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ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画
62/257

57話

今年1年ありがとうございました。


良いお年を。

「そんじゃ、誰がどこを担当するか決めよーぜー。で、その為には、ベヒーモス以外に何が来るかを知る必要があるんだが…。」


《そちらは私が把握しております。》


「なら話ははえーな。」


《はい。火燐様は━━━。》


(この様子なら、僕がいなくても大丈夫そうだな。)


凛はそんな事を思い、視線をナビとやり取りをしている火燐からシーサーペントへと移す。


「貴方達の中で、現在代表を務めてらっしゃるのは…?」


「? 私だけど?」


凛がシーサーペント達に話し掛けると、奥の方から1体やって来た。


話しぶりからして雌の個体だろう。

だがそれでもシーサーペントの中で最も大きく、立派な体をしていた。


「今後の事も考え、取り敢えず貴方には人間になって貰おうと思います。すみませんが、頭をこちらに向けて貰っても宜しいでしょうか。」


「? よく分からないけど、頭を向ければ良いのね?はい。」


「ありがとうございます。」


そう言って、凛は差し出されたシーサーペントの頭に手を添える。


「これからしばらくの間、痛い思いをするかもですが…頑張って耐えて下さい。」


「え?」


「それでは、僕はベヒーモスの元へ向かいますね。ナビ、後は宜しく。」


《畏まりました。》


凛は「後は任せた」とばかりにゆっくりと浮き始め、そのまま東方面へと飛んで行った。

そんな彼の後ろ姿を、シーサーペント達は「翼がないのに、どうしてあの人間は空を飛べるんだ?」とでも言いたそうな顔で見送る。


「…!いっっっったぁぁーーーー!!えっ、何で!?すっごく頭が痛くなって来たんだけど!?ちょっと、私の声は聞こえてるわよね!!ねえ、ねえったら!!無視しないでーーー!!」


すると、突然シーサーペントの代表が苦しみ始めた。

彼女はあまりの痛さからその場で暴れ、湖から上がったかと思えば地面でのたうち回る。


その様子を、他のシーサーペント達はうわぁ…とドン引きした表情で見ていた。




シーサーペントの代表が苦しみだした理由。

それは凛が彼女に人化スキルを施した事が上げられる。


ただ、いかに短時間で終わらせるつもりで行ったとは言え、藍火、丞、灯…他にも数名。

既に何回も人化スキルを施した経験に、自動換装や変化等の応用が加わり、ほとんど痛みが生じないレベルにまで達している。


それでも彼女が激しく…しかも藍火の時以上に痛がっているのは、ナビがシーサーペントに思う所があるからなのかも知れない。

その後も、シーサーペントの代表は「あんぎゃああああああああ」「頭が割れるうううううう」「あ、後で覚えておきな…ごめんなさいやっぱり嘘、嘘ですううう!お願いだから更に痛くするのは止めてえええええええええ」等と叫び、ひたすら痛みと戦う羽目に。




