朝に出発した馬車は3つあり、それぞれ王都、帝都、ヴォレスや商都を経て獣国王都方面へと向かっている。

自分達もかなり早いのにその上を行くのか…と、複雑な想いを抱くには十分だった。


反対に、凛の突拍子のなさに軽く慣れたゴーガンはそこまで驚いてはいない。

それが今回、2人の差として表れた様だ。


(思ったよりも早く暁君達が合流出来たのは助かる。しかしあれが神輝金級へ至った者の覇気か…凄まじいな。)


暁、旭、月夜の3人は神輝金級の鬼神に進化した。

彼らはこれが最後の進化となり、進化の最終到達点…最終進化に至った初めての者達となる。

だからなのだろう、最後の進化と言う事で(実際の時間とディレイルームで過ごした時間を合わせ)調整に丸2日時間が掛かり、後から合流する要因にもなった。


現在は明日に備えるのも兼ね、ポータブルハウスの中で紅葉達と話をしている。


ゴーガンは暁達が挨拶へ来た時に気圧された事を思い出しつつ、オズワルドとの話を続ける。


「…何でも、頼りになる護衛が付いてるらしいね。それで全く気にせずに進めるとか言っていたよ。」


「…でしょうね。」


複雑な表情を浮かべたまま、オズワルドは(防塵、防汚、安眠、自動清浄効果の付いた)寝袋ですやすやと眠るルルを見て呟く。

既にエミリオも寝袋で休んでおり、その後も2人による会話は続いた。




また、王国にある都市ケイレブでは


アダム・フォン・ガストン子爵が、昨日の試食・試飲会についての報告を部下の男性から受けている所だった。


「何!?その催しはもう終わっただと!?」


「はい。昨日と今日の2日間だけの予定だそうです。なので、仮に今から向かったとしても━━。」


「そんな事は聞いていない!!」


そう叫んだ後、アダムは手元にある葉巻が入った箱を投げ付ける。


「とにかくだ。今から準備をすれば、明日の昼過ぎには着く。そこで私が無理矢理にでも命令して…。」


葉巻が入った箱は男性の頭に当たり、その弾みで箱の中に入っていた葉巻が散乱。

また、男性の頭から血が流れ、床に敷かれた高級カーペットの上に落ちる。


しかしアダムは関係ないとばかりに独り言ちる様になり、そんな彼を部下の男性は恨めしそうに睨み付けるのだった。

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