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ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画

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58話

明けましておめでとうございます。


本年も宜しくお願い致します。


シーサーペントの代表とそれ以外の者達とのセリフをカットし、凛達の戦闘を少しだけ長くしております。

(あれは…アダマンタートルか。)


凛が空中から東方面へ向かっていると、既に事切れたり虫の息状態のアダマンタートルの姿が見えた。


(と言う事は、あれがベヒーモス。)


そして湖に向け、ゆっくりと歩く魔物に視線を移す。


(大きいな。フォレストドラゴンも相当だったけど、あのベヒーモスは更に上をいってる。)


フォレストドラゴンは高さ5メートル以上、全長が15メートル程だった。

それに対し、闘牛に用いられる牛を巨大にし、黒みがかった体を持つ魔物…ベヒーモスは、高さ7メートル弱、全長が20メートル位と一回り大きい。

首、肩、背中、両前足…と、全身が溢れんばかりの筋肉で満たされ、頭の両側にある角は非常に禍々しい。


それと、ベヒーモスは後頭部から尻尾にかけ、沢山の長い棘状のものが生えていた。

倒れたアダマンタートルの中に、幾つもの穴が空いていたり、同じく穴が空いた状態でひしゃげた甲羅を持つ個体がいたのは、体の4割程を占める鋭い棘付き尻尾によるものなのだろう。