そんなシーサーペント達を他所に、美羽達は湖の周囲で戦闘を開始。

それぞれ黒鉄級までの強さの魔物達を相手する事に。


「やっ!!」


美羽はデスグリズリー(死の灰色熊)と呼ばれる、体長3メートル以上ある熊を()()()による袈裟斬りで倒した。

他にも、同じ位の大きさのバトルホースや、前半分が鷲で後ろ半分が馬のヒポグリフ、それとそれぞれの進化前であるホーンホースやブラウンベアーの姿もあった。

美羽は白の剣と黒の剣(ノアール)やシールドソードビットを駆使し、数を減らしていく。


「おらっ!くたばれっ!」


火燐は自分の下へ向かって来たダイアウルフを蹴り上げ、赤い大剣(ルージュ)で一気に斬り伏せた。

また、ダイアウルフより一回り小さくて黒いバーゲスト、それと更に一回り小さいブラックウルフやフォレストウルフもいた。

火燐はその悉くを凪ぎ払い、或いは燃やし尽くす形で倒していく。




雫はアイアンアントやクイーン、それとキ()ース()ーピ()ンと戦っていた。

彼女は自身の周りに十数個ものアイスニードルをふわふわと浮かせ、既にアイアンアント達やクイーンは体に穴を開けて倒れている状態。


だが体長2メートル程のキラースコーピオンにはアイスニードルが効かず、持ち前の黒い甲殻や(はさみ)によって防がれていた。


「…えい。」


雫は戦い方を変え、アイスニードルを消し、直径1メートルの水で出来た球を展開。

水の球はキラースコーピオン達の方へ向かい、頭部分をすっぽりと覆う。

キラースコーピオン達はその場から動いたり鋏を用いてどうにかしようとするも、結局は叶わずに全て窒息死する事となった。




「そこっ!…いっけーー!」


翡翠は蛾と蝶の魔物であるミ()()ュモスとパラライズバタフライ、それとその進化前のハードレザーコクーンとマーブルクリサリスの相手をしていた。

彼女は1度に4本ずつの()イン()アロ()を放ったり、エアブロウの強力版である風系上級魔法トルネードブロウを用い、麟粉(りんぷん)ごと魔物達を吹き飛ばす等する。


上空にて、楓は空を飛ぶ魔物…その中でも最後に残ったソードドラゴンと戦っていた。

ソードドラゴンは頭に生えた長い角や手足の爪、翼、尻尾、それと背中に至るまで、かなり鋭そうな剣が生えた様な姿をしている。


これまでに彼女は土系魔法を使い、ワイバーンと同じ下位竜で背中に鳥の様な羽の翼を持つフェザードラゴン。

他にもフェザードラゴンが進化したウインドドラゴンに、ゲイルホークやヴ()ルテッ()スイーグルを討伐。

魔物達が地上へ落ちる前に遠隔収納で回収を済ませている。


「………。」


楓はソードドラゴンに向け、初級魔法のストーンニードルや、全長5メートル程の岩を落とす中級魔法のロックハンマーを同時に放つ。

しかしその悉くを角や尻尾等の様々な形状の刃で斬られ、無効化。


同じ体長10メートル近いウインドドラゴンでは通用したロックハンマーも、全身が刃物だらけのソードドラゴンには効果がなかった様だ。


「中々手強いみたいですが、これは防げますか…?…クラッグプレス。」


楓は先程の魔法を囮に、土系上級魔法クラッグプレスを発動。

するとソードドラゴンの斜め右上、右下、左上、左下の4方向に魔方陣が現れ、そこから勢い良く尖った岩の塊が飛び出て来た。


ソードドラゴンは突然現れた岩に驚き、避けようとするもすぐに無理だと判断。

このまま今いる場所で対処しようとする。


右上、右下、左下の3箇所は翼や尻尾でどうにか対処出来たものの、左上の部分は捌き切れず、首元に深々と刺さってしまう。

これが致命傷となり、ソードドラゴンはゆっくりと落ちて行った。




シンシア達はアダマンタートル2体、それとアダマンタートルの進化前であるハードロックタートル達と戦っていた。

ハードロックタートルは全長8メートル程の大きさで黒っぽい体、それと強硬石と言う素材で出来た甲羅を持つ魔物だ。


強硬石はアダマンタイト程ではないものの、かなり良質な石材として取引され、並の武器だと攻撃した側がへし折れてしまう可能性がある位には硬い。

なので、本来であればシンシア達の強さだと苦戦は免れないのだが…幸い彼女達は凛から支給された高性能な武器を装備している。


それと、彼女達だけはバフ(強化魔法)を使って良いとなり、負ける要素がほぼなくなった。

だが(凛達が近くにいないとの意味で)自分達だけで戦闘を行うのは初めてと言う事で、それぞれが緊張した面持ちで戦闘に臨む。


「えぇぇぇいっ!」


シンシアはブースト(身体強化)()クセラ()ーショ()を重ねがけし、常に残像が見える速度で縦横無尽に走り回っていた。

そして飛び蹴りや踏み込んでの蹴り、地面に生えている木を跳躍しての三角蹴りでハードロックタートルを蹴り飛ばし、仲間同士でぶつけたり沈めたりする。

その影響で意識を上に持っていったハードロックタートルの顔の真横に現れ、勢いをそのままにミドルキックを仕掛け、首の骨を折って倒す…と言った事も行っていた。


「はいーーっ!ですー!」


ミラはブーストに加え、インパクトの直前にストレングス(筋力増強)を掛けたハンマーを甲羅に叩き付ける。

ハードロックタートルの甲羅に大きな亀裂が入り、砕ける。

その影響により、ハードロックタートルは盛大に吐血して息絶えた。


「ロックパイルなのん。」


エラはエンハンス(魔力強化)マジックブースト(魔力増幅)で魔法の威力を上げた、土系中級魔法ロックパイルを使用。

ハードロックタートルは地面から生やした杭により腹部から串刺しにされ、ぐぐぐ…と力を入れた後に動かなくなった。


「…ふっ!…たあっ!」


リリアナはペネトレイション(貫通力強化)を施した矢で、2体の内の片方のアダマンタートルを頭から射抜いた。

これに残ったもう1体が相方を殺られて頭に来たらしく、リリアナ目掛けて突進。

リリアナはブーストとストレングスを掛けてアダマンタートルに接近し、シャープネス(切れ味上昇)を施した剣で一刀両断。


アダマンタートルの体は斜めにずれ、地面に倒れていった。




美羽達は湖の北側から西側に散開、シンシア達は東側に配置し、それぞれが迎撃すると言う形で守っていた。

それに対し、紅葉達は南側で一箇所に集まり、魔物達の襲撃に備える。


紅葉達がいる南側には、ドラゴンの牙から生まれたとされる骸骨騎士(スケルトン)()()()の群れがやって来た。

スパルトイ自体は成人男性位の身長で、スケルトンもそれは同じ。

だが体を構成する骨は元々の竜に因んでなのか、その体…骨の色は赤や青、紫色と様々だった。


そして同じスパルトイでも、剣や弓、杖を持っている者。

一回り大きくなり、上位種のアークスパルトイへと進化した者。

アークスパルトイよりも更に体が大きくなり、スパルトイ達を統率するキングがいた。


その後、5分も掛からない内に暁がキングスパルトイを、

紅葉がアークスパルトイ3体を、

旭、月夜、小夜がスパルトイをそれぞれ10体ずつ倒した。


「…こんなものか。」


「暁、こちらが片付いたとは言え、戦闘自体が終わった訳ではないのです。油断するのはまだ早いですよ。」


「は。失礼致しました。」


「とは言え…これだけの魔物達が一斉に来たのです。もしかしますと、人手が足りない場所もあるかも知れません。急いで片付けましょう。」


その言葉を合図に、紅葉達は急いでスパルトイ達を回収し、湖へと向かうのだった。

文字数が多くなったので、凛の分は次回にw


参考までに↓


ブラウンベアー 銅級(今回の場合は銀級相当)

デスグリズリー 金級

ホーンホース 銅級(今回の場合は銀級相当)

バトルホース (金級)

ヒポグリフ (銀級)


フォレストウルフ (銀級)

ダイアウルフ (魔銀級)

ブラックウルフ (銀級)

バーゲスト (金級)


アイアンアント (金級) クイーン (魔銀級)

キラースコーピオン (魔銀級)

ミラージュモス (魔銀級)

ハードレザーコクーン (金級)

パラライズバタフライ (黒鉄級)

マーブルクリサリス (金級)


フェザードラゴン (金級)

ウインドドラゴン (魔銀級)

ソードドラゴン (魔銀級上位)

ゲイルホーク (銀級上位)

ヴォルテックスイーグル (魔銀級)


アダマンタートル (黒鉄級)

ハードロックタートル (魔銀級)

スパルトイ (銀級)

アークスパルトイ (金級上位)

スパルトイキング (黒鉄級)

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