また、シンシア達が戦った相手はアダマンタートルよりもハードロックタートルの方が多かった事から、彼らが生き残ろうとして逃げた先にシンシア達がいたと言う形になる。




凛は高度を下げ、地上から2メートルの高さの所で停止。

すると、凛を視界に捉えたベヒーモスが邪魔だと判断し、それまで四足歩行だった状態からいきなり走り出した。


凛は慌てる事なく前方にビットを4基展開し、防御壁を生成。

ベヒーモスはその防御壁を避けるどころか、むしろそんな防御壁など破壊してやるといわんばかりに頭の位置を下げ、速度を更に上げる。

やがてベヒーモスは防御壁に衝突し、ゴォォォォ…ォンと鐘を()いた様な大きな音や衝撃が辺り一帯に響いた。


それから拮抗状態が5秒程続いた後、防御壁の方に軍配が上がり、ベヒーモスが軽く仰け反った。

すぐに体勢を整えたものの、ベヒーモスとしては当然面白くなく、ふぅ…と溜め息をつく凛を見ながらザッザッ…と地面を後ろ足で蹴り、苛立ちを露にする。


「グルルル…ゴァァァァァァァァァァァァァアアアアア!!」


そして軽く見上げる形で大きく咆哮。

凛はビリビリと空気が震えるのを肌で感じつつ、ビットを無限収納へ直し、(玄冬)を構える。


ベヒーモスはまず、挨拶とばかりに尻尾を凛へ伸ばして来た。

凛はそれを天歩越しに真上へ跳躍して避け、ベヒーモスが追撃とばかりに爪を伸ばした左前足で引っ掻こうとし、その場で急停止する形でかわす。

すると今度は右前足による引っ掻きや角の突き上げ、再び尻尾で攻撃を仕掛け、凛は空中で軽く動き回りながらそれらを避けていく。


そして凛がお返しとばかりにベヒーモスの頭へ斬り込むも、首を傾ける形であっさりと避けられてしまう。

意外にも、大きい見た目の割に動きが素早いらしく、凛は離れた先で関心した様子を浮かべていた。


それからしばらくの間、凛とベヒーモスはお互いに攻撃しては防いだり避けるを繰り返す。

その途中、ベヒーモスが離れた所にいる凛との距離を詰める為に再び突進…ではなく、前転からの転がる行動を取る場面があった。

ベヒーモスは丸まった状態で転がり続け、スパイクタイヤを凶悪にした様な攻撃を凛に仕掛ける。


凛はそれを先程と同様、空中にてビットの四点障壁を展開。

衝突の影響で激しい火花が発生し、しばらくすると回転の速度が弱まっていく。

そのまま止まる…かと思いきや、なんとベヒーモスは障壁を足場にして後方へ跳躍。

しかも着地までの間、尻尾を前に振るい、生えていた棘を飛ばす攻撃までしてきた。


これに凛は(襲って来た衝撃も含め)意表を突かれ、しかしすぐに落ち着きを取り戻し、向かって来る棘を刀で弾いた。


以降、ベヒーモスは攻撃の中に棘を飛ばす行動が加わった。

流石に抜けた棘が再生する…と言う事はなかったものの、バリエーション豊かな、しかもそれでいてその1つ1つが一撃必殺に近い攻撃は実に厄介と言える。




それから3分位が経った頃、地上にいた凛の所へ、横凪ぎの尻尾が襲った。

凛は真上に跳んで避け、先程まで凛がいた場所を尻尾が通り過ぎた事で、ベヒーモスは丁度良いと捉えた様だ。


目の前の高さに来た凛を噛み千切ろうと、口を大きく開けた。


「よっ!」


「?」


凛はそれを天歩を用いて更に上方向へ…ではなく、自身のすぐ上に天歩を展開し、その場で体勢を変えて下方に跳躍。

ベヒーモスは上顎に残った天歩が引っ掛かる形となった。


「…はっ!!」


凛はその隙にベヒーモスの腹部に回り込み、ネリチャギの要領でベヒーモスを蹴り上げる。


「はぁぁぁぁ!!」


そして瞬時にベヒーモスの頭上へ移動。

天歩を消滅させると同時に、身体強化を施した踵落としをベヒーモスの眉間に叩き込んだ。

その勢いは凄まじく、ズドンと大きな音と共にベヒーモスの頭が思いっきり地面へめり込んだ程だ。


ベヒーモスは頭を地面から抜こうとしてもがくも、深い位置に頭があるからのか、はたまた地面が硬いからかは分からないが中々上手くいかなかった。


「今だっ!!」


その隙に凛は刀に魔力を纏わせた状態でベヒーモスの下へ向かい、一気に首を落とした。




今回、初めて遭遇するベヒーモスの動きを見るとの事で、凛は少し時間を掛けて倒した。

問題なく倒せると言う意味では、彼と似た動きが出来る美羽が。


火燐達や紅葉だとそれなりに苦労し、暁達はバフを使ってようやく。

シンシア達の場合、バフを全部盛ったとしても勝つのは厳しかっただろう。


ともあれ、凛はベヒーモスを無限収納に直し、皆がいる湖へと戻った。


「ん?喧嘩かな?」


湖に大分近付いた所、既に美羽達は戦闘等が終わったのか1箇所に集まり、1人の女性が彼女達に向けて何やら叫んでいるのが分かった。

その女性は大学生位の見た目で腰下まで水色の髪を伸ばし、何も身に付けておらず、裸の状態だ。


そんな女性を、苦笑いを浮かべた美羽がひたすら宥めている様だった。


因みに、数少ない男性である暁と旭は、すぐ横で紅葉と月夜が睨みを利かせているからか後ろを向いていた。


「ちょっと貴方!何て事をしてくれたの!?私、痛さのあまり死んじゃうかと思ったんだけど!!」


美羽達の近くに着地して早々、凛は凄い剣幕の女性に詰め寄られた。

シーサーペントもドラゴンから人間…つまり藍火の時と似たようなシチュエーションとなった訳だが、髪の量は藍火より多く、背と胸は少し控えめ。


何より違うのは、気の強さが顔や態度等、一切隠さず前面に出ている事だろうか。


「まあまあ。取り敢えずこれでも飲んで落ち着いて下さい。」


「こんな変な容器に入った水で私が誤魔化せると…美味しいわねこれ。」


凛は少し桃の味がする水が入ったペットボトルを無限収納から取り出し、蓋を開けて女性に渡した。

女性はただの水だと思いながら1口飲み、予想に反して甘く美味しかったのだろう。


途中で止める事なく、一気に最後まで飲み干した。


すると女性は今の水が気に入ったのか、他に種類がないかを凛に尋ね、今度は蜜柑の味がする水のペットボトルを渡される。


「さっきとは違う味だけど、これも悪くないわね。」


そう言って、女性は新たに渡された水も一気に飲み干すと、ひとまずは溜飲が下がったのだろう。

安堵した様子で短い溜め息をついた。




その後、凛は改めて話の続き…に入る前に、女性に白いワンピースを渡し、着て貰った。


「すみません。急いでいたとは言え、貴方には苦しい思いをさせてしまった事をお詫びします。」


「…もう良いわよ。それより、こうして戻って来れたって事は、無事にベヒーモスを倒したのよね?貴方、見掛けによらず凄く強いのね!」


女性はかなり痛い思いをしたものの、もう済んだ事もあり、|今の状況《人間の見た目となった事》も意外に悪くないと思った様だ。

また、ベヒーモスを倒した凛に興味を持ったらしく、半ば食い気味に詰め寄って来た。


ただ、両腕には味の付いた水が複数本持たれており、同族からは呆れた視線を向けられていたが。


「ありがとうございます。それで、これからの事についてなんですけど…。」


凛と女性は話し合いを始め、その話を美羽達は興味ありげだったり、真面目な表情で聞き、話に興味がない火燐はあくびを噛み殺す。

そんな中、(対話スキルを使用していない為に言葉が分からない)シーサーペント達は引いた様子で凛達の動向を見守っていた。


女性はひたすら痛がり、美羽達が戦闘を終えて戻って来た所で人間の姿となり、それからはずっと問い(ただ)す事に意識が向いていた。

なので、凛とベヒーモスが行った激しい戦闘音や衝撃に全く気付いておらず、むしろ下手に凛を刺激したせい…またはそのとばっちりで自分達は全滅。


対応次第ではその様な結果も十分あるとして、代表の女性がどう動くのか気が気でなく、そこに言葉が分からないのも相まって余計に不安がっていた。


そんな彼らの心配を他所に話は進んでいき、途中から美羽達や紅葉達も会話に加わるのだが、その様子をシーサーペント達は黙ったまま見守り続ける。


10分程で話し合いは終わり、シーサーペント達は全員同行する事が決まった。

それに併せ、凛、美羽、雫、楓の4人は屋敷の地下に超巨大なプールの設置する等。

シーサーペント達を迎える為の準備をしに、この場を離れるのだった。

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